男女間で使う「一触即発」
恋人同士となった男女間におけるトラブルも、時として深刻な状況に陥ることがあります。 特に、結婚を控えている男女にもめ事が起きると厄介です。 以下は、そのような場合に用いる「一触即発」の例文です。
【例文】
・結婚式を控えているあの2人だが、先日男の元恋人と称する女が男相手に婚約不履行の訴えを起こしたそうだ。女性側が婚約破棄を言い出す可能性もあり、まさに【一触即発】の状況になっているようだ。
【目次】
「一触即発」に似た類語は?
深刻な事態に陥る直前の状態を表す四字熟語は「一触即発」の他にも類語がいくつかあります。それらの類語は「一触即発」とは微妙にニュアンスが異なるので、文脈によって使い分けることになります。
ここでは「一触即発」の類語といえる四字熟語を3つご紹介しましょう。
危機一髪(ききいっぱつ)
「一触即発」とほぼ同じ意味で使われることが多い四字熟語が「危機一髪(ききいっぱつ)」です。
危険に陥りそうな一歩手前の状況を「髪の毛1本」だけのわずかな差と表現した言葉です。 「一触即発」が1対1の関係に対して使われ、次に起きる危険を予感する状況を指すことが多いのに対し「危機一髪」は単独での危険な状況でも使われ、危険を回避できた場合によく用いられています。
「危機一発」という誤字は「一触即発」との混用で生じているようです。 「昨日の登山では雪崩が起きて危うく滑落しそうだったが、危機一髪で命拾いした」 という風に使います。
「危機一髪」の意味を辞書で見てみましょう。
きき‐いっぱつ【危機一髪】 髪の毛1本ほどのごくわずかな差で危機におちいりそうな危ない瀬戸際。「危機一髪のところで難を免れる」
一髪千鈞(いっぱつせんきん)
現代ではあまり使われなくなっているのが「一髪千鈞(いっぱつせんきん)」です。1本の髪の毛で千鈞(約18,000kg)もの重い物を引くこと。すなわち、大変な危険な行為を表す言葉です。
「そのやり方は、まるで一髪千鈞を引くことに等しい」 という風に、極めて危険な行動に対して使われていましたが、現代ではほとんど用いられておらず、その意味が分かる人は少ないでしょう。
辞書での意味は次の通りです。
一髪(いっぱつ)千鈞(せんきん)を引(ひ)く 《韓愈「与孟尚書書」から》ひとすじの細い髪の毛で千鈞の重さのものを引く。非常に危険なことをするたとえ。
瀬戸際(せとぎわ)
「一触即発」と同じく危険な状態を表す言葉でよく使われるのが「瀬戸際」です。
「瀬戸際」はもともと海峡と外海の境目を表す言葉ですが、狭い海峡を船がぎりぎりで通り抜ける様を実生活の危機的状況になぞらえた四字熟語です。
【例文】
・A国は、いつも国際問題に発展しかねないような危ない【瀬戸際】外交を続けている。
・残り時間が少なくなり、B選手はあと1ポイントとられると敗退する【瀬戸際】に追い込まれた。
「瀬戸際」の辞書の意味は次の通りです。
せと‐ぎわ〔‐ぎは〕【瀬戸際】 1 狭い海峡と外海の境。 2 勝負・成否などの分かれ目。「生きるか死ぬかの瀬戸際」
まとめ
「一触即発」は、漢字を見ただけでおよその意味が分かる四字熟語であり、会話でも日常的によく用いられています。安易に使うとそれこそ「一触即発」の状況になりかねないので注意が必要です。
それほど深刻にもならない事柄にまで「一触即発」を使うと、本人は冗談のつもりでも、第三者が誤解して伝播する可能性もあるので、現実の事象では本当に危ない段階で使うべき言葉といってよいでしょう。
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※引用すべて「小学館 デジタル大辞泉」より
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