結婚では「して欲しい」より「してあげたい」が重要
前回のお話▶︎「遺産が入ってきたからあなたはもう必要ない」と離婚を言い渡された夫
バツイチ界隈では、「バツイチのイイ男は市場に出てくる前に、目ざとい女にかっさらわれる」という説があります。それくらい、希少性があるということ。だからバツイチ女性が「相手は同じバツイチがいいな」と思っても、なかなかそういう相手には出会えない、というお悩みを耳にします。
そんな中、爽やかイケメンで仕事もできる丹次郎さんは、恋愛市場で希少物件だったはず。30歳で離婚した彼が離婚後、交際した女性はふたり。ひとりはすごく好きだけど結婚は考えられず、ふたりめの彼女は、最初から結婚を意識して付き合ったと言います。
結婚を考えられる相手と考えられない相手。その違いは何だったのでしょう?
丹次郎さん:元カノのことは、すごく好きだったんですよ。2年くらい付き合ったんですけど、結婚は微妙だなと。遊ぶ分には楽しいけれど、結婚したら大変そうだなと思ったんです。
さかい:何が違ったんですか?
丹次郎さん:僕は好きな人には色々してあげたいと思う方なんですが、向こうにはそれがなかった。僕の好きな気持ちの方が大きくて、向こうはまだまだ自由でいたい、という感じだったのかな。
なるほど。結婚生活は支え合いですものね。どちらか片方だけが与える関係だと続かないということは、バツイチの丹次郎さんだからこそよくわかっていたのかもしれません。最近思うのですが、「好きだけど、結婚相手には何か違う」そう感じるときって、好きという気持ちが真剣かどうかよりも、自分にとって、ともに生活するパートナーとしての戦闘力が低いのかなあ、と。
夫婦とは家庭という会社の協同経営者のようなもの。その会社の経営に貢献できる能力や強みがなければ、共同経営者に選ぶ理由がないですよね。その戦闘力は、財力や家事、癒し、ステイタスなどなど、人によって欲しい能力は様々でしょうが…。
そんなわけで、彼女と交際しながらも「この子とは結婚は考えられないな」と思い始めた中、出会ったのが今の奥様、B子さん。彼女の友人として紹介されたのが出会いのきっかけで、人見知りなB子さんのことを、最初は何とも思っていなかったのだとか。
丹次郎さん:出会った当初は、B子にも恋人がいたんです。当時、僕も彼女と上手く行かなくなり始めて。最初はみんなで遊びに行ったりしていたのですが、お互いに「今の相手と別れそう」という話をして、相談し合ったりしているうちに、「話していて楽しいな」と気づいたんです。そのうちに向こうが恋人と別れたので、僕も彼女と別れてB子と付き合うことになりました。
B子さんとは付き合ったその日から、結婚を意識していたという丹次郎さん。それは、「彼女の言動に思いやりある人だと感じたから」。
丹次郎さん:B子の友達にも、結婚したいと言いながらなかなか結婚できない女性が何人かいるのですが、そういう人を見ていて思うのが、男性にして欲しいことばかりを求めている、ってことなんですよね。結婚したいなら、どうして欲しいかよりも、相手に何をしてあげるかを考えた方がいいと、僕は思うんです。
これは先ほど私が書いた、〝共同経営者〟の考えと同じ。婚活していると相手の条件ばかりに目がいきがちですが、それって相手が自分にくれる利益しか見ていない。本当に大事なのは、「自分は何が与えられるか」を見直すこと。そうすれば、今自分がやるべきことが見えてくるし、相手に求めるもののハードルもグンと低くなって、条件先行型の頭でっかちの婚活にはならないんじゃないかしら。
ところで、前の結婚では、お互い実家暮らしで一緒に住んだことがなかったために、生活スタイルが合わない相手と結婚してしまったのが離婚の原因でしたよね。今回、その辺りはちゃんと確認してから結婚したのでしょうか。
丹次郎さん:前回の反省点を踏まえて、ちゃんと同棲しましたよ(苦笑)。彼女は実家暮らしだったのですが、僕と付き合い出した日に「一緒にここで暮らしたい」と、僕の部屋に転がり込んで来ました。
反省点を活かせているようで、よかったです(笑)。
おふたりはその後、ひと波乱ありながらも無事結婚して、現在はアジア某国と日本での「ときどき別居婚」生活を送っているのですが、長くなったので、そのお話は次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。