「最早」
「最早(もはや)」は、ある事態が実現しようとしていることを意味します。また、ある事態が変えられないところまで進んでいることも表す言葉です。「今となっては」「もう」のように、ネガティブなシーンで使われることも多い言葉になります。
(例文)
・最早、今年の夏も終わりを告げようとしている。
・ここまで何とか踏みとどまってきたが、最早これまでか。
重複表現に気を付けたい「予てより」「予てから」
「予て」に似た表現として「予てより」「予てから」というフレーズを耳にすることもあるのではないでしょうか。実は、これらは「重複表現」にあたる使用法です。気付かぬうちに間違った言葉遣いをしないためにも、その理由について確認していきましょう。
重複表現とは?
重複表現とは、同じ意味を持つ言葉を繰り返して使うことです。話し言葉をそのまま文字にすると、起こりやすい表現になります。
そもそも、「予て」は、動詞である「兼ぬ(かぬ)」に接続助詞の「て」がついたものです。つまり、「予て」は一語で「以前から」という意味が完了していることになります。
一方、「予てから」「予てより」には、「~から」「~より」のように、前からあったことを意味する言葉がプラスされています。つまり、「予てから」は、「以前から+から」のように、同じ意味が重なる重複表現になっているのです。
「頭痛が痛い」「受注を受ける」なども、同じように重複表現にあたる言い回しです。言葉のやり取りでは気付かない表現も、実は間違っているケースが多いため意味合いをチェックしておきましょう。
新聞記事では「予て」が基本
新聞社の用事用語集では、「予て」が表記の基本となっています。「予てから問題があった」ではなく「予て問題があったように……」と表現するのが一般的です。
その一方で、平安時代の『古今和歌集』や『源氏物語』では、「かねてより」という表現が用いられています。そのため、国語辞典では「予て」の例文に「かねてから」「かねてより」を用いたものも多く見られます。
「一体どちらが正しいの?」と迷ってしまいがちですが、ビジネスシーンでは「予て」を使うほうが無難だと考えられます。しかし、話の流れやメールの内容によっては、「予てより」「予てから」という表現が適していることもあるでしょう。それぞれの使用例は、次の項から詳しくご紹介していきます。
「予て」の使用例をシーンにご紹介
「予て」の意味や注意点をふまえたら、早速具体的な活用法をチェックしていきましょう。ビジネスと日常生活、それぞれの使用例をマスターしておけば、とっさのシーンでも「予て」を適切に使えるようになります。必要に応じ、「予てより」「予てから」を使用することもポイントです。
ビジネスシーンで「予て」を活用
「予て」という表現は、ビジネスで活用できるていねいな表現です。以前から準備していたこと、考えていたことなどを相手に伝えられます。また、相手の以前からの好意に対し、感謝を伝えることも可能です。
「予て」の例文
・予てお伺いした件ですが、その後ご都合はいかがでしょうか?
・予て計画していたプランは、来月より実行予定です。
・予てお伺いしていたような、素晴らしいお人柄に感激しております。
「予てより」の例文
・予てより、お仕事をご一緒することを楽しみにしておりました。
・予てよりお引き立ていただき、いつも感謝しております。
・予てよりご愛顧いただいておりましが、しばらく休業いたいます。
「予てから」の例文
・予てから準備を進めていたプロジェクトが、ようやく日の目を見るときがきた。
・予てからの希望が叶い、大変嬉しく存じます。
・予てからの予定どおり、イベントは当日雨でも決行いたします。
日常生活で使う「予て」
前もって予定されていたこと、周知されていたことを表す「予て」は、日常生活でも使用できます。「予てから」「予てより」を使うと、より口語として活用しやすくなるでしょう。
「予て」の例文
・予て病気療養中のところ、温かいメッセージに励まされました。
・予て予定されていたイベントも、今回はキャンセルになりそうです。
・予ての同僚が訪ねてくるため、買い出しに出かけようと思います。
「予てから」の例文
・予てから嫌な予感はしていたが、ついに現実になってしまった。
・予てからの願望が叶い、ついに新車を購入することになった。
・予てから努力していたおかげで、ダイエットに成功した。
「予てより」の例文
・週末は、予てより親交の深い友人とパーティーの予定です。
・予てより夫からお話を伺っておりました。お会いできて光栄です。
・予てより大ファンだった彼女に会えてとても嬉しい。
「予て」の意味を正しく理解し上手に使いこなそう
「予て」という言葉は、ビジネスや日常生活に活用できる言葉です。類語をマスターすれば、さらに言葉の活用法が広がります。「予て」を基本としながら、「予てより」「予てから」と上手に使い分けることもポイント。言葉の正しい意味を理解して、大人としての言葉遣いをマスターしていきましょう。
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