例えばこの本では「ピラミッドの建設にはいくらかかったのか?」という質問が書かれていました。「いくらだろう? 新国立競技場が1500億円だから、それくらいかな?」と思ったのですが、実はかかったお金は0円だというのです。
今、あのピラミッドを作ろうとすると1250億円程度で建設できるそうですが、それは重機などを使った場合の話で、完全手作業となると4兆円はかかってしまうのだとか。
それでも当時のエジプトでは1銭もお金を払うことはなく、働いた人には食料や衣類・ビールなどが振る舞われていたのだと言われています。
ここからわかることとして、この本では「予算を確保すれば、お金さえあれば何かができると考えるのは間違いだ」と語られています。
お金が商品に変わったのではなく、お金が労働に変わり、労働が商品に変わったのだ、と。商品は労働によって作られるのであって、お金を使うときには必ず、その向こう側にいる「人」を想像しなければいけないんだ、と。
これは確かに、普段ただ生活しているだけではなかなか気づけないことです。お金というものを大きな枠組みで、マクロなスケールで見ないと見えてこないことだと言えます。
同じものを見ていても、立場によって見え方・考え方は全然変わってきます。この本のお金に対する考え方は、それを教えてくれるものだったと強く感じました。
自分とは違う人を「真似る」と「学び」が大きい
いかがでしょうか?
頭がよくなるために必要なのは「真似ること」だと僕は思っています。「まなぶ」という言葉は「まねぶ」という言葉から派生した言葉であるという説があるわけですが、まさにそのとおりです。
そして、どうせ考え方を「真似る」なら、自分と似たような考え方をする人を真似るのはもったいないです。自分とはまったく違う経験をしてきた人を真似たほうが、てっとり早く多くのことを「学べる」はずです。
みなさんもぜひ、そうした考えを持って読書をしてみてください。きっと新しい発見が得られるはずです!
「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書 (東洋経済新報社)
現役東大生・ドラゴン桜2編集担当
西岡 壱誠(にしおか いっせい)
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「思考法」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国6つの高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約7000人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。著書『東大読書』『東大作文』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計30万部のベストセラーになった。
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