2歳児に適切な食事量とは?
食べることにも慣れて、いろいろなものが食べられるようになってくる2歳児ですが、どのくらいの量を食べていればよいのでしょうか。
「うちの子どもは食べすぎ?」「食べないけど大丈夫?」と心配するママに、まずは適切とされる食事量について説明します。
大人の食事量の半分程度が目安
2歳児の食事量の目安は「大人の1/3〜1/2くらい」です。エネルギー量に換算すると900〜950kcal程度で、3食+間食で1日に必要な栄養素を摂るようにするとよいでしょう。
ただし、この量はあくまでも目安です。食べる量には個人差があり、食事に興味津々な子どももいれば、あまり食べない子どももいます。極端に食べず、体調面に問題が出ている場合は別ですが、元気で顔色がよければ心配しすぎることはありません。
また、小柄な子どもでも、母子手帳などに記載されている「乳幼児身体発育曲線」で、子どもなりに発育をしていることが確認できれば「適切な量が取れている」と考えられます。
参考:幼児の食生活 | 西宮市保健所 地域保健課 R3.3 改
2歳児の食事で出してはいけない食べ物
2歳児は食べられるものが増え、大人が食べているものに興味を持つことが増えます。しかし、興味があるからといって、何でも食べられるわけではありません。
トラブルを防ぐために、控えた方がよい食べ物を確認しておきましょう。
大人用に味付けした加工食品
大人用に味付けされた加工食品には、味が濃いものや刺激が強いものが含まれています。大人にとってはおいしい食べ物であっても、内臓機能が未発達な2歳児には味が濃すぎて、体の負担になる可能性があります。
ソーセージやハム、ちくわなど、手軽さからついつい与えがちになってしまうかもしれませんが、できるだけ控えた方がよいでしょう。
どうしてもの場合には、「少量にする」「湯通しをして塩分を抑える」などの工夫が必要です。ほかのメニューを、いつもより薄味にするのも効果的です。
刺身や生肉などの生もの
刺身や生肉などの生ものは、胃腸への負担が大きく、たとえ新鮮なものであっても、食べさせない方がよいでしょう。
また、生卵にも細菌感染の恐れがあります。卵かけご飯などを欲しがることもあるかもしれませんが、少なくとも3歳以降までは与えない方が得策です。
子どもの体は、大人に比べると食中毒への耐性が弱く、大人が平気なものでも激しく反応するケースも。最悪の場合には重症化することもあるので、気軽に与えないように注意し、特に生肉は大人になるまで避けることをおすすめします。
かみにくい食べ物
奥歯が生えそろっていない2歳児には、かみにくい食べ物を与えてはいけません。具体的には、こんにゃく・餅・団子といった弾力があり、つるんと飲み込んでしまうような食べ物です。上手にそしゃくできず、そのまま飲み込んでしまうと窒息の危険性があります。イカやタコ、するめなどの硬い食べ物も同様です。
どうしても食べさせたい場合には、包丁などで細かく切り、大人が見守っている環境下で「少しずつ」与えるようにしましょう。
2歳児が食事を食べないときの対処法
自我が芽生え、さまざまなことに興味が出てくる2歳児に、上手に食事をさせるのはひと苦労かもしれません。2歳児が食事を食べないときの対処法を紹介します。
生活リズムを整える
まずは、生活リズムを整えて「お腹が空くリズム」を作っていきましょう。
朝は早く起きて朝日を浴び、体を起こすことからスタートします。起きてすぐは食欲が湧かないこともあるので、早めに起きてカーテンを開け、8時までには朝食を済ませましょう。食べられる範囲でよいので朝ごはんをとることで、1日にを元気に過ごすことができるでしょう。
日中は外遊びを取り入れ、体をたくさん動かすことを意識してみてください。元気に遊べば、自然とお腹も空いてきます。
楽しいおやつの時間は食事の2時間前までを目安にし、午前は10時ごろ、午後は15時ごろがおすすめです。2歳ごろの子供にとって、おやつは第4の食事。甘いお菓子やジュースなどは控え、楽しく食べれらるおやつで不足しがちな栄養素を補えるとよいでしょう。
テーブルや椅子の高さを調整する
サイズが合わないテーブルや椅子は食事の妨げになるので、テーブルや椅子の高さを見直してみましょう。姿勢が不安定になればそしゃくに影響が出るだけでなく、上手に飲み込むこともできなくなります。
落ち着いて食事をするためにも、テーブルや椅子そのものが調整できる場合には、体の大きさに合わせて都度調整しておくことが大切です。
調整ができない場合には、クッションや座布団などを使って、食事しやすい姿勢を保てる環境を作りましょう。
食事を楽しめる空間を作る
食事を嫌がるからといって、パパやママが怖い顔で見つめていたのでは、食事そのものが楽しくなくなります。食べてくれないことに対する不安や、悲しい気持ちは理解できますが、まずは食事を楽しめる空間を作りましょう。
そのためには、まず大人が食事の時間を楽しむことです。「子どもに食べさせること」に集中しすぎず、「おいしいね」「おかわりしようかな」などと会話しながら、笑顔で食事をする様子を見せましょう。
2歳児は大人の真似をすることが大好きなので、楽しそうな様子を見て「食べてみようかな」と考えるようになるかもしれません。
無理強いしない
なかなか食べてくれないと、焦ったりイライラしたりしてしまうこともありますが、無理やり食べさせるようなことはNGです。前述したように、「食事は楽しくないもの」というイメージがついてしまう行為は避けましょう。
また、友達やきょうだいと比べる、「食べないと鬼が来るぞ〜」など怖がらせるといった対処法も逆効果に。子どもは否定された気持ちになってしまいます。干渉しすぎず、少し放っておく時間をつくって、自ら食べる意思が生まれるよう促すのもよいでしょう。

監修
中村美穂
管理栄養士、料理家。保育園栄養士として給食作りや食育活動、食事相談などを手がけ、2009年に独立。料理教室「おいしい楽しい食時間」を主宰するほか、メディア監修やレシピ制作、調理スタイリングなどを多数担当。自治体・企業の食育講座やクリニックでの栄養相談、店舗運営など幅広く活動している。著書に『きちんとかんたん離乳食』、『3歳からのからだをつくるおべんとう』(ともに赤ちゃんとママ社)、『1歳半~5歳子どもと食べたいレンチン作りおき』(世界文化社)、『1~3歳 発達を促す子どもごはん』(日東書院本社)などがある。