催促の連絡には「ご連絡が遅くなり申し訳ありません」「お手数おかけして申し訳ありません」など、謝る言葉を添えましょう。
社外メールの返信の場合
社外の相手から「お忙しいところ恐縮ですが」と連絡が来た場合、返信で使うべき特別な言葉はありません。ビジネスでは、挨拶文として「お忙しいところ恐縮ですが」を使用する人も多いため、用件に対して返事をすれば十分です。「お世話になっております」などの挨拶文と同様の扱いをして問題ないでしょう。
ただし、社外の相手から打ち合わせの出席可否などを催促された際は、「ご連絡が遅くなり申し訳ありません」「お手数おかけして申し訳ありません」といった、謝りの文言を添えるのが望ましいです。

ビジネス会話での応え方
「お忙しいところ恐縮ですが」を会話で使われたときの応え方は、文章やメールとは異なります。コミュニケーションを円滑に進めるために、こちらも感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。
たとえば、相手から「本日はお時間をいただき、お忙しいところ大変恐縮です」と言われたら、「こちらこそ、わざわざお越しいただきましてありがとうございました」と感謝を言葉にして伝えましょう。
「お忙しいところ恐縮ですが」の類語や言い換え表現
「お忙しいところ恐縮ですが」の類語には「ご多忙」「ご多用」があり、「恐縮ですが」の類語には「恐れ入りますが」「恐縮ではございますが」「恐縮至極です」が挙げられます。状況に合わせて類語や言い換え表現を使い分けられるようになりましょう。

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「お忙しいところ」の類語
「お忙しいところ」の類語には、「ご多忙」「ご多用」があります。
ご多忙
「ご多忙」は、「用事が多くて忙しい」という意味です。「多忙」に尊敬を表す「ご」を付けた言葉で、上司や取引先など目上の人にも使えます。
例文
・ご多忙とは存じますが、〇〇の件につきまして、ご検討いただけますと幸いです。
・ご多忙にもかかわらず、わざわざ足をお運びいただきありがとうございました。
ご多用
「ご多用」は、「用事が多いこと」を意味します。「多用」に尊敬を表す「ご」を付けた言葉で、こちらも上司や取引先など目上の人にも使用できます。相手に依頼をしたり、頼み事をするときに使える言葉です。
例文
・ご多用のところ恐れ入りますが、〇〇のご確認をよろしくお願いいたします。
・ご多用のところ大変恐縮ですが、〇〇にご参加いただきますよう何卒よろしくお願いします。
「恐縮ですが」の類語
「恐縮ですが」の類語や言い換えには、「恐れ入りますが」「恐縮ではございますが」「恐縮至極(きょうしゅくしごく)です」があります。ビジネスの場で使用できる例文をご紹介しましょう。
恐れ入りますが
「恐れ入りますが」は、相手に対して申し訳ない、恐縮する、あるいは相手に何かをお願いする際の遠慮の気持ちを表す、非常に丁寧なクッション言葉です。相手への負担を詫びる際や、敬意・遠慮を示す際、そのほか依頼や質問の導入など、幅広い場面で使うことができます。
例文
・恐れ入りますが、〇〇にお目通しいただけますと幸いです。
・大変恐れ入りますが、一度弊社にお越しいただけないでしょうか。
恐縮ではございますが
「恐縮ですが」よりもさらに丁寧な言い方で、相手に迷惑をかけるかもしれない場合や何かをお願いする際に、申し訳ないという気持ちを強調するクッション言葉です。「~ですが」という接続詞が付いているため、後に続く内容への配慮を示すニュアンスがあります。
相手に手間や負担をかけてしまう可能性があるケースで用いるのが一般的です。また、相手の意見や提案に反対したり、否定的なことを伝える際に使えば、次の発言へとスムーズにつなげられるでしょう。
例文
・恐縮ではございますが、〇〇宛てにご連絡くださいますようよろしくお願いいたします。
・恐縮ではございますが、明日の打ち合わせにて説明させていただきたく存じます。
恐縮至極
「恐縮」を強調した最上級の表現で、非常に申し訳なく思っている、あるいは身に余る光栄でありがたいという、極めて強い感情を表します。深い謝罪の気持ち、非常に光栄であること、感謝などを表す際に使うのが一般的です。
例文
・ご丁寧にご説明いただきまして、恐縮至極です。
・至らぬ点が多いにもかかわらず、今回もご依頼いただきまして恐縮至極に存じます。
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「お忙しいところ恐縮ですが」の英語表現
「お忙しいところ恐縮ですが」を英語で伝えたいときは、「busy」を使用するのが一般的です。ただし、社内と社外では表現方法が少し異なるため、使用の際は十分に注意しましょう。

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社内で使用する場合
社内で使用される「お忙しいところ恐縮ですが」の英語表現として、少しくだけた表現の「I know you are busy〜」が使えます。社内の同僚はもちろん、親しい取引先相手などにも使用可能です。
例文
・I know you are busy, but sign here please.
(お忙しいところ恐縮ですが、ここにサインをお願いできますでしょうか)
・I know you are busy, but please check the meeting documents.
(お忙しいところ大変恐縮ですが、会議の資料を確認いただけますと幸いです)
社外で使用する場合
社外の場合は、「I’m sorry to bother you but〜」が使用できます。「bother」には「迷惑をかける」という意味があり、「多忙なときに申し訳ありません」との意味合いが含まれています。ビジネス場面でよく使用されるので、覚えておくと便利です。
例文
・I’m sorry to bother you, but I would like to speak to 〇〇.
(お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇様はいらっしゃいますか)
・I’m sorry to bother you, but we are going to send you 〇〇.
(お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇をお送りいたしました)
よくある質問
ここからは「お忙しいところ恐縮ですが」という表現について、よく挙がる質問に答えていきます。
Q1. 「お忙しい中」はどういう意味ですか?
A.「お忙しい中」は〝相手が忙しい状況であるにもかかわらず〟という意味合いを持つクッション言葉です。相手が時間を割いて何かをしてくれることに対して、感謝や申し訳ないという気持ちを添える際に用いられます。相手の状況を認識しながら配慮を示す、丁寧な表現です。
Q2. 「恐れ入りますが」と「恐縮ですが」の違いは何ですか?
A.「恐れ入りますが」と「恐縮ですが」は、どちらも相手への遠慮や申し訳ない気持ちを表す丁寧なクッション言葉なのですが、ニュアンスにわずかな違いがあります。
「恐れ入りますが」は、相手への敬意や遠慮の気持ちが強く、相手の立場を尊重するニュアンスがあります。依頼や質問の際、相手に手間をかけるかもしれないという気持ちを穏やかに伝えるのに適しているでしょう。
その一方で「恐縮ですが」は、相手に対して〝手間をかけてすみません〟という気持ちがやや強め。自分の行為が相手に負担をかけるかもしれない、という申し訳なさを表すのに最適です。

実際には、これらの言葉は非常に近い意味合いで使われる機会も多く、どちらを使っても大きな問題はない場面も少なくありません。迷ったときは、「恐れ入りますが」のほうがより丁寧で、幅広い状況に使いやすいといえます。
Q3. 「お忙しいところ恐縮ですが、返信ください」は失礼ですか?
A.状況によっては失礼にあたる可能性があります。「お忙しいところ恐縮ですが」は相手の状況を気づかう丁寧な言葉ですが、それに続く「返信ください」は、やや直接的で催促している印象を与えてしまいます。細やかな導入とのバランスが悪く、相手にプレッシャーを感じさせるおそれがあるため、以下のより丁寧な表現を参考にしてみてください。
より丁寧な表現
・お忙しいところ大変恐縮ですが、ご都合のよろしい時にお返事いただけますと幸いです
・お忙しいところ恐れ入りますが、もしお時間ございましたら、ご返信いただけますでしょうか
・お忙しいところ大変恐縮ですが、〇日までにご連絡いただけますと幸甚です
「お忙しいところ恐縮ですが」を正しく使おう!
- 「お忙しいところ恐縮ですが」は主にクッション言葉であり、謙虚な姿勢や感謝・労いを表したいときに使える
- 相手への依頼や要望、折り返しの連絡や返信を促したいとき、メールの締めの言葉など、さまざまなシーンで使用可能
- 使用時には伝えたいことを簡潔にまとめ、命令形は交えないようにすること。また、相手に悪印象を与えぬ配慮も必要
ビジネスの場面でよく使われる「お忙しいところ恐縮ですが」は、基本的にクッション言葉として用いられています。社内外問わず使えるだけでなく、目上の人にも使用できる便利な言葉です。正しい意味や使い方をマスターして、状況に合わせて使い分けましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。 WEB Domani
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