【目次】
・「お心遣い」の意味や使い方について
・「お気遣い」や「心配り」との違いについて
・「お心遣い」はビジネスで使える?
・「お心遣いありがとうございます」の返事は?
・「お心遣いありがとうございます」のほかの言い方
・「お心遣い」で感謝の気持ちを丁寧に伝えよう
【目次】
「お心遣い」の意味や使い方について
ここでは「お心遣い」の意味と使い方について詳しく説明しましょう。

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「お心遣い」とはどういう意味?
「お心遣い」には2つの意味があります。ひとつは「相手を思いやること、配慮」で、もうひとつは「お金」です。
「お心遣い」に近い言葉に「ご配慮」や「ご厚情」、「ご厚意」がありますが、少し硬い印象を人に与えてしまいます。「お心遣い」は柔らかく品がある印象を与え、職場でも使う機会の多い表現のため、シーンにあわせて正しく使えるようになりましょう。
相手の気持ちを思いやること
「お心遣い」とは、相手を心配したり思いやったりする気持ちのこと。たとえば自分が病気や事故に遭えば、相手は心配してくれたりいろいろと配慮してくれたりするでしょう。このように、相手が自分に対して抱く温かい思いやりのことを「お心遣い」といいます。
「お金」という意味もある
「お心遣い」には「お金」という意味も。日本では昔から、結婚式やお祝いごと、葬儀の際にお金を渡す風習があります。「お金」という言葉をそのまま使うのはふさわしくないという考えから、「お心遣い」と言い換えて使っているのです。
また「ほんの心ばかりではございますが」と金品を渡す場面もあるでしょう。これも金品を「心」と言い換えた表現のひとつです。
「お心遣いありがとうございます」を中心とした使い方や例文
「お心遣いありがとうございます」は、相手が心配してくれたり配慮してくれたりしたことに対して感謝を伝える一般的な言葉です。「誠に」がつくとより丁寧になります。次に、いくつか例文を挙げましょう。
【例文】
・皆様の温かいお心遣いを誠にありがとうございます。
・お心遣いくださいましてありがとうございます。
・こんなに多くのお心遣いをいただき、身に余る喜びです。
・たいそうなお品までいただき、お心遣い痛み入ります。
「お心遣い」は上司や目上向けの言葉
「お心遣い」は「心遣い」に接頭語の「お」がついた尊敬語です。また「お心遣いありがとうございます」という表現には、「自分のような者に配慮していただいてありがとうございます」と謙遜した意味合いも含まれるため、一般的に目上の人や上司、その家族に使います。
同僚や友達のような気心の知れた人には、普段の言葉「〜してくれてありがとうございます」で十分です。感謝の気持ちが込もっていれば、気持ちはしっかりと伝わるでしょう。どれほど素敵な言葉でも、シーンに合わせて使うことが大切です。
「お心遣いありがとうございます」の英語表現は?
日本で働く外国人は多くなっており、普段から外国人とコミュニケーションを取っている人も多いことでしょう。感謝の気持ちを伝える場面では特に、正しく英語で伝えたいものですね。英語訳は次のとおりですが、日常的に使う表現なので覚えておいて損はありません。
・kindness(心遣い)
・consideration(熟慮)
・thoughtfulness(思いやりの心)
「Thank you for your kindness」は、ビジネスでもプライベートでもよく使われます。
また、より丁寧に伝えたい場合は、次のような言い方もあります。
・I really appreciate your consideration.
ご配慮に感謝いたします
・I really appreciate your kindness.
ご親切に感謝いたします
「お気遣い」や「心配り」との違いについて
「お心遣い」と似た言葉に「お気遣い」や「心配り」があります。少しずつニュアンスが異なるので、微妙な違いを理解して使い分けましょう。

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「お気遣い」との違いとは
「気遣い」には「あれこれと気を使うこと」と「心配、懸念」という2つの意味があり、「気配り」に接頭語の「お」がつき尊敬語となります。自分の行動に尊敬語は使わないので、「お気遣い」してくれるのは相手という場合です。
「お心遣い」との違いですが、「気遣い」は心配してくれたり配慮してくれたりといったやや一般的な行動に対して、「お心遣い」のほうが一歩踏み込んだ思いやりを意味します。
たとえば取引先に行ったときに途中で雨が降り出し、「雨が降ってきましたが大丈夫ですか?」と相手が心配するのは「お気遣い」です。一方、タクシーを呼びタクシーチケットまで準備してくれた場合は「お心遣い」となります。
「お気遣いありがとうございます」の使い方や例文
「お気遣いありがとうございます」は使う機会が多いでしょう。次にいくつか例文を挙げます。
【例文】
・お気遣いに感謝します。
・この度はお気遣いいただき、誠にありがとうございます。
・どうぞ、お気遣いなく。お気持ちだけ頂戴いたします。
「お気遣い」は「お気遣いなく」と、相手の気遣いを断る場合にも使います。「これ以上の気遣いは要りません。大丈夫ですよ」という意味が含まれ、否定語ですが相手に対して失礼にはなりません。ただし「お心遣い」の場合は、「お心遣いなく」という使い方はないので注意しましょう。
「心配り」との違いとは
「心配り」は「相手のことを考えてあれこれと気を配ること、配慮」という意味と「祝儀や心付け(お金)」の2つの意味があります。「心配り」は「お心遣い」より、あれこれと気をつかう様子や行動に焦点があてられるでしょう。
「お心配りありがとうございます」の使い方や例文
「お心配りをありがとうございます」はいただいた配慮へのお礼や感謝の意味を伝える言葉として使います。会話でもメールでも使える丁寧な言葉です。それでは次に、いくつかの例文を挙げましょう。
・いつもながらのお心配りに感謝しております。
・結婚に際してお心配りをいただき、ありがとうございました。
「お心遣い」はビジネスで使える?
「お心遣い」をビジネスシーンで使う場合に気をつけるべき点をご紹介します。

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口語や手紙などに向いた言葉
「お心遣い」は訓読みの和語にあたり、口語や手紙に向いています。単に「ありがとうございます」と言うよりも感謝の気持ちがより強く伝わるでしょう。
ビジネスでは「ご配慮」のほうがベター
報告書や企画書などのビジネス文書に訓読みの和語はふさわしくありません。ビジネス文書で使うのであれば、音読みの「ご配慮」のほうが適しています。
ただし職場においてプレゼントやお花などをもらった際に「お心遣い」を使うのは構いません。たとえば病気や怪我でお見舞いのお花や金品をもらった場合、「お心遣い」を用いて感謝の気持ちを伝えるのは問題ないでしょう。
「お心遣いありがとうございます」の返事は?
相手から「お心遣いありがとうございます」と言われたら、どのような返事が正しいのでしょうか。ここでは返事についてご紹介しましょう。

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「とんでもないことでございます」が定番表現
「どういたしまして」は適していません。「とんでもない」の丁寧語である「とんでもないことでございます」が定番表現です。また「滅相もない」の丁寧語である「滅相もございません」も使えます。
感謝された場合に、謙遜や遠慮の意味を込めて「感謝されるほどのことではありません」の意味合いの言葉を使うのが一般的です。
ビジネスではより丁寧な返事も
ビジネスシーンではより丁寧に、「お力になれたのであれば幸いです」や「お役に立てて光栄に存じます」も使えます。「あなたのお役に立てて私も嬉しいです」という気持ちを丁寧な言葉で伝えましょう。
「お心遣いありがとうございます」のほかの言い方
ここでは、「お心遣いありがとうございます」のほかの言い方を2つご紹介しましょう。

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「ご高配ありがとうございます」
「ご高配ありがとうございます」の「高配」とは、相手や他人が払ってくれる配慮に対して敬意を払う言い方です。会話で使うのではなく社外への文書に用いられます。
たとえば、取引先への文書やメールの文頭に「平素は格別のご高配を賜り〜」、また末尾に「ご高配を賜りますようお願い申し上げます」と添えるのが一般的な使い方です。いくつかの例文を挙げましょう。
【例文】
・内容を検討のうえ、ご高配を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
・平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
・身に余るご高配を賜り、心より感謝申し上げます。
「ご深慮ありがとうございます」
「ご深慮ありがとうございます」の「深慮」とは、「深く思い巡らすこと、慮る(おもんぱかる)こと」を意味します。「ご深慮ありがとうございます」は、相手が自分のために思いを巡らせてくれたことに対する感謝の言葉です。次の例文のように使います。
【例文】
・この度は身に余るご深慮を賜り、誠にありがとうございます。
・格別のご深慮をいただきまして、深く感謝いたします。
「お心遣い」で感謝の気持ちを丁寧に伝えよう
「お心遣い」は相手の温かい思いやりや配慮を意味し、受け止めた際の柔らかい印象を人に与える言葉です。

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「お心遣いありがとうございます」はビジネス文書には不向きですが、口頭や職場での会話のなかで使うのは問題ありません。特別な配慮や温かい思いやりを受けたときには、ぜひ使いたい言葉のひとつです。似た言葉もいくつかあるため、そのシーンにぴったりの言葉を使えるようになりましょう。
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