「ご苦労様」は、上記引用の2番目に書かれている意味合いを持ちます。
Summary
- 「ご苦労様」とは、大変な作業をこなした人などに対して、感謝やねぎらいの意で使う言葉
- 相手をねぎらう意味を持つため目下の人に用いるのが正しい。目上の人にはほかの表現が適している
- 状況や立場をわきまえ、「お疲れ様です」や「お世話になります」などと適切に使い分けて
Contents
【ご苦労様】の意味を確認
「ご苦労」を丁寧に表現したのが「ご苦労様」という言葉です。
ご苦労様の意味
「ご苦労」は、他の人に作業を依頼した際、その苦労に対して感謝を述べるときに使います。基本的には大変な作業を行った人や世話をかけた人に対して述べる言葉です。
【御苦労】ご‐くろう
[名・形動]
1:他を敬って、その人の「苦労」をいう語。お骨折り。ごやっかい。「―をおかけします」
2:他人に仕事を依頼したときなどに、その苦労をねぎらっていう語。同輩以下の者に対して用いる。「遅くまで―だったね」
3:苦労の成果がなくむだにみえることを、あざけりの気持ちを含んでいう語。「この暑いのに―なことだ」
小学館『デジタル大辞泉』より引用


よく似ている「お疲れ様」と「ご苦労様」の違い
「お疲れ様」も「ご苦労様」と同様に相手の苦労に対して、感謝の意味を込めて使う言葉です。まずは意味を確認してみましょう。
【御疲れ様】おつかれ‐さま
[名・形動]相手の労苦をねぎらう意で用いる言葉。また、職場で、先に帰る人へのあいさつにも使う。「ご苦労様」は目上の人から目下の人に使うのに対し、「お疲れ様」は同僚、目上の人に対して使う。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
この言葉は、単に「お疲れ様」と言うだけでなく、「お疲れ様でした」「お疲れ様でございます」のように、語尾を変えることで丁寧さを調整できます。また、場面に応じて使い分けが可能です。
例えば、出勤時や退勤時に挨拶として使ったり、仕事を手伝ってもらったときや、何らかの作業を終えた相手をねぎらうときに使います。さらに電話を切る際や、相手と別れる際の別れの挨拶としても使えます。
「お疲れ様」は相手の努力を認めて感謝や敬意を伝えるため用いられる、日本語特有の便利な表現といえるでしょう。
「お疲れ様」は親しい目上の人にも使える
2つの大きな違いは、使う相手が異なるという点。「お疲れ様」の場合は、親しい目上の人に対して使えます。ビジネスシーンの場合は、基本的に「〇〇さん、お疲れ様です」といった使い方が一般的です。
「ご苦労様」は目下の人に対して使える
一方「ご苦労様」は、目下の人に対して使える言葉です。一例として部下に「〇〇くん、ご苦労様」と使えます。どちらもビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、目上・目下の人かによって使う言葉は違ってくるため注意してください。
また、同僚など立場が同じ人に対しては、「お疲れ様」と丁寧に表現せず、お互い「お疲れ」と言い合うこともあるでしょう。
文化庁が行った平成27年度「国語に関する世論調査」の結果概要によると、「仕事が終わったときに何という言葉を掛けることが一番多いか」という設問に対し、調査結果(平成17年度)と比べて相手の職階が上の場合も下の場合も「御苦労様(でした)」が減少。「お疲れ様(でした)」という声かけが増加していることがわかりました。

「お疲れ様」は上司や同僚に使えますが、「ご苦労様」は基本的に目下の人に使う言葉です。
【ご苦労様】の正しい使い方をご紹介
「ご苦労様」の正しい使い方をご紹介していきます。

【ご苦労様】が使える相手は?
「ご苦労様」が使える相手は、基本的に目下の人です。
「ご苦労様」は、目上の人から目下の人に対して、苦労をかけたことに対してねぎらう気持ちを表す際に使います。そのため、ビジネスシーンにおいては、作業を行ってくれたり、退勤する部下に対してねぎらいをかける言葉としては適切です。
しかし、目上の人から目下の人に対してしか使えないため、使えるシーンは限定的です。立場が逆の場合に使ってしまうと相手に不快な思いをさせたり、失礼と受け取られる可能性があるため、間違って使わないように注意しましょう。
【ご苦労様】の使い方を例文でご紹介
「ご苦労様」の使い方を例文を用いてご紹介します。
ビジネスシーンにおいて、部下の作業が終わったときや部下が退勤する際に挨拶として「ご苦労様」を添えると丁寧です。
【部下の作業をねぎらいたい場合】
「大変な作業だったようだね、ご苦労様」
【部下が退勤する際にかける挨拶】
「ご苦労様、また明日」
目上の人に使うのは間違いなので気をつけよう
先述したように、「ご苦労様」を目上の人に使うことは間違いです。代わりの表現も含めて、詳しく解説します。

目上の人に【ご苦労様】を使えない理由
「ご苦労様」の「労」には「いたわる、ねぎらう」という意味がありますが、これらは目下の人にかける言葉です。そのため、目上の人に使うと「目下の人に見られているのか」と思われてしまい、失礼とされています。
もし使ってしまうと相手によっては、いい印象を持たれなくなる場合もあるでしょう。ビジネスシーンなどでは、目上の人に「ご苦労様」と使わないよう注意する必要があります。
親しい目上の人には「お疲れ様」が適切
「ご苦労様」と違って「お疲れ様」は、社内の親しい目上の人や同じ立場の人に使える言葉です。
つまり、「ご苦労様」を使えないシーンでは、「お疲れ様」を使うといいでしょう。感謝を述べる場合には「ありがとうございました」、退社する場合には「お先に失礼します」を使ってみてください。


