「一触即発」はどんな場面で使う熟語?
「一触即発」は「いっしょくそくはつ」と読みます。
「ちょっと触れるだけで爆発しかねない」という極めて危険な状態を指す四字熟語です。 たとえば人間同士の対立が限界に達していて、ちょっとしたきっかけで、争いごとが起きてしまう状態を意味しています。
何かのきっかけで修復不能な状態にまで陥ってしまうかもしれない、いわば「非常事態寸前の状況」を指した言葉なのです。
「一触即発」の結果として、人間同士なら喧嘩や絶交宣言など、会社同士なら契約破棄や裁判沙汰などに至ることがあり、国家同士なら国交断絶、最悪戦争に発展することさえあります。
「一触即発」の意味を辞書で確認しましょう。
いっしょく‐そくはつ【一触即発】 ちょっと触れればすぐに爆発しそうなこと。危機に直面していること。危機一髪。「一触即発の国際情勢」
日常生活上での「一触即発」
「一触即発」と漢字で書くとものものしく感じますが、言葉自体は日常生活上でも用いられています。
たとえば、日頃から仲が良くなかった同級生同士が、クラブ活動でグラウンドをどちらが先に使うかでもめて、あわや取っ組み合いの喧嘩になりそうな状況を「一触即発」と言います。
他の生徒の仲裁で喧嘩に至らなかった場合、後に「あの時は一触即発だったね」というような使い方をします。
ビジネス上での「一触即発」
「一触即発」という言葉は、ビジネスの世界でもよく使われている四字熟語です。
「一触即発」とは、今にも争いが起こりそうな状況を指す言葉なので、なにかと利害関係が交錯し、苛烈な競争社会でもあるビジネス界で使われるのは必然ともいえるでしょう。
たとえば、メーカーA社の製品の販売店契約を結んでいるB社は、A社からのたびたびの警告にも関わらず、法的にグレーな営業手法での販売を繰り返していたと仮定します。 そしてこのたび、重大なクレームがA社に入り、今後の成り行きいかんでは、A社はB社との契約を破棄するかもしれないという状態です。
このような状況を「とうとう両社は一触即発の状態に陥った」と表現できるわけです。
「一触即発」の使用実例文章
あと少しで深刻な事態に陥りそうな状況。それが「一触即発」です。
それだけに、実際に「一触即発」と声に出して使う時は、周りの雰囲気をよく把握しましょう。 それでは実際にどのようなシチュエーションで用いられているのか、その実例を文章で確認してみましょう。
社会問題で使われる「一触即発」
「一触即発」は、両者の緊張関係を表現する言葉として、社会問題でもよく使われています。
新聞の見出しやテレビの報道番組などで目にする機会が多い「一触即発」の使用実例を以下に紹介します。
【例文】
・第二次大戦後の冷戦時代、米ソは常に緊張関係にあった。 特に、1962年の「キューバ危機」では、危うく核戦争になりかねないという【一触即発】の事件が起きたほどだった。
・先日、成田空港に某国の旅客機が緊急着陸する事件が発生した。状況によっては墜落する可能性があり、まさに【一触即発】の状況だった。
家族間で使う「一触即発」
家族間のトラブルにおいても「一触即発」が使われることがあります。平穏な家庭生活が、あるきっかけで崩壊しかねない状況で用いられる使用実例を以下に紹介しましょう。
【例文】
・夫婦仲が良く「おしどり夫婦」と評判だったA夫妻だったが、夫の不倫行為が発覚し、妻は怒り心頭で離婚すると息まいている。 夫は必死で妻をなだめているが、妻の怒りはおさまらず【一触即発】の状態らしい。