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「忌憚」の意味や読み⽅とは?
ビジネスシーンにおいて、「忌憚ない意見」を求められたことはありませんか? 「忌憚」の意味をわかっていないと、どのような意見を述べればいいのか、迷ってしまいますよね…。そこで本記事では、「忌憚」の意味や読み方、使い方などを解説します。上司から「忌憚ない意見」を求められた場合の対処法や、「忌憚ない意見」を述べる際のポイントも見ていきましょう。
読み⽅と意味
「忌憚」という言葉は「きたん」と読みます。意味を辞書で確認していきましょう。
[名](スル)
1 いみはばかること。きらいいやがること。
「友達から―され軽蔑されるような人間」〈谷崎・異端者の悲しみ〉
2 遠慮すること。多く、否定の語を伴って用いられる。「どうぞ―のないご意見を」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「忌憚」とは一言で言うと、「遠慮すること」です。つまり、「忌憚ない意見」を求められた場合は、「遠慮のない、率直な意見」を求められていることになります。
「忌憚」という言葉の漢字を、「忌」と「憚」に分けて考えてみましょう。「忌」は、死者に関連する漢字で、「はばかること」という意味になります。「はばかる」とは、「差し障りを覚えてためらう」「遠慮する」「気兼ねする」ということ。「憚」にも「遠慮して避ける」という意味があります。
このように、同じような意味を持つ「忌」と「憚」を重ねて成り立つ「忌憚」は、「はばかり遠慮する」という意味になるのです。
ビジネス等で使う時の注意点
「忌憚ない意見を聞かせてほしい」と言われた場合は、「遠慮せずに率直な意見を言ってほしい」という意味になります。ビジネスシーンでは上司から部下に対して、率直な意見を求める場面もよく見られますね。
ただし、「忌憚ない意見」を求められたからといって、目上の人の意見を全否定すると関係を悪化させる可能性が。適切な言葉を選び、礼儀正しく伝えることが大切です。「失礼かと思いますが、忌憚ない意見を申し上げますと…」というようにクッション言葉を使うことで謙虚さが伝えられるでしょう。
反対にこちらが、率直な意見を求める際には、「忌憚ないご意見をお聞かせ願います」「ぜひ、忌憚ないご意見をお聞かせいただければと思います」と表現することができます。取引先とのメールのやり取りの、結びの文として用いることもできるため、覚えておくと役立ちますよ。
どのような場面で「忌憚ない意見」が必要?
どのような局面で、「忌憚ない意見」が必要になるのか、一緒に見ていきましょう。
新しい企画や商品を開発するとき
新しいサービスや新商品を開発する際には、各々が自由にアイデアや考えを出し合うことが大切です。例えば、若い女性向けの商品を開発するのに、上司に遠慮をして若い女性社員が意見を言いづらい環境は、会社にとっていい状況ではありません。
メンバー同士が忌憚なく意見を交換して、より良いアイデアを練っていくことが、クオリティの高い商品を生み出すきっかけとなるでしょう。
企画やプロジェクトが失敗したとき
立ち上げたプロジェクトが失敗したり、課題に直面したときにも忌憚ない意見が求められます。「なぜ計画が失敗したのか」「どの時点で、失敗したのか」など具体的に、問題の根本に迫らないことには解決策が出てきません。肩書きや立場にかかわらず、参加者がそれぞれの率直な意見を述べることで、組織の問題点や改善すべき点が明らかになっていくでしょう。
スキルアップが必要なとき
個人が成長するためには、他人からの忌憚ない意見が必要になることもあります。上司から仕事のフィードバックをもらうことで、「何が足りなかったのか」「どのスキルが欠けているのか」を客観的に分析することができます。時に厳しいことを言われるかもしれませんが、パフォーマンスの向上や問題の改善に他人からの意見は欠かせません。
「忌憚ない意見」への返答方法
部下やお客様から「忌憚ない意見」を言われた場合、どのような返答をすればいいでしょうか? 対応方法を含めて紹介します。
相手の意見に耳を傾ける
働いていると、お客様から実際に商品を使ってみた率直な意見を言われたり、部下から若い世代ならではの考えを言われることもありますよね。まずは、途中で口を挟まず、相手の意見や考えをしっかり聞き出しましょう。相手の言葉に耳を傾けることで、相手の背景や意見の根拠を把握することができます。
自分の意見や会社の方針と照らし合わせる
一通り相手の意見を聞いたところで、自分の意見や会社の方針と合致するかどうかを考えてみます。共通する部分については相互の意見を組み合わせて、サービスの向上や問題の解決に役立てます。もし、異なる意見だったとしても理解を示す姿勢を伝えることは大切です。
忌憚ない意見を聞かせてくれたことに、お礼を述べる
意見を聞いた後は、「貴重なご意見をありがとうございました。」「率直なご意見をいただき、とても参考になりました。ありがとうございます。」などとお礼の言葉を伝えましょう。どんな内容の意見であったとしても、包み隠さず意見を述べてくれたことに対する感謝を伝えます。
そうすることで相手も「話してよかった」と感じるはずですし、対応の仕方に関してのトラブルを避けられるメリットもあるでしょう。
使い⽅を例⽂でチェック
「忌憚ない意見」が、実際にどのような使い方をされるのか、例文で詳しくチェックしていきましょう。
「忌憚ない意見を聞かせてほしい」
「遠慮のない意見を聞かせてほしい」、「率直な意見を聞かせてほしい」という意味です。ビジネスの場で、上の立場の人が目下の人に対して、立場の上下を気にせずに意見を求める時に使われます。
「忌憚ないご意見をありがとうございます」
「率直な意見をありがとうございます」という意味です。企業などが、自社が提供するサービスに対して、顧客から意見やクレームを受けた時に、よく見られるフレーズです。