「恐縮に存じます」は「ありがたく思います+思います」のように、二重表現になりますので注意しましょう。
Summary
- 「恐縮です」は、「感謝」や「謝罪」または「要求」を表現する言葉
- 気持ちを強調する表現は「大変恐縮です」「恐縮しきり」「恐縮の限り」など
- 多用は失礼にあたるので「恐れ入ります」「汗顔の至りです」などの言い回しを用いる
Contents
「恐縮です」の正しい意味
「恐縮(読み方:きょうしゅく)」とは、ありたがさや申し訳なさ、気恥ずかしさなどで身のすくむ気持ちを意味する言葉です。恐れを表す「恐」と、身のすくむ様子を意味する「縮」から成り立っています。
きょう‐しゅく【恐縮】
[名・形動](スル)
相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。「ですが窓を開けてくださいませんか」「お電話をいただき恐縮しております」
小学館『デジタル大辞泉』より一部引用

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「恐縮です」は、相手の好意に対し、身のすくむような思いであることを伝える表現です。かしこまったニュアンスを持ち、文章や改まった会話で用いられます。
「恐縮です」は上司や目上の人に用いる言葉
「恐縮です」は、自分がへりくだることで相手を立てる表現です。そのため、目下の人ではなく、上司や目上の人に使用します。自分の立場を謙遜し、「私のようなものが恐縮ですが」と伝えることも可能です。
感謝の気持ちも伝えられる
また、目上の人に対し「申し訳ないのですが」と依頼する場面にも適しています。そのほか周囲の評価や好意に、「ありがとうございます。恐縮です」と感謝の気持ちを伝えられることも覚えておきましょう。
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「恐縮です」の類語や言い換え表現
「恐縮です」は、シーンに応じて類語や言い換え表現が用いられます。
「恐れ入ります」
相手の気づかいに対し、感謝を伝える類語が「恐れ入ります」です。また、相手へ何か依頼やお願いをする際のクッション言葉として使うこともあります。
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「大変恐縮です」「恐縮至極に存じます」
より強い気持ちを表現したいなら、「大変恐縮です」「恐縮至極に存じます」と言い換えられます。自分よりかなり目上の人へ感謝を伝える場面や、相手へ著しい負担をかけるお願いをする場面で使われるでしょう。
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「汗顔」
恥ずかしさで身が縮むときに使用するのが「汗顔(かんがん)」です。「汗顔」とは、顔に汗をかくほど恥ずかしい気持ちを意味します。ビジネスシーンでの使用が多く、謝罪や賞賛に対する謙遜の言葉として「汗顔の至りです」と用います。
「痛み入ります」
「恐縮です」よりも古風な表現ですが、「痛み入ります」も相手からの気づかいに対する感謝を表すフレーズです。あまり聞かない言葉かもしれませんが、かしこまった場面で使われることもあります。
「大変ありがたく存じます」
相手からの配慮や厚意に対して、シンプルに感謝の気持ちを表せる表現です。カジュアルな場面では「ありがたいです」という表現が適切ですが、ビジネスシーンでは基本的に「大変ありがたく存じます」を使うと良いでしょう。
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「恐縮です」使用時の3つのポイント
「恐縮です」を正しく使用するためには、3つのポイントをおさえる必要があります。目上の人に失礼のないよう、それぞれについて確認しておきましょう。

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「恐縮」+「存じます」は二重表現になる
「恐縮」に「存じます」を重ねた「恐縮に存じます」は、二重表現にあたります。二重表現とは、同じ意味を持つ言葉を繰り返して使用することです。
「恐縮」には「ありがたく思う」「申し訳なく思う」という意味があり、「存じます」は「思う」の謙譲語である「存ずる」をより丁寧に表現した言葉です。
つまり「恐縮に存じます」は「ありがたく思います+思います」と言っていることになり、意味が重なってしまうのです。二重表現は、話し言葉を文字にすると起こりやすい間違いです。相手に違和感を与えることもあるため注意しましょう。

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