「聴覚過敏」とは?
「聴覚過敏」とは、普通の人が気にならない程度の音(例えば掃除機やTVなどの生活音)が気になってイライラしたり、大きな音に過剰反応してしまうことをいいます。
また、様々な音がミックスされた場所が苦手で、繁華街へ行くと気持ちが不安定になってしまうなど、音に対しての感受性が高いがゆえに、日常生活に支障が出てしまうケースも。
今回は「聴覚過敏」についてスクールカウンセラーでもある、臨床心理士・吉田美智子さんにお話を伺います。
聴覚過敏にはどんなケースがある?
1:ほかの人が気にならない程度の音が苦痛な騒音として感じられる
「エアコンや冷蔵庫のモーター音が気になって集中できなかったり、眠れなくなってしまうことも」(臨床心理士・吉田美智子さん/以下同)
2:大きな音が痛みや恐怖を感じるほど爆音に感じる
「運動会のピストル音や踏切の音、救急車のサイレン音などに恐怖を感じてしまい、フリーズしてしまったり、その場を離れないと落ち着けないというケースも」
3:いろいろな音がミックスすると更に苦痛が増す
「例えば学校の教室。40人近くの子どもたちがひとつの教室にいるため、静かなようでいろいろな音がしています。先生の話す声、子どものひそひそ話、椅子のきしむ音、物を落とす音、音楽室や校庭からもほかの授業の音が聴こえてきます。すると先生の話だけに集中することも難しくなります。また、混雑した駅やショッピングセンターなどでは、人々の話声、BGM、館内放送、などがミックスして耐えがたい音の洪水に感じられることもあるんです」
「聴覚過敏」は治る?
「辛いのを我慢し続けると、頭痛や吐き気を訴える子もいます。しかし確立した治療法がないのが現状です。対処法としては以下があげられます」
<1>音を軽減させるために、ヘッドフォンやイヤーマフなどをつける
<2>静かな場所でホッとできる時間を作る
<3>うるさい場所は避ける
<4>疲れていると辛さが増すので、疲れを溜めないようにする
「学校では先生に説明し、同級生にも理解と協力を得られるといいと思います。中には音に反応するのは音質が原因ではなく、不安な気持ちになる場所や人などに対してなる子どももいます。まずは子どもにどう聴こえているのか、どのようなタイミングで辛くなるのか話してもらってみてください。決して、『これくらい平気でしょ』『我慢して』『そのうち慣れるよ』と流さないでください。なかなか願い通りの環境をつくることは難しいこともありますが、周りの人が『困っているんだね』とわかってくれること、できる工夫をしてくれることが子どもの自尊心を守ります」
取材・文/福島孝代
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