株価の暴落により投資家は阿鼻叫喚の状態だった
社会的な情勢により、企業が甚大な被害を被った場合にも「阿鼻叫喚」を使えば、事態の深刻さを伝えることができるでしょう。「阿鼻叫喚」は、個人的な問題よりも社会全体を揺るがす大きな出来事に適した表現です。
類語や言い換え表現とは?
続いて「阿鼻叫喚」の類語を紹介します。「阿鼻叫喚」は、なかなか日常会話で使う機会の少ない言葉なので、別の言葉を覚えておくと便利ですよ。主な類語や言い換え表現を3つピックアップしました。
地獄絵図
「地獄絵図(じごくえず)」も、ひどい状況の際に使用される言葉ですね。詳しい意味は以下の通りです。
1 地獄で亡者が苦しむありさまを描いた絵。地獄絵。地獄変相。2 きわめてむごたらしい状況になること。(<小学館デジタル大辞泉>より)
もともと「地獄絵図」は、地獄で苦しむ様子を表す絵や巻物を指す言葉ですが、のちに目も当てられないほどひどい状況を指すようになりました。「阿鼻叫喚」とよく似た恐ろしい響きを持つ言葉ですね。
・戦争で町は地獄絵図と化した。
・そこには想像を絶する地獄絵図が広がっていた。
慟哭
「慟哭」は、「どうこく」と読みます。意味は以下の通りです。
悲しみのあまり、声をあげて泣くこと。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「慟哭」は、しくしくと静かに泣いたり、嗚咽を漏らすというような泣き方ではなく、感情が極まって大声で激しく泣く様子を指します。小説や映画、歌の歌詞などで聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・親しい友人の訃報を聞いて慟哭した。
・生涯孤独の身となり、ひとり慟哭した。
泣き喚く
「泣き喚く(わめく)」の意味は以下の通りです。
わめきながら泣く。泣き叫ぶ。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「阿鼻叫喚」は、事故や災害など大規模な被害に対して使われることが多い言葉です。そのため、知人間での喧嘩やトラブルで泣き叫んだ、というようなシーンで使うには、ややオーバーに感じられることも… 。場合によっては「泣き喚く」や「泣き叫ぶ」などに言い換えましょう。
・遊園地で迷子になった男の子は泣き喚いていた。
・恋人にフラれたショックで3日3晩泣き喚いた。
英語表現とは?
「阿鼻叫喚」の英語表現は「地獄」という意味と、「泣き叫ぶ」という意味を分けて考えるとわかりやすいでしょう。「地獄」は、英語で「hell」といいます。「hell」を使った慣用句に「all hell breaks loose」があり、「(地獄のような)大混乱が起きる」という意味になります。
・All of a sudden, all hell broke loose inside the cruise ship.
(クルーズ船の中は突然、大混乱が起きた)
また、「泣き叫ぶ」ことを伝えたい場合は「悲鳴をあげる」という意味の「scream」が適切です。
・She screamed for help.
(彼女は助けを求めて悲鳴をあげた)
・He screamed in fright.
(彼は恐怖のあまり悲鳴をあげた)
最後に
「阿鼻叫喚」の意味や類語、英語表現などは理解できましたか? 「阿鼻地獄」と「叫喚地獄」というふたつの地獄から生まれた言葉だったとは驚きましたね。炎の中、泣き叫ぶ罪人たちの姿が目に浮かぶような独特の表現です。目も当てられないような恐ろしい光景を表現したい時「阿鼻叫喚」を使ってみてはいかがでしょうか?
▼あわせて読みたい