恋愛トークはどこの国でもひと際盛り上がる
私が勤めていた航空会社には当時3000人ほどのCAが在籍していて、毎日異なるクルーとフライトを共にするという形態を取っていました。
新人時代は、仕事や言語を覚えるのに必死で、他の台湾人CAたちと業務にまつわること以外の話をする余裕はなかったものの、しばらくすると先輩たちとプライベートな話をすることもありました。
よく話題に上がっていたのは、日本と台湾の違い。習慣、言語、国民性、恋愛観、似ているところもあればまったく違うところもあり、お互いの疑問や知りたかったことがどんどん紐解かれていくというのは本当に面白く、英語と拙い中国語の混ぜこぜトークを繰り広げていたものです。
その中でも台湾人CAによく聞かれていたことのひとつが、「日本人の男性って “大男人”? 台湾人と比べるとどう?」という質問。
中国語で「大男人 (Dà nán rén)」は「亭主関白」という意味
「いや、日本人は小柄な人が多いと思うけど…」。
紙に書いてくれた「大男人」という文字を見ると真っ先にそう思ったのですが、よくよく聞いてみると中国語で「大男人 (Dà nán rén)」は体格の大きさのことではなく、態度や振る舞いの大きさを表す言葉。日本語でいちばん近しい言葉は「亭主関白」、つまり「日本人の男性って “大男人”?」は「日本人の男の人は亭主関白? えらそうにする?」という意味。
「亭主関白」というと日本では夫婦の関係性を表現するシチュエーションで使われることが多いかもしれませんが、中国語の「大男人 (Dà nán rén)」はこの限りではなく、恋人間の関係性や男性の態度や振る舞いそのものを説明するときにも用いられます。台湾はかつて日本統治時代という期間を経験したことも関係してか、私たちの祖父母世代の人とも話してみると、台湾人にとって「日本人男性 = 亭主関白」というイメージは今でも根強く残っているように感じました。
中国語メモ:大男人 (Dà nán rén) = 亭主関白、えらそうな男性、威張る男性
日本人の男性が「大男人 (Dà nán rén)」かどうか、それはもちろん人によると思います。ただ、あくまでも私個人の印象としては、日本人男性に比べると台湾人の男性の方が、いろいろなことを人にしてあげるということが苦にならない人が多いのではないかという気がしています。出かけるときは家まで送り迎えをしたり、会うときには何か手土産を用意していたり、食事に出かければ当たり前のように勘定を済ませていたり。しかもそれは対女性だけではなく、友人や家族に対しても同じ。
この台湾人の国民性である「気遣い」や「世話好き」という、人のために何かをしてあげようという気持ちは、恋愛関係だけにでなく人と人との繋がりの強さにも大きく影響しているのではないかと思います。
【続】
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ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official