自分の心の底から「やりたい」という気持ちが湧き起こったのは、農業クラブや母校でのキャリア教育といった社外活動がきっかけでした。周囲の人に誘われて、なんとなく始めた活動でしたが、やってみると思いのほか、「もっとやりたい」という気持ちが強まったのです。これは決して、探したから見つかったものではありません。人の誘いに軽い気持ちで乗っかった先に、見つかったものです。
もちろん、本業を心の底から「やりたい」ことだと感じていれば、それを突き詰めればよいでしょう。ただし、自分が置かれた環境からいったん離れることで、結果的にやりたいことが見つかるケースもあるのです。だから、誰かに誘われたら乗ってみる。身を委ねて、新たな経験に踏み出してみてはいかがでしょうか。複業を見つけるのは「他力本願でいい」のです。
独りよがりの「好きなこと」ではダメ
ただし、気をつけなければいけないのは、「やりたいこと」が独りよがりな「好きなこと」ではいけないということ。もちろん趣味であれば「好きなこと」で構いません。ただ複業としてやるからには、他人の役に立ち、「ありがとう」と言われるものがお勧めです。
「ありがとう」と言われるということは、そこに需要があるということ。需要がないのに続けても、事業の継続は難しく、いずれ疲弊してしまうでしょう(「ありがとう」をもらえることであれば、金銭的報酬はなくても構いません)。
僕は自分の経験を「〝好きと生きる〞複業講座」でお伝えしています。ただ、そこで「好きと生きる」と表現しているのは、決して「好きなことを複業にしよう」という意味ではありません。そうではなく、人の役に立つ複業を通して、自分のことを好きになったり、自分が好きだったことを再発見したりする、そんな働き方を提案しています。
コツ(2)日頃の時間の使い方を見つめ直す
周囲の人に誘われたら、軽い気持ちで乗っかってみる。「やりたいこと」はそんなきっかけから見つかることがあるとお話ししました。ただ誰しもにそうした機会が多く訪れるわけではないでしょう。
そこでお勧めしたいのが、自分の潜在的な興味・関心に気づくことです。そのためには自分の日頃の時間の使い方を見つめ直すこと。時間の使い方にこそ、その人の興味・関心が表れるからです。
たとえば手帳やカレンダーで予定を管理している人であれば、昨日1日何をして過ごしたかを振り返ってみましょう。できれば仕事や人と会う、買い物をするといったルーチンの予定ではなく、そうした予定のスキマ時間に、ささいなことでもいいので、自分から興味を持って行動したことはなかったか、思い返すのです。