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2021.05.11

昔はオープンだった! 日本の性教育が閉ざされてしまった理由とは【助産師監修】

大阪・茨木市のフィットネススタジオ「スタジオK」で開催された、親子で一緒に学ぶ性教育クラス「いのちのお話」。今回、スピーカーを務めた助産師SUNAこと砂川梨沙さんに、1児の母でありライターの有田千幸が取材をしました。シリーズ第3回は、「日本の性教育の現状」について。

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有田 千幸
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家では話題にしにくい、でも学校でも教えてくれない性のこと

前回の記事では、「性の話を伝えるのに適した年齢」について、助産師SUNAこと、砂川梨沙さんに話を伺いました。

シリーズ第3回となる今回は、「日本の性教育の現状」について。


▲ 助産師SUNAこと、砂川梨沙さん (トータルバースプランナー)
1982年鳥取県産まれ。鳥取看護専門学校・ベルランド看護助産大学校(助産学科)卒業。トータルバースプランナーとして、働く女性のための訪問型「にじいろ助産院」を開業し、産前産後に必要な知識と頼れる場所を提供し、心身ともに健康で自分らしく生きていくことをサポートしている。現在この活動と並行して、性教育についても全国各地で講演中。プライベートでは3児の母。

歴史を辿ることで見える、日本人の性に対する意識変化

有田千幸 (以下、有田): 日本は性教育においては後進国ということですが、それは昔からずっと変わらずそうなのでしょうか。

助産師SUNA (以下、SUNA): いえ。実は日本は昔、性に関してはもっとオープンな国でした。少し時代を遡り、家族・個での暮らしというより村単位での暮らしをしていた時代の話をすると、日本人は大衆浴場を利用していました。そして大衆浴場は混浴でした。そこでいろんな人の体を見られることで、「体ってああ変わっていくのか」とか「赤ちゃんができるとお腹ってあんなに大きくなるんだ」とか、体の変化を自然と学ぶことができました。ある意味、大衆浴場はひとつの性教育の場だったんです。また、今でも神社などに男性器や女性器のシンボルが残っているところが全国に存在しています。そこからも、昔は尊びながら、とても身近に性というものがあったことがうかがえますね。

有田: 今の日本からは信じられないほどのオープンさですね。では、いったい何がきっかけで閉鎖的になってしまったのでしょうか。

SUNA: ひとつの要因として「戦争」があるといわれています。戦争に勝つためには、男性陣が安心して戦に専念できなければいけない。でもそれまでの日本の文化として、女性の逢瀬や夜這いということも一般的にあったため、男性が妻のことばかり気にしていては戦争に負けかねない…、そこで入ってきたのが “貞操観念” でした。すぐには受け入れられなかったこの観念も、徐々に浸透し戦後には定着。また、日本が敗戦し国を立て直す中で、アメリカにおける純潔教育もこの時期に入ってきて広まったとされています。

有田: 処女がよしとされ、婚前交渉は御法度という考えですね。

SUNA: そうです。貞操は守るもの、処女が尊いもの、他の人に体を見せるなんてもってのほかなど、性に関してタブー視する考えのベースになったといわれています。

正しい情報を知るということが目的でも、なかなか前進できない性教育の現状

SUNA: 性に関して教育が必要だという考えのもと、活動や教育をしていても「卑猥なことを教えるのはやめましょう」と、かつて処分を受けた学校もありました。性教育の活動は、十分に行えない面があるという事実は間違いないけれど、外的な要因だけでなく、先生も多忙だったり、性のことを伝えるのが難しいといった学校現場の理由も大きいんです。私も実際、教育機関で性についての講座や授業をさせてもらいますが、「これは話さないでください」「このワードは使わないでください」「ここから先は言わないでください」など、学校ごとにNGワードや規制の設定がある中で話すことも多いです。

有田: なるほど。でも、子どもたちにとっても親である私たちにとっても、正しい情報を知るということが性教育であるならば、それは必要な教育だと思うのですが…。

SUNA: はい。必要ですし私たち教育する側ももちろん必要だと思って活動をしていますが、十分にできない現状があります。とてももどかしく、性教育を行いたいと思っている先生や学校にとっても専門家を呼ぶにはハードルが高い状況になっています。日本は医療体制も整っているし経済もまわっている、そういう面では世界の中で先進国とされていますが、性教育という分野においてはかなり遅れをとっています。それなのに、ポルノ産業は世界トップクラスという背いた状況です。ふさわしい年齢以下で触れて欲しくない情報は溢れているのに、必要な情報は入ってこない。この日々加速する情報社会の中、正しい情報を今教えないでいつ教えるのでしょうか。

有田: 悩ましい現状ですね…。性教育の道が開けるまでは、子どものいちばん近くにいる私たち親がまずは個々で教えられることを教えていくということになるのでしょうか。それならば、私たち親ももう一度「性教育」とはいったい何なのかを知る必要があるのかもしれませんね。

次回の話は、「専門家たちが性教育の現状を危惧する理由」について。

イラスト/Mai Kaneya

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ライター

有田 千幸

外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official

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