【目次】
国をあげた「防空演習」とは?
2021年は9月15日13時30分から30分間の間、台湾全土が一斉に静かになりました。これは毎年1年に1回、仮想敵国からの空襲を想定した「防空演習」と呼ばれる訓練が行われているからです。
実施対象地域は台湾全土、一般市民も参加
この訓練がとにかくすごい!ある区域だけで訓練が行われるのではなく、実施対象地域は台湾全土(澎湖諸島や金門島などの離島も含む)となり、一般市民も参加する演習になります。
この訓練の時間中は外出が禁止されており、台湾の街がピタッと静かになります。そしてもしも訓練中に外を歩いていたら、なんと罰金を取られます!
2017年に恐竜の着ぐるみを着て、道を歩いた男性が約6万元もの罰金を取られたというニュースもありました。外国人や旅行者だろうが関係なく、例外ではないので注意が必要です。
あらゆる有事を想定した訓練。当日はアラートも
この訓練は仮想敵国からの攻撃を想定し、有事の際の空襲に備えるため、また地震などの自然災害やテロ、大きな事故の発生を想定し、国民の命を守るため、軍の出動をスムーズに行えるように毎年訓練が実施されており、数週間前からTVや街中、インターネットで訓練日の告知がされ、その時刻には外に出ないよう念を押されます。
当日、訓練の開始時刻になると、突然すごく大きな「ウーーーッッ!!」という空襲警報のサイレン音が鳴り響き、スマートフォンにはアラートメッセージが届くので(写真)、嫌でも今から訓練が開始するんだと認識します。
▲アラートメッセージ
初めてこの訓練を経験した年には急なあまりの爆音にびっくりして、「いったい何事!? 」と焦ってしまったほど。
外出制限と交通規制で町の雰囲気は一変
そして、一気に街から車と人が消え、雰囲気が一変します。このようにパフォーマンスだけの訓練ではなく、かなり本気度の高い訓練なのです。
訓練の間は住民や車両に対する避難指示や交通規制が行われるため、車の運転もできません。(運転中に訓練が開始された場合は車を道の端に寄せて待機するそうです)電車、飛行機、高速道路は影響を受けませんが、駅や空港から外に出られなくなるので、利用者は暫らく待機することが必要になります。また、屋内では明かりをつけず、窓を閉めなくてはなりません。
台湾に訪れる際は「防空演習」を踏まえてスケジュール調整を
このような本格的な防空演習が毎年全国的に行われていることに、改めて台湾の不安定な現実を思い知らされますが、台湾人にとっては毎年のことで慣れているようで、特に特別には感じていないようです。
今後、台湾旅行をする機会がありましたら、「防空演習」の予定にはくれぐれもお気をつけください!
神谷知佳
台湾で2児(ともに男児)の子育て真っ最中。国際線CA→大手スポーツメーカーの人事を経て台湾移住。現在はフリーランス人事として仕事と育児のバランスを模索中。
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