Contents
【目次】 [hide]
「大変」の意味とビジネスで使うシーン
「大変」の言い換え表現を紹介する前に、「大変」の基本的な意味と用法を説明します。併せて「大変」を使うのにふさわしい、ビジネスシーンの具体例も押さえておきましょう。

(c)AdobeStock
「大変」の意味とビジネスにおける使い方
「大変」という言葉には、名詞・形容動詞・副詞の3つの用法があります。よく使われる「大変ですね」は形容動詞、「大変失礼しました」という使い方は副詞です。
一般に、「物事が重大なさま」「苦労が大きい様子」または副詞的に「とても~」「ひどく~」という意味でよく使います。
特に、ビジネスにおける「大変ですね」で大切なのは、おもに相手への共感や気遣いを示すために使うことです。
気遣いを伝えるシーンでは、表情や声のトーンもメッセージにふさわしいものを心掛けたいもの。相手の苦労に寄り添うことで、信頼関係を深めるコミュニケーションにつながるでしょう。
たい‐へん【大変】
[名・形動]
1 重大な事件。大変事。一大事。「国家の—」
2 物事が重大であること。また、そのさま。「—な失敗をする」「大型台風の通過で—な被害を受ける」
「弥次さんおめえ何のまねをしたのだ—をやらかしたぜ」〈魯文・西洋道中膝栗毛〉
3 苦労などが並々でないこと。また、そのさま。「—な目にあう」「毎日の暮らしが—だ」
[副]程度のはなはだしいさま。非常に。たいそう。「—おもしろい」「—失礼しました」
引用:小学館 デジタル大辞泉
「大変」を使うビジネスシーンの具体例
ビジネスシーンにおいて、「大変ですね」を使う具体例を見ていきます。よくあるのは、仕事で立て込んでいる相手に対して、その状況に軽い共感や気遣いを示す言葉として使うパターン。子育てや介護など、家の事情で忙しい人に言葉をかけるシーンも挙げられるでしょう。
あるいは、難しい問題やプロジェクトに取り組んでいる人に対して、その苦労と努力への理解を表すために言うパターンも見られます。
病気やけがなどがあった場合には、その本人や家族に対して、苦しみに寄り添う共感やいたわりの気持ちを込めて使うこともあるでしょう。このように、ビジネスで「大変」を使うのは、相手が問題を抱えているとはっきりしている場合といえます。
ビジネスで使う「大変」の単語的な言い換え表現
「大変」はさまざまな言い換えが可能です。「とても~」「ひどく~」といった意味の「大変」を言い換えるなら、「非常に」「はなはだ」「極めて」などが挙げられるでしょう。それぞれの単語の意味や使い方を例文とあわせて解説します。

(c)Adobe Stock
非常に
「非常に」は形容動詞で、名詞または形容詞に「非常に」を付けることで「普通よりも程度が大きい状態」を表します。
「大変~」と「非常に~」は近いニュアンスなので、「大変忙しそうですね」はそのまま「非常に忙しそうですね」と言い換えられます。「非常に」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
・今回のトラブルは非常に深刻な問題であり、早急な対応が必要です
・今回のプロジェクトは非常に困難でしたが、何とか完了しました
・昨日のプレゼンテーションは非常に好評でした
3番目の例文にあるように、「非常に」はプラスの意味を強調する場面でも使えます。
はなはだ
「はなはだ」を漢字で表すと「甚だ」です。「大変」や「非常に」と同じで、「一般的な基準よりも程度が大きい様子」を表します。大変を「はなはだ」で言い換えた例文は以下の通りです。
【例文】
・はなはだ僭越(せんえつ)ながら、今後の改善策をご提案いたします
・ご多忙の折、はなはだ恐縮ですが、ご検討をお願いいたします
・はなはだ恐れ入りますが、期日までにご回答いただけますでしょうか
ビジネスシーンでは、「はなはだ」の後ろによく「僭越」「恐縮」「失礼」などを付けて使うため、一緒に覚えておくと便利です。
極めて
「極めて」は「きわめて」と読みます。「はるかに程度が大きいさま」「この上なく」という意味の言葉で、「極めて」を使うと次のような言い回しが可能です。
【例文】
・今回の交渉は極めて重要な局面を迎えました
・この事故は極めて稀なケースであり、原因を究明します
・この度は極めて迅速(じんそく)なご対応、誠にありがとうございます
「この上なく」という意味を持つように、極めては「大変」よりも程度が上の強調表現といえます。
「大変」のニュアンス的な言い換え
相手への共感や理解、気遣いなどを示す「大変」をビジネスシーンで言い換えたいときは、同じようなニュアンスの表現が使えます。仕事の忙しさや重い病気などのシチュエーションに分けて、参考になる言い換え表現を見ていきましょう。

(c)AdobeStock
仕事で忙しい場合に使う「大変」の言い換え表現
仕事や家族のことで忙しい人をいたわる意味で「大変」という場合には、「お疲れさまです」「ご苦労様です」「ご多忙」などの言い換え表現が幅広く使えます。
【例文】
・お疲れさまです。いろいろと大変な時期かと存じますが、ご無理なさらないでください
・ご苦労さまです。 週末はゆっくり休めるとよいですね
・ご多忙中恐れ入りますが、少しでもお時間がありましたらご確認ください
「ご苦労さま」は、一般的に目上の立場から目下の人、あるいは親しい同僚に対して使う表現とされています。目上の立場の人に使わないように注意が必要です。
病気などの場合に使う「大変」の言い換え表現
病気や事故などがあった相手に対して、それをいたわる意味で「大変」を使う場合の言い換え表現を見ていきます。たとえば以下のような言い回しが可能です。
【例文】
・まだ本調子ではないと思いますので、ご無理なさらないでください
・今回の件、ご心痛お察しいたします。何かあればお申し付けください
・職場復帰への不安など、ご心労も多いかと存じます
このような場面で「大変ですね」と伝えたいときは、「お疲れさまです」というよりも、「ご無理なさらないでください」「心中お察しいたします」「ご心労」といった表現の方が適切といえるでしょう。
自分側が相手を大変にしている場合の言い換え表現
自分や自社のミスなどで相手が大変な状況にいるとき、相手の苦労に理解を示すには「ご迷惑をおかけしております」という表現も一つ。以下のような例文を参考にしてください。
【例文】
・度重なる変更でご迷惑をおかけしております。ご調整ありがとうございます
・システム不具合でご迷惑をおかけして申し訳ございません。 現在復旧作業中です
・私の不手際でご迷惑をおかけしております。 深くお詫び申し上げます
「大変ですね」とそのまま伝えると、他人事のように感じられてしまう可能性があるため、注意が必要です。
「大変」を使うときに注意したいこと
「大変」を使うときに注意したいポイントは3点です。使うタイミングを見極め、気遣いを適切に伝えるコツを覚えたいもの。相手との関係性にも気を付けるべきポイントをチェックしましょう。

(c)AdobeStock
相手が実際に大変なときに使う
「大変ですね」といった表現は、相手が実際に問題を抱えていたり困ったりしているタイミングで使うのがポイントです。もし、特に相手が悩んでもいないのに使うと、皮肉や冷笑と受け取られる可能性もあります。
相手が問題を抱えているケースというのは、仕事で多忙なときやプロジェクトが行き詰まっているとき、病気や事故にあったときなどです。
もしかしたらそんなに困っていない可能性もありますが、人からそう思われても仕方がない状況なら、こちらの気遣いが相手に理解されやすく関係にもプラスに働くかもしれません。
「大変」を使うときは気遣いを忘れない
「大変」を使うときの2つ目の注意点は、相手にプラスのメッセージがしっかり伝わるように、こちらの共感やいたわりを態度や言葉で示す必要があるということです。
ただ「大変ですね」と言うだけでは、相手は皮肉とまでは思わなくても形式的な社交辞令だと受け取る可能性があります。そうすれば、信頼が深まるどころか冷たい印象さえ与えてしまいかねません。
こちらの共感やいたわりをはっきり示すには、具体的な状況に対して「大変」と形容することが大事です。「大変ですね」の後に、励ましの言葉や解決への協力姿勢を入れるのも効果的といえるでしょう。
目上の人に使う際は十分気を付ける
第3の注意点は、目上の人に使う際は関係性や言い回しに十分気を付けることです。自分のことをよく知らない相手や目下の人から「大変ですね」といわれると、人によっては「物知りぶった生意気な態度」「偉そうな態度」と感じることもあるでしょう。
気遣ったつもりが、かえって相手を怒らせてしまうのは避けたいもの。普段から親しくしている上司ならかまわないかもしれませんが、親しくない目上の相手や顧客、取引先の人間には軽々しく使わない方が賢明といえます。
ビジネスの「大変」は場面を選んで使おう
「大変」にはおもに、程度の大きさを表す「とても~」「ひどく~」という意味の使い方と、「物事が重大さま」「苦労が大きい様子」を指す使い方があります。
前者の意味で「大変」をビジネスシーンで言い換えるなら、「非常に」「はなはだ」「極めて」といった単語がおすすめです。後者の意味を丁寧に言い換えたいなら「お疲れさまです」「ご無理なさらないでください」「心中お察しいたします」などと表現できます。
特に後者の意味で「大変ですね」という場合には、相手への共感や気遣いがはっきり伝わるような工夫が必要です。「大変」の言い換え表現や使用上の注意点を理解し、相手と良好な関係を築きましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
TEXT
Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
WEB Domani
あわせて読みたい