大人だけの問題じゃない【自律神経の乱れ】を再確認!
自律神経の乱れと聞くと、ストレス社会を生きる大人の症状と思われがちですが、最近では子どもにも起こる症状として再度注目を浴びています。自律神経の基本から、子どもの乱れた自律神経をどう整えるのかをご紹介します。
そもそも自律神経とは?
自律神経とは、自分の意識とは無関係に身体の機能を調整する神経のことを言います。自律神経には【交感神経=活動している時】と【副交感神経=リラックスしている時】があります。このふたつがバランスよく働くことで健康でいられるのです。
子どもの自律神経を乱す要因は2つ
1:生活リズムの乱れ
親御さんが子どものころも、夜更かしをするなど生活リズムの乱れがあったと思いますが、それと現代の子どもの乱れは質が違います。イマドキの子どもたちはデジタル機器に囲まれて過ごしています。ゲームやYouTube、SNSなど時間に区切りがなくエンドレスで楽しめるものばかり。
晩御飯やお風呂で副交感神経が優位になり、就寝へと理想的な流れの中、寝る前のYouTubeなどで交感神経を刺激してしまうのです。このことで、寝つきが悪い、朝起きても交感神経へ切り替えることができず活動ができない、など支障をきたすようになります。
2:アクセルとブレーキの同時併用
活動中(交感神経優位)の時に、危機に直面すると人は「闘う?逃げる?」を判断するのですが、この時に働くのは交感神経。でも、「あぁ、もう無理! フリーズだ…」というときは副交感神経が働きます。アクセル=交感神経優位と、ブレーキ=副交感神経優位がうまく交互に働いているのが正常な状態です。しかし、イマドキの子どもの中にはアクセルとブレーキを同時に踏んでいる子も少なくないのです。
例えば、学校でいじめにあっていたり、家庭で塾や習い事などいつもプレッシャーをかけられているような時、いつ何が起きるか分からないから常に「闘う?逃げる?」とアクセルを全開にしていますが、それと同時に、状況が怖すぎて心をフリーズするためブレーキも踏んでいる、という場合があります。言葉にするとなかなか難しいのですが、以下のような行動が見られた場合、両方のペダルを踏んでいるかもしれません。
・いつも緊張している
・いつも表情がない
・急に怒ったり泣いたりするが、理由がわからない
・リラックスできていない(腹痛や便秘・不眠を訴えることも)
最近、体調や感情面が不安定だなと感じた場合は、一度子どもの様子をじっくり観察してみてください。
自律神経の乱れはどう解消する?
子どもの自律神経の乱れの大半は、交感神経が過多になっていることが多いのが特徴です。まずはリラックスできる時間や場所を作ってみてください。
・ご飯をゆっくりよく噛んで食べる(時間をかけて食べるのがポイント)
・温かい飲み物をフーフーしながら飲む(呼吸が整えられます)
・お風呂の後、ストレッチやマッサージなどをする(副交感神経を優位にする)
・安心できる場所でぼんやり・のんびりタイム(ストレスを手放す)
このような時間を持つことで、交感神経優位の時間が減っていきます。また、一番のネックとなっているゲームやYouTubeなどのデジタル機器ですが、これは一方的に時間制限をしたり、取り上げてしまうのは逆効果です。親子で納得のいくまで話し合いをしましょう。その際、親は【寝る2時間前までに終わらせる】という項目だけは死守できるよう、頑張ってください。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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