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75%以上のぶどう畑が環境に配慮
フランス・ボルドーといえば、誰もが知るワインの名産地です。
▲ ボルドー市内を流れるガロンヌ川。川の右岸と左岸でボルドーワインは個性が異なる。
五大シャトーが有名だけれど、そういったいわゆる格付けシャトーの割合は、じつは約5%。それ以外に、日々の生活のなかで楽しめてしまうデイリーワインがたくさんあるのです。
そんなボルドーではいま、サステナブルなワインづくりに力を入れています。事実、現在はボルドーの75%以上のぶどう畑が、環境的なアプローチに対するなにかしらの認証を受けているほど。その割合は年々増え続けていて、「2025年までにこの数字を100%にします」と、ボルドーワイン委員会ではそう宣言しているのです。では、その具体的な取り組みとは?
▲ サステナブルなぶどう畑には下草が生えているのがひとつの特徴。
多様な動植物が共存する畑
畑では、なにより生物多様性を大事にしています。ぶどうの木と木のあいだに、イネ科やマメ科などの植物を育てたり、それ以外にもこれまでは雑草と考えられていた草花をぶどうの木と共存させている生産者もいます。
その畑を耕せば、植物や雑草がやがて肥料となり、土壌も豊かになります。またぶどう畑の周囲に野菜や穀物、木々を植えて、より多様な環境をつくっている生産者もいるのです。
そういった自然に近い環境の畑には、さまざまな動植物や微生物が生き生きと活動しています。さらにボルドーでは、夜間になるとコウモリがやってくることが、観測により明らかになっています。コウモリはひと晩のうちに2000匹もの虫を食べるほど貪欲で、コウモリが棲息しやすい環境をつくることによって、化学農薬の使用を減らそうという取り組みです。
その他にもクリーン・エネルギーを利用したり、大切な水資源をなるべく使わないようにしたり、エコ的なパッケージを取り入れたりと、ボルドーの生産者たちの試みと努力は、尽きることがありません。
▲ 環境にやさしい栽培は、良質で健全なぶどうの源にもなる。
食卓で楽しむボルドーのデイリーワイン
地球の気温変動の影響から、近年のボルドーではぶどうの収穫時期がいままでより3週間ほど早まっています。サステナブルなワインづくりはそういった地球環境への配慮。さらには、気候の変化にあわせて私たちもよく知るカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといったぶどう品種以外に、赤ワイン4種と白ワイン2種、計6品種が新たに栽培が認められるなど、ボルドーはつねに動いているのです。
そんなボルドーの”いま”の息吹を感じさせるワインを、3本ご紹介します。
まずは「シャトー・レストリーユ ブラン アントル ドゥーメール」です。
▲ 「シャトー・レストリーユ ブラン」はぶどう品種ソーヴィニヨン・ブラン主体で爽やか。
マスカットやグレープフルーツを思わせるアロマ、飲むとフレッシュさと同時に果実味も感じられます。このワインの香りを生かして、ハーブやフルーツをのせたグリーンサラダ、スダチなどの柑橘を絞った焼き魚などとも相性抜群です。
▲ シャトー ・レストリーユの当主エステル・ルマージュさん。
次はロゼワインの「シャトー・ブルトゥス ボルドー クレレ」です。
▲ メルロ やカベルネ・フランなど4種のぶどうを使った「シャトー・ブルトゥス ボルドー クレレ」。
ラズベリー、クランベリーといった赤い果物のニュアンスがあって、口あたりはさわやかでスムーズですが、味わいには骨格があり、余韻も長いのが特徴です。ロゼというよりは、薄めの赤と表現したほうがぴったりなので、中華料理の点心や餃子、トマト煮込みの料理とともにぜひ。
▲ シャトー・ブルトゥスの当主セシル・マリエ・ヴェルディエさん。
そして赤ワインの「シャトー・ドゥ・ロッシュモラン ルージュ」は赤い果実のニュアンスと柔らかなタンニン、控えめな樽のオーク香がとてもよく調和しています。牛肉やラム肉などのお肉とともに、楽しんでみてくださいね。
▲ 「シャトー・ドゥ・ロッシュモラン ルージュ」はカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%。
▲ シャトー・ドゥ・ロッシュモランの当主マチルド・ドゥ・ケ・ルルトンさん。
今回、紹介したワインはすべて女性生産者たちがつくるワインです。ここにも、ボルドーの多様性のいまが反映されているといえるでしょう。
Châteaeu Lestrille「シャトー・レストリーユ ブラン アントル ドゥーメール 2019」2,420円
Châteaeu Brethous「シャトー・ブルトゥス ボルドー クレレ 2018」2,420円
Châteaeu de Rochemorin「シャトー・ドゥ・ロッシュモラン ルージュ 2014」5,610円
※すべて税込・希望小売価格
協力/ボルドーワイン委員会(CIVB)
ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。