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2020.06.13

「好きを仕事にする」人がだいたい失敗する理由|DaiGo×鈴木祐「キャリア選択」を題に対談

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メンタリストとして話題を集め、現在は作家(著書累計330万部)・動画配信者(YouTubeチャンネル登録者数200万人)・コンサルタントなど、多岐にわたって活動するDaiGo氏。なかでも「ニコニコ生放送」での活躍は群を抜いており、人生に役立つ心理学などを配信するチャンネルは有料登録者数13万人を超え、全チャンネル中1位を誇る。 そんなDaiGo氏が「日本で1番尊敬する」人物・鈴木祐氏(通称・パレオさん)は、年間5000本の科学論文を読み続ける科学ジャーナリスト。月間250万PVブログ「パレオな男」や著書『最高の体調』ほか、科学的根拠に基づく情報発信が人気を博している。 今回、鈴木氏の著書『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』刊行にあたり、キャリアにまつわる特別対談が2019年12月16日にニコニコチャンネル「メンタリストDaiGoの「心理分析してみた!」」内の「僕らの人生を変えた適職選択法について解説【忘年会コラボ放送】」で行われた。本稿ではその放送を編集・再構成してお届けする。

Text:
メンタリスト DaiGo(ジェネシスヘルスケア顧問、新潟リハビリテーション大学特任教授)/鈴木 祐(サイエンスライター)

「好きを仕事にしようとして失敗」

DaiGoさん(以下敬称略):(『科学的な適職』帯に書いてある「好きを仕事にする」「伸びる業界に入る」「強み・適性を重視」の×印を見ながら※)怖いねこれ、好きを仕事にする、伸びる業界に入る、強み・適性を重視……ダメですね。僕も別に好きを仕事にしようとしたわけではなく、結果的にそうなった。

※同書では、「職業選択にありがちな7つの大罪」として、「好きを仕事にする・給料の多さで選ぶ・業界や職種で選ぶ・仕事の楽さで選ぶ・性格テストで選ぶ・直感で選ぶ・適性に合った仕事を求める」の7項目を挙げている。

鈴木祐さん(以下敬称略):後からなったんだ。

DaiGo:そうですね、本を読むのは好きだったけど本を読むだけで仕事になるとは思ってなかったんで。

鈴木:どういう基準で選んだんですか?(今の)仕事を。

DaiGo:手っ取り早く儲かりそうなやつ(笑)。

大学のとき、使っていた実験機材が壊れたんですよ、卒論のちょっと前くらいに。今まで1時間くらいで作れていたサンプルに10時間かかるって言われて、そんなん無理じゃないですか。で、いつ直りますかって聞いたら、「(修理費用に)4000万円くらいかかるから君が在学中には無理だよ」って言われて、終わった!と。

だったらもうほかの学部に行くか、学士編入で医学部でも行ってみようかなって。脳とかに興味あったので、医学編入の予備校とか通っていたんですよ! 生まれて初めて予備校通いました、大学院生にして。

鈴木:そんな道も考えてたんですね。

DaiGo:そうだったんですよ。だけどどれも違った。

鈴木:違ったって言うのはどのへんが?

DaiGo:まずね、優秀な人がいっぱいいました。「脳が好きだからそれを仕事に」って思っていたんですけど、直接的に仕事にしようとするとやっぱ現実問題として難しさもあるし、もっと優秀な人いっぱいいるし。あと好きを仕事にしようとしている人って見ているとみんなそうだと思うんだけど、「イメージと違う」っていうのが出てくるんですよ。

鈴木:それは間違いないですね。みんなそれでやめていきますからね。周りに優秀な人が多すぎたってことですか? 結果的に。

DaiGo:そうですね。隣の研究室に、僕と同い年で卒論が『Nature』に載っている人がいた。『Natureなんとか』じゃなくて『Nature』ですよ! 卒論ですよ!? 研究者でもなかなか載らないのに。

「この職業に就きたい」は視野が狭すぎる

DaiGo:やっぱり、やりたい仕事に就こうとすると(こうなる)。人間の「やりたいこと」って想像力によって制限されていると思うんですよ。無限の中から選んでいるならいいんです。でも大体誰かすごい人がいて、その後追い的な感じで「やりたい」になっちゃっているんですよ。

例えば僕を見て「自由に生きたいな」とか、ジョブズとか偉い人を見て「世界変えたい」とか、それくらいのぼんやり感なら僕はいいと思うんです。生きる意味になるんです、それは。だけど「こういう職業に就こう」となると、誰かが成功している職業に就きたがるんですよ。YouTuberがはやったからYouTuberになりたいとか。そうなってくると、先行者がいるからもううまみのある業界でもないんですよ。

先行者利得のなくなっている状態でも突破できるだけのモチベーションがあるのかっていうのと、先行者が取った利得の合間にある、誰も取ってないようなおいしいところをゲットするだけの想像力があるかどうかですよ。

『科学的な適職』に載っている「最初から仕事への情熱がない人のほうが、ある人よりも、幸福度・年収・キャリアなどのレベルが高くなる」っていうデータはそういうことだと思っていて。好きでもない仕事に就いていろんな業界の知識を学んでいくと、「この隙間行ったらけっこういいとこ行けるんじゃ?」みたいなコツが見えてくるじゃないですか。そこが当たって、自分の天職になるっていう感じかなと。感覚的には。

鈴木:確かにね、「1人勝ち市場に参入して省かれて終わる」っていうのはよくありますからね。

DaiGo:だから、僕を見て「ニコ生主(ニコニコ生放送の配信者)になろう」なんてことは思わないほうがいいですよ(笑)。

鈴木:(笑)。モチベーションにするにはいいけどってことですね。

DaiGo:そう、ざっくりした感じで「こういう人生歩みたい」はいいんだけど、「この職業就きたい」は具体的すぎるんですよ、制限的すぎるというか。

鈴木:まさに「視野狭窄がいちばんの問題だ」という話(※)を書いていますからね。まさにそういう話ですね。

※就職と転職の失敗は、およそ7割が「視野狭窄」によって引き起こされる(ハーバードビジネススクールの調査/『科学的な適職』序章より)。

DaiGo:だから新しいビジネスやろうとか起業しようとかって人も、こういう起業をしたいとか、起業家のこと調べすぎちゃうんですよ。超視野狭窄です。

強み・適性は比較優位で考える

DaiGo:好きを仕事にする、伸びる業界に入る、強み・適性を重視する(と視野狭窄になる)。好きを仕事にすると、好きだと思ったのに嫌なところが見えてきたりとか、自分よりもはるかにすごい人が出てきたりとか……強み・適性も、「これが俺の強み!」と思って行くと『Nature』に卒論が載るような人が出てくるんですよ(笑)。伸びる業界に入ったら、当たり前ですがその分ライバル多いってことですからね?

鈴木:間違いない。本当そうなんですよね。1人勝ちしている人に突撃して跳ね出されるだけなんで。

DaiGo:結果的にそうなるのはいいんですよ。株でもそうですけど、上がっていく株を買ったらどっかで下がるし、みんな買い始めているから値段も高いしでダメなんですよ。逆はいいんですよ。自分の仕事を最終的に好きになるのはいいし、自分の業界が伸びる、いいじゃないですか。強み・適性を重視するっていうのは、どっちかというと「比較的得意なことを重視する」、比較優位がいいなって。

鈴木:比較優位、大事だと思うんですよね。その業界トップじゃなくていいから。

DaiGo:「結果的に自分の仕事が好きになる」「結果的に自分の業界が伸びる」、あとは「強み・適性を持っている人を見つける」ですね、僕だったら。自分じゃなくて。こういうことしたいなーって思っているじゃないですか、それで自分よりすごい人見つけたら取り込むっていう。

鈴木:そこは本当に比較優位の問題ですよね、強み・適性に関してはね。

DaiGo:強み・適性の判断って難しいですよね。自分よりすごい人見つけたときに、大体の人は挫折するんですけど、「なるほどこれは自分よりこの人のほうが得意だな、じゃあ自分のほうが得意なことは何かな」って考えたら、その使い道が見えてくるじゃないですか。それがいいんじゃないかなと。

僕も芸能人としては見た目がいいわけじゃないしプロデューサーに従順なわけじゃないし演技できないし歌できるわけじゃないし、トークがめっちゃうまいかって言ったらもちろん説明はうまいんですけどテレビで求められているものじゃないんですよね、僕みたいなのは。

鈴木:チームプレイできないってことですよね(笑)。

DaiGo:そうそうそうできない! 誰も後に続かない、消しとばすっていう(笑)。「誰もDaiGoが言ったあと返せないんだよ、だから会話が続かないんだよ!」って。

鈴木:協調性ゼロですからね(笑)。それがいいところですからね。

DaiGoさんのキャリア、なかなか面白い変遷たどっていますよね。

DaiGo:キャリアに関しては、「キャリアプランみたいなのはつくる意味ない」。不確定要素が多すぎるから無理だよねと。「未来がわかるんだったら、キャリアプラン考えるより株やったら」みたいな(笑)。

鈴木:キャリアに関しては考えずにいけばいいんですかね、その場その場で。

DaiGo:うーん、まあそうですね、僕も(キャリアプラン)考えていたんですけど、そのとおりにいかなかったですね。最初は研究者になりたかったんですよ。自分が好きな研究ができて、好きなことだけして生きていける、みたいなのがその先にあって。でも実際なった人に聞いてみたら、好きなことできないしお金も取ってこなきゃいけないし、指導教員に逆らえないし、しがらみも多いし。絵空事だったわけですよ。

そこで僕考えたんですよね、自由に好きなことやれるのって研究者以外にないのかな。そもそも、研究というか知識を手に入れる以外に好きなことあるんじゃないかなって。まさにソクラテス式問答法(※)ですよね。で、いろんなこと好きだしやってみたいから、とりあえず「より自由になれる選択肢」を取ろうっていうのだけ、ざっくり決めたんですよ。そしたらテレビよりも配信だし、講演よりもコンサルだし、っていうふうにどんどんなっていったんですよね。

 

※他人と問答するように、「根拠は?」「ほかには?」と多角的に自問自答を重ねていく思考法。

必要なのは価値観

鈴木:おおまかに価値観ベースで決めて動く、みたいなことですね。

DaiGo:間違えないでほしいのは、価値観を決めるのは大事だけど、選択肢を絞りすぎるのは違うよねってこと。柔軟性を残しておかないと。

鈴木:なるほど、視野狭窄問題につながることですね。

DaiGo:声を大にして言えるのは、自分は思ったとおりには人生全然いかなかったけど、思った以上にいったなと。僕の想像力の範囲を超えて成果が出た。だから適職を決めつけちゃうのは自分の想像の範囲内の成功しか出ないです、基本的には。

鈴木:それは最初からそうだったんですか?

DaiGo:いやもう挫折しすぎた。挫折したらもう二択しかないんですよ。挫折を受け入れずにどんどんしんどくなっていくか、受け入れて次に進むしかなくて。僕は挫折をしたこと、自分の計画が人生の前半でほぼ全部うまくいかなかったことで、「受け入れる姿勢」が生まれた。

鈴木:アクセプタンス(※)が成長したと。それによって人生の偶然をうまく取り込む方向に気持ちが変わったんですね。

※現実の状況について、変化や抵抗せずに理解しようとする態度。

DaiGo:パレオ(鈴木)さんは、最初はなんの職業に就いたんでしたっけ?

鈴木:もうずっと編集者ですね。でもキャリアプランはやっぱ考えなかったですね、明確にはね。

DaiGo:キャリアプラン考えなくてダメになる人と、考えたけどダメになる人といますよね。

鈴木:そうですね、あの差はなんなんだろう……。

DaiGo:キャリアプラン考えるときに価値観を入れているかどうかはある気がします。ダメな人って、自分のキャリアのピークだけ考えるんですよ。「40で起業する」とか、「40ぐらいで年収いくら」とか。逆に(もっと)飛んじゃえばいいんですよね。「どう死にたいか」とか。そこまでいっちゃうと遠すぎて、価値観的な考え方になるじゃないですか。

鈴木:確かに。具体的な年収とかを目標にしちゃうと、計測できるだけに失敗したときのへこみ方が半端ない。

DaiGo:いろんな成功のスタイルがあるのに、「これに就けなきゃアウト」みたいなのはよくない。僕もそうですもん、東大に入らなかったらアウトって思って、入れなくて。それで研究者になろう、みんなに注目されるような研究者になりたいから学生のうちから何かしようって思ったんですけど、『Nature』に卒論が載るような人がいるじゃないですか。それで断念し、テレビにも出てみたものの大きい事務所でもないからそんな強くないし、雛壇とか出られるわけでもないし。

鈴木:タレントとして大成しようと思ったときはあったんですか?

DaiGo:一応ありましたよ。やっぱりテレビに出るからにはお金稼ぎたいなとか、レギュラー番組欲しいなとか愚かにも思った時期ありましたし。最初は特番欲しいなって思ったんですよ。パフォーマーの特番って、マジシャンなのでだいぶジャンルが違いますけど、セロさんとか、ああいう人すげーって思っていたんですよ。壁からハンバーガー出てくるし水槽に手突っ込むし、本物の魔法使いいるんだ!となりましたよ。

「思っていたのと違う」はもうさんざん

DaiGo:実際に1回だけ、1時間(特番が)あったんだけど、やっぱ(理想と)違うんですよ。打ち合わせがすごく大変だし。特番のメインってパフォーマーじゃなくてタレントですから。タレントがリアクションとるほうがテレビとしては価値があるんです。どんなにこっちが難しいことやろうと関係ないんです。タレントのリアクションがすべて。これで衝撃を受けるわけですよ、「あ、努力する方向間違えた……」って。

鈴木:それはモチベーション上がらないですね、確かにね。

DaiGo:そういうのばっかりでしたね。好きを仕事にしようとして「思っていたのと違う」っていうのはもうさんざん。

鈴木:適職選びの失敗の定番パターンですからね。

DaiGo:いっぱいありますよ。ニコニコ動画だって最初は挫折しました。YOSHIKIさんや堀江さん、著名人はニコニコ開設して最初の放送で3000人とか4000人とか入るわけですよ。僕(最初の放送で)入ったのは3人ですからね。でもYOSHIKIさんの1000分の1の価値だって考えたらまあ妥当かなみたいな(笑)。

鈴木:リアプレイザル(※)のお手本のような(笑)。

 

※現実に対する解釈を変えることで感情をコントロールする手法(『最高の体調』5章より)

DaiGo:そこで思ったんですよ。タレントとしての価値だったら1000分の1は妥当。ただ、ほかに何かあるだろう、分析力とか数字に対する執念とか、そこで勝負しようと思って。結果ね、ぶっちぎり1位なんですよ。すべてにおいてYOSHIKIさんの1000分の1ではないと思うんですよ。

冷静に考えたらパレオ(鈴木)さんがここにいるのだってすごい偶然ですもんね。どうキャリアプラン描いたらここにいるんだって(笑)。

鈴木:こんなキャリアプラン描きようがないですからね(笑)。本当偶然ですね。一定の方向性だけ決めて適当にやったらこうなったって感じですね。

DaiGo:方向性は決めていいんだけど、それ以外の部分は偶然をキャッチするために一生懸命ネットを広げとかないと。

鈴木:網を広げとく(※)って感じですよね、ずっと。

 

※『科学的な適職』では、視野を広げるための手がかりとして「仕事の幸福度を決める7つの徳目」を基に選択肢を拡大していくテクニックを推奨

DaiGo:僕、大学生のときの目標とか将来こうするとか、全部グーグルカレンダーに残っているんですよ。殊勝ですよ。「月100万円稼ぐ男になる」みたいに書いてあるんですよ(笑)。

そのね、解決策というか、「こうやったら月100万円超えるだろう」ってプランが稚拙なんですよ、甘いんですよ。先輩に「大学4年間で4000万円稼いだ」というようなことを言っていた人がいて。それ超えたいから「月100万稼ぐ男になる」って言っていたんです。目標の設定がひどすぎる(笑)。

鈴木:なるほど(笑)。多いですよね、そういう設定している人ね、めちゃくちゃ見かけますけど。

DaiGo:周りとの比較で決めている時点でもうなんかいろいろアウトですよね。あと「かなり無謀で無理だとわかっているんだけど書いちゃった目標」みたいな恥ずかしいやつがあって、dropboxに残っているんですよ(笑)。その中に、「35歳までに年収1億円」って。こんなん普通に無理じゃないですか、しかも解決策なんも書いてないんですよ。「株で当てる」とか(笑)。当時はタレントとか意識してなかったですからね。

鈴木:目標が明確で手段がぽわっとしているいちばんダメなパターンじゃないですか(笑)。

DaiGo:まさにそう、これ(『科学的な適職』帯の×印)つけられる。失敗したときのダメージがでかい目標の明確さがあるのに、自分が一歩踏み出すための階段が一切ない。エベレストの高さの崖を下から見ているみたいな(笑)。

オックスフォード大学に入るはずがニコニコ動画へ

DaiGo:それでいろいろやったんだけど全部うまくいかなくて。ニコニコ動画でこうなる(成功する)前に僕が最後に立てた、無謀というか、結局ならなくてよかったと思っている目標が、「オックスフォードの学生になる」っていう。でもね、なんでなりたいの?と自分に問い詰めるじゃないですか。そうするとね、「なったら人生変わりそうな気がする」という。

鈴木:なるほど、終わっていますね(笑)。価値観ではないやつですね。

DaiGo:当時はニコニコとかなかったので、パフォーマンスをテレビでやっていることが多くて。本も出していたんですけど、まあ”パフォーマー”として扱われていて。それで、もうオックスフォードに入って博士号とか取って、そこまでやって日本に帰ってきたらみんな認めてくれるはずだと。DaiGoはパフォーマーじゃなくてちゃんと科学を語れる人なのだ、と。本当、数年前までこれにとらわれていたんですよね。

鈴木:最近の話なんだね。

DaiGo:5年くらい前ですからね。で、オックスフォードで学生やっていくにはお金が必要じゃないですか。でもテレビも講演も日本じゃないとできないから、向こうでできる仕事をやらなきゃいけない、だからコンサルをやろうと思ったんですよ。

それで、コンサルの仕事も取り始めて、今は結構来ていますけど、当時はなかなか。そもそも当時のテレビでのイメージがパフォーマーなんだからコンサルの仕事なんか来ないという話で。そこから徐々にテレビの仕事もパフォーマンスも減らしつつ、生きてくのにギリギリのお金は必要なので、いろいろ手を出し始めたんですよ。その中の1つがたまたまニコニコだったんですよ。

鈴木:なるほどね、目標に向かってネットを広げ出したら当たったと。

DaiGo:そうなんですよ。だからオックスフォードに入るためのルートを探そうと思って、お金がなくてストレートに行けないから網を広げたら、たまたまそこに超大当たりがあった。

鈴木:まさに偶然をつかんだんですね。いかに網を張るのが大事かがよくわかる事例ですね。

DaiGo:つねに最高の答えは自分の想像の外にあると思っています。

(いろんな人の職業変遷の話を聞いて)共通して言えるのは、別にやりたい仕事に就いたわけではないってことね、結局。結果好きになった、はありえますけどね。僕、表に出る仕事が大嫌いだったけど、自分の動画好きだもんなやっぱり。

鈴木:表に出るのが嫌いだったんですね?

DaiGo:学士編入するためにお金必要じゃないですか、その金を稼ぐために何しようかなと思ったときに、効率悪いんですよバイトって。若い人が効率よく金稼ぐためには起業してバイアウトするか、有名人になるかしかないんですよ。そしたら有名人のほうが早いだろって思って。

みんなの前に出て何かやるってタイプじゃなかったです。むしろそういうやつらを遠くから見て「ケッ」って言っている、「あれなんか意味あるの?」って。で、けんか売られたらそいつらよりはるかにうまくやってのける、そういうのが好きだったんですよね(笑)。

やりがいも適性も後付けで来る

DaiGo:友達もね、人間関係も近いと思うんですよ。もちろん好きな人と友達になるのはいいんだけど、最初っから好きになれるかはわからないじゃないですか。偶然に頼る必要がある。友達と計画的に出会おうとする人いないじゃないですか。

鈴木:確率の網を広げるしかないっていうところに落ち着きますね。

DaiGo:表面的にはわからないことも、付き合ってみると見えてくるんですよね。誰でもそうですけど。仕事も同じようなものだと思うんですよ。表面的には「こんな仕事好きになれない」と思いながらも、付き合っていくと「いやここは楽しい」とか「やりがいある」とか、「ここ意外とうまくできるな自分」とか。だからそこなんでしょうね。

鈴木:やってみないと比較優位も見えてこないからね。

DaiGo:でもだんだんこの歳になるとやっとわかってくる、強み……っていうか性格だけは見えてくるな。凝り性とか記憶力とか、大体みんなに言われて気がつきますね。自覚がない。これ大事だと思うんです、「自分の強み・適性はこれだ」と思っていると、それ大体なりたい自分なんですよ、なりたい自分って自分じゃないじゃないですか。それでみんな職業選択ミスるんですよ。

鈴木:凝り性、気づいてなかったんですね。

DaiGo:凝り性も、記憶力も自覚ゼロ。パレオ(鈴木)さんに出会う前、調べ物得意だと思っていましたもん。なんで自分リサーチ得意だと思っていたんだろうと……それ多分凝り性なんですよ。

鈴木:なるほど、凝り性の副産物としてリサーチがあったと。

DaiGo:そうです。そういうのに気づけるっていうのは、仕事もそうですけど、仕事する前に気づくんじゃなくて、している間に気づく。これが向いてると思っていたけど実はこっちの能力が高くて続いているんだ、とかわかるから。見えてくるものが後から来る。

鈴木:情熱とかもね、後から来るからね(※)。

※物事に情熱を持てるかどうかは、人生で注いできたリソースの量に比例する(ロイファナ大学の研究等/『科学的な適職』1章より)。

DaiGo:けっこう後付けでくるものが本質なんですね。

ジェネシスヘルスケア顧問、新潟リハビリテーション大学特任教授

メンタリスト DaiGo

慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心をつくることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。その後、活動をビジネスおよびアカデミックな方向へと転換し、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動中。著書に『自分を操る超集中力』『知識を操る超読書術』(かんき出版)など。

サイエンスライター

鈴木 祐

1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

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