「その後の女妻母たち」への追跡インタビュー。【妻】安宮依李さん(35歳)の後編をお届けします。
前編はこちら:女妻母~ひと皮むけば誰でも傷だらけのヒロイン~【安宮依李さん・前編】
家族総出の一大プロジェクト“お受験”を乗り越え、復職に向けて今思うこと
前回のインタビューで、この2年間で起きた出来事の中に“お受験と妊娠生活を両立させたこと”が挙げられています。どんな状況だったのか、詳しく聞かせてください。
まず、妊娠中も毎朝早起きして、長女に勉強を教えていました。平日は母にお願いし、土日は夫もまじえて家族総出で塾の送り迎えを。妊婦的にはすぐに眠くなる時期なんですけれども、寝ているわけにはいきません。引っ越し直後は長女と次女の保育園が別の区に分かれてしまったので、そこは痛かったです。
妊婦生活と保育園とお受験準備を同時進行させていくうちに、次第にてんやわんやになってしまって、けっこう体調も崩しました。その当時は夫婦ゲンカもしょっちゅう絶えず(笑)。初めてのお受験でわからないことだらけだったので、ふたりでピリピリしてたんですよね。でも一度乗りかかった船だからと気持ちを盛り上げながら、家族全員で頑張ったという感じでしたね。
壮絶な日々が浮かんできます。
確かに壮絶でしたね(苦笑)。きっかけは、長女の先々のことを考えた夫のひとことだったんです。今、バレエのお稽古がすごく楽しそうだから、小学生の間はバレエを思いっきりやらせてあげたい。だったら小学校でお受験して中高一貫校に入れたほうがいいのではと、夫が率先して塾を探し始めたんです。
そんなさなかの妊娠。臨月前はどう乗りきりましたか。
お受験は11月でちょうど臨月。まさにお腹が大きいまっただ中。マタニティのお受験服を購入して説明会に行きました。親子のコミュニケーションの様子を見る試験もあるため、私が試験会場に同行し、夫は車で送迎担当。途中から朝の勉強は夫が見てくれるようになり、その間、私は次女に朝ご飯を食べさせて、長女が快適に勉強できるような環境づくりの工夫をしました。
仕事の大変さとはどのような部分で違いましたか。
子供のことを考えての選択とはいえ、お受験ってある意味、親が決めて頑張らせていることじゃないですか。それでもし、結果が出なかったら娘がかわいそうだと思っていました。仕事の場合はたとえ結果が出なくても、それは自分の責任だったり、チームで検討すべきことだったりしますよね。でもお受験の場合は、そこが全然違うんです。娘の心のケアもしながら、私自身も笑顔でいなくては。“大丈夫だよ”と安心感をもたせなくてはと、その思いでいっぱいでした。
今の学校の発表はWeb上でしたが、“合格”の2文字を見たときは、今まででいちばんうれし泣きしたかもしれません。倍率が高めの学校だったので無理だろうと思いながら暗証コードを打ち込んだら、ポンっと画面が出て。見た瞬間、わーっと泣いたら「どしたのママ!」って娘も驚きました。“合格おめでとうございます”の文字に、家族全員で手をとりあって喜びあいました。
一大プロジェクトが成功したような感じですね。今、1日のスケジュールはどのような感じですか?
長女の登校時間に合わせて起床は5時半に早まりました。彼女を送り出したら、次女の勉強を少し見てから保育園に送り出し、8時半には夫が出社。そのあとは買い物に行くなど家事をして、夕飯準備にとりかかっていると3時半くらいには長女が小学校から帰って来ます。平日は毎日習い事を入れているため、帰宅後は長女か次女の習い事へ。夜は長女の学校の宿題を見ながら、夕飯の準備をしたり、次女の勉強を見ています。
22時ぐらいに夫が帰宅。その後、私は次女の保育園の日記を書き、翌日の準備をすませて、長女の宿題の最終チェックと持ち物確認をしていると23時に。夜中は2回くらい授乳で起きます。こうしてみると、自分の時間はほとんどないですね。でもそれではいけないと、すきま時間を見つけては顔にパックをしたり、髪を乾かしながら、頑張ってスクワットをする日もあります。
職場復帰予定は今年の5月とのことですが。
今、住んでいる場所は激戦区なので、保育園に入れるかどうかで少し違ってくるかもしれません。そのころには娘たちも小学校、お受験を控えた保育園の年長、初めての保育園とまたいろいろ重なりそうなので、アウトソーシングの家事代行を利用してみたいなと検討しています。
仕事に対する思いも変わってきそうですね。ふたり目出産からの復帰時には“ゆるぎない軸ができました”とのことでしたが、今度復帰するときには?
やはり守らなきゃいけない存在が増えたので、自分が強くありたいと願う気持ちが、より太い柱になっていると思います。娘たちも少しずつ大きくなって生意気なことも言うんですけど、逆に応援してくれたり優しい言葉をかけてくれたりするので、見本になれるようなお母さんになりたい。それが大きなモチベーションかなと。仕事を頑張る、働くかっこいいお母さんでありたいなと願っています。
仕事復帰後の相棒は学校行事にも対応のアイテム
仕事用のヒール靴と、勤務中の移動時やお迎えの際にダッシュできるぺたんこ靴、学校行事にも対応可能な通勤バッグ、名刺入れなど、復職準備も万端。
インタビュー掲載号:2015年Domani6月号「女の時間割」
撮影時スタッフ:撮影/生田祐介(f-me)ヘア&メーク/坂口勝俊(HAIR DIMENSION)