メールで複数のお願い事をする際、それぞれに「お忙しいところ恐縮ですが」を付けるとしつこい印象を与えてしまいますので、文末のみに使いましょう。
相手からの返信を促したいとき
相手からの返信を促したいときにも「お忙しいところ恐縮ですが」が使用できます。たとえば、打ち合わせの出席可否や相手の返信待ちの案件など、業務を進める上で早く確認が必要な場面もあるでしょう。その際は、「お忙しいところ恐縮ですが」を使用して返信を促すと角が立たないはずです。
「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きすれば、相手が多忙なことを考慮している気持ちを伝えられます。相手から見ても責められている感じがなく、悪い印象も与えません。特に、上司や取引先など立場が上の人へ、配慮しつつも返信を促せる表現なので覚えておくと便利です。
例文
・お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇の件についてご返答いただけますと幸いです。
・お忙しいところ恐縮ですが、先日ご連絡いたしました会議の参加可否について、ご返信いただけますでしょうか。
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メールの締め言葉で使うとき
メールで複数のお願いを一度にするとき、文末の締めに「お忙しいところ恐縮ですが」を使うと、メールの文章がスッキリするだけでなく相手に丁寧な印象を与えられます。

例文
・お忙しいところ大変恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
・お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇の件ご検討いただけますと幸いです。
電話で使うとき
「お忙しいところ恐縮ですが」はメールで使用することが多いものの、電話でも使える表現です。たとえば、初めて営業する会社に電話をかける場合などにも適した言葉でしょう。第一声で「お忙しいところ恐縮ですが」を入れてから、自己紹介と用件を伝えてみてください。
より丁寧な印象を与えるなら、前置きと名前を告げて用件を伝えたあとは、「今、少しお時間よろしいでしょうか」とひと言添えた上で本題に入ることが望ましいですね。相手も「話を聞こう」という気持ちになる可能性があり、やり取りがスムーズに進むはずです。
例文
・お忙しいところ恐縮ですが、〇〇の件でご連絡いたしました△△と申します。今少しお時間いただいてもよろしいでしょうか。
・お忙しいところ大変恐縮ですが、先日打ち合わせした件で確認したいことがあり、ご連絡差し上げました。
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「お忙しいところ恐縮ですが」を使うときの注意点
「お忙しいところ恐縮ですが」をビジネスで使用するときは、「伝えたいことを簡潔に伝える」「命令形は使用しないようにする」「相手に悪い印象を与えることがある」という点に気をつけましょう。注意点をよく踏まえた上で使用することが重要です。

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伝えたいことを簡潔に伝える
「お忙しいところ恐縮ですが」をクッション言葉として使用するとき、伝えたい内容は簡潔にまとめるのが望ましいです。ビジネスの場面では相手に配慮した言い回しが好まれますが、意識しすぎると言いたいことの本質が伝わらないことも少なくありません。
そのようなミスは相手を混乱させるだけでなく、〝仕事ができない人だな〟という印象も与えかねません。何かを伝えるときは「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きしつつ、内容はシンプルにすることを心掛けましょう。ポイントとしては、結論を先に持ってくることです。文章全体のやわらかさは、クッション言葉の「お忙しいところ恐縮ですが」で補えます。

「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きしたら、内容はできるだけシンプルにまとめ、結論を先に持ってくるなどしてスパッと伝えましょう。
命令形は使用しないようにする
クッション言葉で「お忙しいところ恐縮ですが」を使用する際、命令形の言葉を加えないように気をつけましょう。文章全体をやわらかい表現にする「お忙しいところ恐縮ですが」をつけても、文章に命令形である「〇〇してください」を使ったり、内容に制限を設けたりしては相手に不快感を与えるおそれがあります。
たとえ「お忙しいところ恐縮ですが」をひと言添えたとしても、命令形や制限するような言い回しは相手に対して失礼であることに違いありません。相手が嫌悪感を抱いてしまう可能性や、取引先であれば今後のやり取りに支障が出る場合もあるでしょう。そのため、「〇〇してください」ではなく、「〇〇していただけますと幸いです」などの表現を使うのが望ましいです。

命令形は使わず、「お忙しいところ恐縮ですが、〇〇していただけますと幸いです」などの表現にしましょう。
相手に悪い印象を与えることがある
ビジネスで使える「お忙しいところ恐縮ですが」は、相手によっては悪い印象を与えることがあります。なぜなら、そもそも「忙しい」という言葉は縁起が悪い言葉であり、「忙」という漢字は「心を亡くす」と書くため、冠婚葬祭では使用しないほうがいい言葉のひとつといわれているのです。
通常は、ビジネスで「忙しい」という言葉を使用しても問題ありませんが、相手によっては「お忙しいところ恐縮ですが」に対して悪い印象を抱く可能性があることを覚えておきましょう。相手を見ながら使ったほうが、トラブルを避けられます。

人によっては、「忙しい」という言葉に対して悪い印象を抱く可能性があることを覚えておきましょう。
「お忙しいところ恐縮ですが」の応え方
メールにおける「お忙しいところ恐縮ですが」への応え方について、社内外問わず特別な決まりごとはありません。ただし、状況によってはひと言添えて返信するのが望ましい場合もあります。
一方ビジネス会話では、「お忙しいところ恐縮ですが」という言葉に対し感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。メールと会話で応え方が異なるので注意しましょう。

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社内メールの返信の場合
社内メールで「お忙しいところ恐縮ですが」が使われている場合、目的は何かの案内や依頼であることが多いです。返信するときは、「お忙しいところ恐縮ですが」に対して特別な言葉は必要ありません。
基本的に「ご連絡ありがとうございます。〇〇の件ですが、〜」と返信すれば十分です。ただし、送られてきたメールに「お忙しいところ恐縮ですが」と記載がある場合、こちらに配慮してくれている気持ちを汲み取り、「ありがとうございます」と感謝を伝えることが望ましいです。また、連絡の催促などで相手に迷惑をかけている場合は、「お手数をおかけして申し訳ありません」とひと言添えましょう。

「ご連絡ありがとうございます。〇〇の件ですが、〜」と返信しましょう。