Domani編集部 M氏(30)
私が若手社員だった頃、新しく取引先となった会社の担当者宛に挨拶メールを作成しました。そこには「この度はご高配を賜り、誠にありがとうございます」と書いていたのですが、上司から「新規の取引開始の挨拶で『ご高配を賜り』を使うのは、少し違和感があるよ」と指摘されたのです。u003cstrongu003eまだ具体的な高配(配慮や引き立て)を受けていない段階でこの言葉を使うと、かえって不自然に聞こえる可能性があるu003c/strongu003eと学びました。
WORK 挨拶・マナー
2025.08.13
「ご高配を賜り」は、話し言葉より書き言葉で使用されるのが一般的です。そのためスピーチなどで「ご高配を賜り」と言っても、会場にいる人に言葉の真意が正しく伝わらないこともあります。
また、やや堅い表現ですので、日常のやり取りで使用されることはほとんどありません。ただし、挨拶状や案内状などのかしこまった書面では「ご高配を賜り」という表現が適しており、頻繁に使用されています。
【目次】
実際のビジネスシーンで目上の人に「ご高配を賜り」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。Domaniの編集者たちの「ご高配を賜り」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
Domani編集部 M氏(30)
私が若手社員だった頃、新しく取引先となった会社の担当者宛に挨拶メールを作成しました。そこには「この度はご高配を賜り、誠にありがとうございます」と書いていたのですが、上司から「新規の取引開始の挨拶で『ご高配を賜り』を使うのは、少し違和感があるよ」と指摘されたのです。u003cstrongu003eまだ具体的な高配(配慮や引き立て)を受けていない段階でこの言葉を使うと、かえって不自然に聞こえる可能性があるu003c/strongu003eと学びました。
Domani編集部 R氏(42)
部下の一人がすべての顧客へのメールの結びに「今後ともご高配を賜りますよう、お願い申し上げます」と付けていることに気が付きました。顧客への深い感謝の意を伝えたい気持ちは理解できますが、u003cstrongu003eあまりにも頻繁に使うと言葉の重みが薄れ、形式的に聞こえてしまう危険性があります。u003c/strongu003e私は部下に、「日常的なやり取りでは『引き続きよろしくお願いいたします』などで十分だよ」と指導しました。
ビジネスの場で使える「ご高配を賜り」の例文をいくつか紹介します。普段のやり取りで使う機会はあまりありませんが、さまざまな言い方を覚えておくといざというときに役立つでしょう。
「ご高配を賜り」の例文は以下のとおりです。
例文
・平素は格別のご高配を賜り、厚く感謝申し上げます
・この度はご高配いただき、誠にありがとうございました
・〇〇には身に余るご高配を賜り、心より深く感謝いたします
・〇〇を事に終えることができました。来年度もご高配賜りますよう、よろしくお願いいたします
・本年度の〇〇に関しましても、ご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます

続いて、「ご高配を賜り」の類語表現を見ていきましょう。それぞれの意味や使い方を詳しく解説しますので、状況に合わせて使ってみてください。

「ご配慮」には、「気を配る」「配慮する」という意味があります。気を配ってくれた相手に対して感謝の気持ちを伝えたいときに使える表現です。ビジネスの場では、取引先や社外の人はもちろん、上司などの社内の人にも使用することができます。
例文
・皆様には格段のご配慮を賜りましたこと、深く感謝申し上げます
・ご配慮を賜りまして、誠にありがとうございます
感謝の気持ちを伝えられる「ご配慮」ですが、注意を促す際にも使えます。たとえば、「通話の際には周りの方にご配慮ください」「お子さまが就寝中ですので、ご配慮いただけますと幸いです」などと使用可能です。
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「ご愛顧」は、「目をかける」「ひいきする」の意。「目をかけていただきありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えたいときに適切な表現として使えるでしょう。「〜を賜り」を付けることで、より丁寧な言い回しになります。
例文
・以前より〇〇社製品にご愛顧を賜り、誠にありがとうございます
・かねてより弊社の〇〇をご愛顧賜り、深く感謝申し上げます
主にビジネスの場面で使われ、取引先とのメールや文書など、書き言葉として使用されることがほとんどです。ただ、新商品の発表会や取引先や顧客との催しでは、冒頭の挨拶や締めの言葉として使われるケースもあります。
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「お心遣い」は、「気を配る」「配慮する」という意味です。配慮してくれた相手に対して感謝の気持ちを伝えるときに使用されます。こちらも「〜を賜り」を付け加えることで、目上の人にも使える丁寧な言葉になりますよ。
例文
・〇〇様には日頃からお心遣いを賜り、誠にありがとうございます
・お心遣いを賜り、深く感謝申し上げます
ただし、こちらは「ご高配を賜り」とは使い方が多少異なる言い回しです。「お心遣い」は日頃から配慮してくれる相手に対して用いられるのに対し、「ご高配」はもっと広い意味で使われる表現。少し意味合いが違いますので、使用するときは注意しましょう。
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「お引き立てを賜り」には、「引き立てる」「ひいきする」という意味があります。「ご愛顧」と同じ意味で使える便利な表現で、取引先や顧客など立場が上の人に対して使うときに最適です。また、社外だけでなく、社内の上司にも使用できます。
例文
・平素は一方ならぬお引き立てを賜り、深く感謝申し上げます
・今後ともお引き立て賜りますよう、よろしくお願いいたします
取引先や顧客との関係性はあまり関係なく、一度しか取引のない相手にでも「お引き立て」を使うことが可能です。メールや文書など書き言葉はもちろんのこと、話し言葉でも使えます。
海外とのやり取りでも使える「ご高配を賜り」の英語表現を見ていきましょう。

「patronage」は、「後援」「支援」といった意味があります。日本語でいう「お世話になります」と言い換えできる英語表現で、「ご高配を賜り」と同じ意味で使用することが可能です。
例文
・Thank you very much for your patronage.
(ご高配を賜り誠にありがとうございます)
・We kindly ask you for your patronage.
(ご高配を賜りますようお願い申し上げます)
「kindness」は「kind」に「ness」を付けた名詞で、「優しさ」「厚意」などの意味があります。日頃から使用できるのはもちろん、ビジネスなどのフォーマルな場面でも使用できる表現です。
例文
・We appreciate your kindness.
(ご高配を賜りまして、誠にありがとうございます)
・Thank you for your kindness.
(ご高配を賜りありがとうございます)
ここでは「ご高配を賜り」という言い回しに関して、よくある質問を紹介していきます。
「ご高配を賜りますようお願い申し上げます」という言い回しは、状況や相手によっては失礼にあたる場合があります。相手との関係性が浅い場合や初めての連絡の場合、まだ相手から具体的な高配(配慮や引き立て)を受けていませんので、不自然で馴れ馴れしい印象を与えるおそれがあるのです。
「ご高配を賜り厚く御礼申し上げます」は、特別な配慮や継続的な引き立て、手厚い支援に対して、心からの感謝を伝える言葉です。年末年始や決算期の挨拶など、一年間を通じて受けた支援や配慮に感謝するとき、長年の取引関係や恩顧への感謝を伝えるときに使用します。
「(過去に)特別なご配慮やご支援をいただき、誠にありがとうございました」という意味を持つ、正しい表現です。相手への深い感謝と敬意を示す、非常に丁寧な言い回しとされます。
取引先や顧客からの配慮に対して感謝の気持ちを伝えられる「ご高配を賜り」。ビジネス上の相手と良好な関係を築くうえで重要な言葉です。ただし、相手との関係性が浅い段階や初対面の相手に使用すると不自然な印象を与えるため注意しましょう。
正しい意味や使い方を覚えて、「ご高配を賜り」を適切に使ってくださいね。
メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/
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