「然り」は「その通り」「そのようだ」といった意味の言葉。「~も然り」と言えば、「~と同様だ」という意味になります。
Summary
- 「然り」は「しかり」と読み、「その通り」や「そのようだ」という意味を持つ言葉
- 「~も然り」と使えば、「~と同様だ」という意味になる
- 柔らかく言い換えるなら「そうだよ」「全くだ」などが適切
「然り」の意味とは
「然り」は、日常で頻繁に見聞きする言葉ではありませんが、教養として知っておいて損はありません。「何て読むの?」「どういう意味?」という人は、ここで疑問を解消しましょう。
読み方と意味
「然り」は「しかり」と読み、「その通り」や「そのようだ」という意味を持つ言葉です。相手の疑問・話に同意を示すときに使われます。また、「然り」と書いて「さり」と読むケースも。たとえば「さりげない」は「然りげ無い」、「さりとて」は「然りとて」と読みます。
冒頭で「然り」の意味を紹介しましたが、「~も然り(しかり)」と使えば、「~と同様だ」という意味にもなるのです。そのため、どのような意味で使われているかは、前後の文脈や言葉で判断する必要があります。

言葉の由来
然りの「然(しか)」は、「そのままの状態」を表す副詞。これにラ変動詞の「あり」がくっ付き、「しかあり」から「しかり」へ変化したと考えられているそう。「然」は現代文で使われることはまれですが、古文では前文を肯定するときに用いられる言葉としておなじみです。
たとえば、徒然草には「一生の間もまたしかなり」という一文があります。これは、「一生の間もまたその通りである」という意味。このほか、源氏物語の『末摘花』や大鏡の『道長上』などにも「然」を使った文が記されています。
しか・り【▽然り/×爾り】
[動ラ変]《副詞「しか」にラ変動詞「あり」の付いた「しかあり」の音変化》そのようである。そのとおりである。そうである。「―・り、君の言うとおり」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
【実際の体験談】ビジネスシーンでの「然り」の使い方
ここでは、「然り」に関するビジネスシーンでの体験談をご紹介。「然り」にまつわる成功談や失敗談のエピソードを見ていきましょう。
【episode1】「然り」は相手の意見を尊重する気持ちを伝えられる言葉

【episode2】スタイリッシュな言葉だが、意図が正確に伝わりにくい可能性も

使い方と例文
友人・家族との会話で「然り!」と言うシーンはまずないと考えられますが、固い言い回しがふさわしいビジネスシーンでは、他の人が使ったり自分で使えるシーンがあるかもしれません。「然り」を使うシチュエーションや使い方や例文を紹介します。

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肯定・同等・感嘆詞など幅広く使われる
誰かの言ったことに「然り」と言うと、相手を肯定する意味になります。ただしあまりにも古めかしい言い回しになるため、使う相手・状況は選ぶのがベターです。よりナチュラルに「然り」を使いたいときは、「○○と同じです」という意味で使うのがおすすめです。
たとえば「逆もまた然りですね」は、前の文章について「逆のことも同様です」と言いたいときに使えます。
固い言い回しではありますが、「然り」とそのまま使うよりも、現代人にとってなじみやすいといえるでしょう。このほか、相手の質問に「然り!」と答えれば、「その通り!」という肯定的な感嘆詞になります。
「然り」を使った例文
続いて、然りを実際に使った例文を見ていきましょう。
A「あの方が御社のCEOですか?」 B「然り」
こちらは他社の担当と話をしていて、CEOがたまたまやって来たというシチュエーションです。CEOの登場で驚いた相手に対し、「そうですよ」という意味で使えます。
「デキる上司が人間的に優れているとは限らない。逆もまた然り」
同期とお互いの上司について話し合っているときなどに、思わず口から出るかもしれません。このときの「逆もまた然り」は「仕事ができないからといって、その上司が人間的に劣っているわけじゃないよ」という文章を置き換えたものです。
「このグループの問題は彼女だけではない。リーダーである彼も然りだ」
然りは「○○と同じです」という意味で使われる言葉ですから、何かと比べて同様であると述べたい時にも使うことができます。同じ言葉を繰り返したい時には「然り」を使うと良いでしょう。
「彼は取引先の信頼を得るのが得意だ。今回もまた然り、しっかり契約を取って帰ってきた。」
過去と比べて同じであると話したい時にも「然り」を使うことができます。この例文の場合、然りは「取引先の信頼を得るのが得意」であるという部分にかかっていますので、今回も信頼を得て契約を取れたことが読み取れるでしょう。


