おうち時間が増えたのに、どうしてぐっすり眠れないの!?
感染症の流行を機に、リモートワークが増えたり、出勤時間が変わったりと、私たちの生活様式はガラリと変化しました。それは、何も悪いことばかりではありません。たとえば、「満員電車に乗らなくてよくなった」「残業が減って夕食を家で摂れるようになった」という方も。以前よりも自分で時間をコントロールできるため、生活リズムが整えやすい環境になったとも言えます。にもかかわらず、「夜、ぐっすり眠れない」といった睡眠の悩みが増えているのはなぜでしょうか? それは、自分では生活リズムをコントロールしているつもりでも、睡眠の質を低下させたり、自律神経の乱れにつながる習慣で体や心に負担をかけてしまっているからかもしれません。
CASE1:リモートワークによる生活リズムの乱れ
リモートワークの導入によって増えたのが、その日の予定によって起床時間をコロコロ変えてしまうケース。たとえば、リモートの日は始業時間ギリギリまでベッドの中にいるという人は、会社に出勤する日はいつもより早起きしなければいけません。また、出勤する必要がなくなり、午前中に太陽の光を浴びる機会が減ったという人も多いでしょう。どちらのケースも睡眠の質を低下させる原因になってしまいます。
CASE2:週末の遅寝遅起きによる生活リズムの乱れ
平日、規則正しい生活をしていても、週末に遅寝遅起きをすると休み明けに体調を崩しがち。月曜日どころか水曜日まで体調不良が続くこともあります。これは、週末に乱れた体内時計が元に戻るまで3日かかったということ。逆に言えば、3日あれば、乱れた体内時計を整えることができるということ。もちろん、生活習慣を正すには継続することが必要ですが、本気を出すのはたったの3日間です。これなら、できそうな気がしますよね!
ぐっすり眠るための6つの「最適時間」
私たちの体は、1日を効率的に過ごすための体内時間が備わっています。たとえば、消化機能が高まっている時間に食事を摂れば胃腸に負担をかけることがありません。一方、体温が上がりきっていない時刻に起きようとしても、すっきり起きられません。これらはどちらも体内時間が存在するから起きることです。ということは、体にとって最適な時刻で生活すれば、ぐっすり眠れるということ!そのためにまず決めたいのが、次の6つの時刻です。
(1)起床時刻
起床時刻は、家を出る時間から逆算して決めます。ゆっくり朝食が食べられ、落ち着いて身支度ができる時刻を設定してください。
(2)就寝時刻
世界各国で行われている追跡調査を統合すると、健康や美容に支障をきたさない睡眠時間は、6時間半から8時間未満と考えられています。ですから、基本的に7〜8時間は睡眠時間を確保できるように就寝時刻を決めましょう。テレワークなどで早起きする必要がない日や週末は就寝時刻が遅くなりがちです。「遅く寝た分、遅く起きたい」と思うかもしれませんが、体内時計の働きによりいつもの時刻に目覚めてしまい睡眠不足になることも。最悪なのは、寝足りないからと何度も二度寝をしてしまうこと。二度寝を繰り返すと、自律神経に乱れにより寝起きがより悪くなるので、多少辛くても、二度寝せず、太陽の光を浴びたり朝食を摂ったりしてみてください。3日間頑張れば、睡眠サイクルが整い睡眠満足度は高まってくるはずです。
(3)うっとり習慣タイム
就寝時刻までの15分間を「うっとり」すごすと、副交感神経が刺激され、心地よい眠りに導いてくれます。生活リズムの乱れはもちろん、不安、ストレスなどもすべて、自律神経の乱れにつながります。子どもが小さいと余計に不安を感じることも。ストレッチをしたりアロマを炊いたり、自分がうっとりできることを習慣にすることで、高まっていた交感神経を低下させ、自律神経のバランスを整えていきましょう。
(4)入浴終了時刻
室温や入浴時間にもよりますが、夏場は就寝の約1〜2時間前に、冬場は約30分から1時間前にお風呂から上がるのがベスト。熟睡するためには、深部体温(体の中心部の温度)を下げる必要があります。入浴することで体温が上がると、手足末端や皮膚表面から熱が体外に逃げるため通常よりも深部体温を急降下させることができます。
(5)入浴開始時刻
就寝時刻だけを意識していると、いつの間にか入浴時間や就寝前のうっとりタイムが削られてしまうことも。入浴開始時刻をきちんと守ると、その後の流れがスムーズになるので、この時刻はとても重要です。体を温めるために、湯ぶねに15分は浸かってほしいので、入浴終了時刻から逆算して30分前にはお風呂に入るようにしましょう。
(6)夕食終了時刻
就寝の4時間前までに夕食を終わらせておくのが理想的。食事は体内時計を正常に保つ役割も担っているので、夕食が遅くなると、その分体内時計が後ろにずれてしまい、眠りの質の低下につながります。
体内時計さえ味方につけてしまえば、ぐっすり眠れて、仕事のパフォーマンスも上がります。肌もきれいになりますし、本当にいいことづくめ!ぜひ、この6つの最適時刻を軸に、生活リズムを見直してみてください。
次回は、良質な睡眠にかかせない「入浴」について詳しく教えていただきます。お楽しみに!
教えてくれたのは・・・
小林麻利子
同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。眠りとお風呂の専門家、公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。今までに約2,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)などがある。2歳男児のママで、現在第二子を妊娠中。睡眠や入浴に関する情報を発信するインスタグラムも人気。