「子子孫孫」は孫子の代までという意味
「子子孫孫」とは子孫のまたその子孫まで、子孫が続く限りという意味の言葉です。
【子子孫孫:ししそんそん】
子孫の末の末。子孫の続く限り。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
普遍的なものが子孫のそのまた子孫まで、世代を越えてずっと受け継がれていくという意味の言葉と言えるでしょう。子と孫という漢字が2つずつ重なっており、視覚的にもニュアンスが伝わりやすい語句です。ここでは読み方と由来について詳しく解説します。
「子子孫孫」の読み方は二通りある
「子子孫孫」の読み方は二通りあります。「ししそんそん」と「ししそんぞん」で、より広く使われているのは「ししそんそん」です。
「時々」を「ときどき」、「人々」を「ひとびと」と読むように、同じ言葉が続く場合に二つめの言葉に濁音を入れるケースが多いことから、「ししそんぞん」という読み方が一般化したということでしょう。
なお正しい表記は「子子孫孫」ですが、「子々孫々」という書き方をされることも少なくありません。この表記をされる場合もあると覚えておくといいでしょう。
「子子孫孫」の由来は中国の歴史書『書経』
「子子孫孫」の由来は古代中国の歴史書『書経』の「梓材篇」の一節です。「子子孫孫」という言葉は国を治める際の心得や覚悟をつづった文章の中で登場します。
「已(ああ)茲(かく)の若くにして、監(かん)惟(こ)れ曰はん、萬年(ばんねん)に至るまで、惟れ王の【子子孫孫】、永く民を保(やす)んぜんと欲す」という文章です。「ああ、このようにしてこそ、監督者は言うでありましょう。万年に至るまで、それ王の【子子孫孫】はながくこの人民を安んずることができる、と。」という意味です。
やがて「子子孫孫」という言葉の入った一節が中国から日本に伝わりました。日本に伝わった時期もかなり古く、797年に成立した『続日本紀』の中で「子子孫孫」という言葉が登場しています。まさに「子子孫孫」まで受け継がれてきた言葉と言えるでしょう。
「子子孫孫」の使い方
「子子孫孫」は通常は良い意味で使われる言葉です。先人の残した業績や遺産、作品などが受け継がれていく際に使われるケースが多いです。例文でチェックしてみましょう。
【例文】
・彼が残した数多くの作品のみならず、芸術に対する情熱や現実と対峙するまなざしなど、彼の生き方や姿勢も【子子孫孫】まで伝わっていくでしょう。
・荒れ地を開墾して、新しい産業を興した開拓使たちの苦闘の歴史を知ることによって、彼らが【子子孫孫】に残したものの大きさが理解できるはずです。
「先祖代々」との違い
「子子孫孫」と混同しやすい言葉に「先祖代々」があります。「子子孫孫」が未来の子孫に対して受け継いでいくというニュアンスであるのに対して、「先祖代々」は過去から現在まで受け継がれてきたというニュアンスのある言葉です。
つまり「現在から未来」と「過去から現在」という違いがあります。
【例文】
・この田んぼは【先祖代々】大切にしてきたものだから、私が働けるうちは売るつもりはありません。
・村祭りは【先祖代々】伝わってきた大切な行事ですが、残念ながら今年は断念せざるを得ません。
「子子孫孫」の類義語4つ
「子子孫孫」にはいくつかの類義語があります。おもなものは以下の4つです。
・子孫
・末裔
・後代
・後世
それぞれ近い意味を持った言葉ですが、微妙な違いもあります。この4つの類義語は「子子孫孫」よりも使われることが多く、さまざまな場面で登場する言葉と言えるでしょう。それぞれの言葉の意味と例文を紹介します。この機会に覚えておいてください。
子孫(しそん)
「子孫」は子と孫、または祖先から代々で血筋や家を引き継いでいく人々という意味があります。日常会話でもよく登場する言葉です。
【例文】
・お二人の今後の幸せと【子孫】繁栄を願って、乾杯の音頭を取らせていただきます。
・地球温暖化の問題は自分たちにとっても切実な問題ですが、【子孫】にとってはさらに深刻な問題であると考えています。