「捲土重来」の意味や読み⽅とは?
「捲土重来」は何と読むかわかりますか? 答えは「けんどちょうらい」です。難しい故事成語のため、読み方はもちろん、意味を知っている方は少ないのではないでしょうか。まずは、「捲土重来」の意味を詳しく解説していきます。
〈読み⽅と意味〉
「捲土重来」は、「けんどちょうらい」、もしくは「けんどじゅうらい」と読みます。意味を辞書で引いてみると下記の通りです。
物事に一度失敗した者が、非常な勢いで盛り返すこと。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
つまり、「一度失敗した人が、勢いよく巻き返すこと」という意味の言葉。「捲土重来」は「捲土」と「重来」という言葉を組み合わせた四字熟語です。「捲土」は、土けむりをあげるほどの激しい勢いのことで、「重来」は再びやって来ること。この2つを合わせて、「土けむりをあげるほど激しい勢いでリベンジを果たすようす」を表現しています。
「捲土重来」は、ビジネスシーンや選挙の演説などでも使われ、事業やプロジェクトで失敗したり、選挙で落選した際などに、「次は捲土重来を目指す」と言うことがあります。
■由来
「捲土重来」は、中国の詩人・杜牧(とぼく)の詩「烏江亭に題す」がもとになっている故事成語です。時代は、秦末期。始皇帝の死後に台頭していた、楚の将軍家の血筋を引く将軍「項羽(こうう)」と、庶民の生まれであった「劉邦(りゅうほう)」。天下を争った二人でしたが、最終的に勝利したのは劉邦でした。戦いに敗れた項羽は、自決してしまいます。
その項羽をしのんで詠われたのが、「巻土重來 未だ知る可(べ)からず」というもの。これは、「土けむりを起こすような勢いで、もう一度出直していたのなら、結果はどうなっていたかわからなかった」という意味です。この一節からは、「リベンジを果たしていればよかったのに」という項羽に対する、杜牧の痛恨の思いが伝わってくるようですね。
■ビジネス等で使う時の注意点
「捲土重来」は、ビジネスシーンで使われることが多い言葉です。気をつけたいのは、「捲土重来」は、基本的にはポジティブな意味合いで使われるということ。多くは、「捲土重来を果たすために努力をする」、「心を入れ替えて、捲土重来を期す」というように、前向きな姿勢や意志を伝える時に使います。逆に、「捲土重来は諦めた」など、ネガティブな文脈ではあまり使われません。ポジティブな言葉である、ということを覚えておいてくださいね。
使い⽅を例⽂でチェック
次に、実際に「捲土重来」をどのように使えばいいのか例文を見ていきましょう。「捲土重来」はそのまま単語のみでも使われますが、「果たす」や「期す」など、動詞と一緒に使われることも多いです。
「いま注目の若手スポーツ選手の座右の銘は、捲土重来だ」
「捲土重来」は、前向きかつ、奮起してくれるような言葉なので、座右の銘にしている人が多い言葉。特に、一度挫折や失敗、スランプを経験したスポーツ選手などが、「次こそは必ず勝つ」という強い意志を込めて、座右の銘にすることが多いようです。
「先日のプレゼンは失敗に終わってしまいましたが、反省点を生かし、次回は捲土重来を果たします」
「捲土重来」は「成し遂げる」という意味の「果たす」と一緒に使うことができます。また、「捲土重来」はこの例文のように、ビジネスシーンでも聞く言葉。仕事をしていると、失敗はつきもので、むしろ失敗から学ぶことの方が多いですよね。「失敗を糧にして、必ずリベンジしたい」という気持ちになった時に、ぜひ使ってみてください。
「捲土重来を期すると言っていた後輩は、その宣言通りに、昨日の商談で大手企業との契約を取り付けたそうだ」
「期す」は、「心に誓う」や「約束する」という意味の言葉です。「捲土重来を期す(期する)」で、「リベンジを心に誓う」という意味で使うことができます。この表現もよく使われるので、覚えておきましょう。
「前回の選挙で落選した政治家は、今日の演説で捲土重来にかける思いを熱く語っていた」
「捲土重来」は、選挙の時期にも聞くことが多い言葉です。この例文のように、「託す」や「願う」といった意味の「かける」と合わせて使うこともできますよ。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「捲土重来」は、「巻き返し」や「リベンジ」、「再起」という意味を持つ言葉に言い換えることができます。代表的なものをいくつか紹介していきましょう。
起死回生
「捲土重来」の類語として代表的なのは、「起死回生」です。意味は、「絶望的な状態から立ち直らせること」。「捲土重来」も「起死回生」も、危機的な状況から、一気に立て直しを図ることを意味するので、そのまま言い換え表現として使えます。
臥薪嘗胆
「臥薪嘗胆」とは、「がしんしょうたん」と読む故事成語です。意味は、「成功や復讐を目指し、苦労に耐えること」。この意味から読み取れる通り、「臥薪嘗胆」は、どちらかというと「苦労や努力を重ねること」にフォーカスが当てられた言葉ですが、「捲土重来」は「巻き返しを図る」という部分にフォーカスが当てられています。必ずしも同じ意味ではありませんが、「再度の成功を目指す」という点では、同じ意味で使えるでしょう。