「勧善懲悪」の意味と語源
「勧善懲悪」は善いことを推奨して、悪いことを懲らしめるという意味の四字熟語で、日本のアニメのストーリーにも頻繁に採用される概念です。スーパーヒーローが善良な市民を悪から救う、多くの人に愛されている映画も「勧善懲悪」に基づいています。
「勧善懲悪」の読み方は、それほど難易度は高くありませんが、自信を持って読めますか?
読み方は……「かんぜんちょうあく」でした!
「勧善懲悪」という表現は中国の書物『春秋左氏伝』に由来します。「勧善懲悪」の意味と語源について分かりやすく解説します。
「勧善懲悪」とは善きをすすめ悪を懲らしめること
善きを推奨し悪を懲らしめる「勧善懲悪」。意味を以下でも確認しておきましょう。
【勧善懲悪】かんぜんちょうあく
善事を勧め、悪事を懲らすこと。特に、小説・芝居などで、善玉が最後には栄え、悪玉は滅びるという筋書きによって示される、道徳的な見解にいう。勧懲。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
「勧善懲悪」は前半の「勧善」と後半の「懲悪」に分けて考えれば、難しい言葉ではありません。
「勧善」は、漢字のとおり善行を推奨するという意味を持っています。「懲悪」の意味は、悪を懲らしめることです。
「勧善懲悪」は日本のアニメや漫画だけでなく、ハリウッド映画を始めとする各国の作品にもみられます。善が勝ち悪が負けるという構図は、文化や言語の違いを越えて、世界的に浸透している考え方だといっていいでしょう。
語源は『春秋左氏伝』
「勧善懲悪」の由来は、孔子編纂の歴史書『春秋』の注釈書とされる『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』にあるとされています。「勧善懲悪」という言葉は、『春秋左氏伝』の中で初めて登場し、現在の形で定着していきました。
また、聖徳太子の制定した十七条の憲法にも、悪を懲らしめ善を勧めることは古くからの良いしきたりであるという意味の「懲悪勧善。古之良典」という一節が確認されています。いかに古くから、日本でも「勧善懲悪」の考え方が浸透していたかがお分かり頂けるかと思います。
「勧善懲悪」の類義語・対義語
「勧善懲悪」の4つの類義語と3つの対義語ををご紹介します。
【勧善懲悪の類義語】
「遏悪揚善」「激濁揚清」「勧奨懲誡」「破邪顕正」
【勧善懲悪の対義語】
「極悪非道」「悪逆無道」「跳梁跋扈」
「善をすすめ悪を懲らしめる」を意味する「勧善懲悪」の言い換え表現や反対の意味を持つ表現を知ることで、表現の幅を広げられるでしょう。
類義語
勧善懲悪の類語として挙げられる「遏悪揚善」「激濁揚清」「勧奨懲誡」「破邪顕正」
の意味をまとめました。読みが難しい表現も多いので、あわせて読み方も確認しておきましょう。
・遏悪揚善(あつあくようぜん):悪い行いには罰則を、善い行いには褒賞を与える
・激濁揚清(げきだくようせい):悪を排除し、善をすすめる
・勧奨懲誡(かんしょうちょうかい):善いことを奨励し、悪いことには罰を与える
・破邪顕正(はじゃけんしょう):邪道を打ち破り、正しい道理を明らかにする
「勧善懲悪」の類義語は、どれも「勧善懲悪」と同じように悪いものには罰を与え、善いものを奨励するというニュアンスが含まれています。