「伝手」の基礎知識を解説
「伝手」という言葉には読み方が2つあり、どう読むかによってそれぞれ意味が異なります。はじめに、伝手という言葉の読み方の違いや詳しい意味、由来、ことわざと元の漢文との意味の違い、使い方・例文などについて、詳しくチェックしていきましょう。
伝手には2種類の読み方と意味がある
先述のとおり、伝手には2種類の読み方と意味があります。1つ目は“つて”、2つ目の読み方は“てんじゅ”です。
“つて”と読む場合は、ほとんどの人が聞いたことがあるなじみ深い言葉でしょう。また“てんじゅ”と読む場合には、楽器に関連する意味として使われます。
それでは、2種類の読み方とそれぞれの意味について詳しくチェックしましょう。
「つて」と読む場合
“つて”と読む場合だけでも、2つの意味があります。1つ目の意味は「離れた相手に連絡をするための方法・手段」、2つ目の意味は「自らの希望を達するための手がかり・縁故」という意味です。
離れた相手に連絡をするための方法という意味で使う場合には、「連絡する伝手がありません」などと表現します。また、自らの希望を達するための手がかりとの意味では「親の伝手で入社しました」というように使いましょう。
「てんじゅ」と読む場合
【てん‐じゅ転手/点手/伝手】
琵琶・三味線などで、棹(さお)の頭部に横から差し込んである、弦を巻きつける棒。これを手で回して弦の張りを調節する。糸巻き。天柱(てんじ)。転軫(てんじん)。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
“てんじゅ”と読む場合の意味は、琵琶・三味線など楽器に関わるものです。琵琶や三味線のさおの上部に横から差し込んである棒のことを指し、この“てんじゅ”を手で回して弦を巻き付け、張り具合を調整しています。
なお、「転手」や「点手」と表記する場合や、「天柱(てんじ)」や「転軫(てんじん)」と言う場合もあります。
「伝」だけでも「つて」の意味がある
“つて”と読む場合は、「伝」だけで表記するケースもあります。この場合も意味は変わりません。「伝手」と同じく、「連絡をとる手段」という意味と、「手がかりや縁故」という意味があります。
伝手を頼る・伝手を辿るなど使い方や例文
伝手の使い方には、「伝手を頼る」や「伝手がある」、「伝手を辿る」などがあります。伝手を使った例文は見ていきましょう。
例文
・この作業ができる人がいないか、伝手を辿ってみます。
・伝手を頼りに上京してきました。
・先に働いていた友達の伝手でアルバイト先を紹介してもらえました。
・コラボレーションをする企画についてA社に提案したいと思います。だれかA社に伝手はありませんか?
伝手の類語やそれぞれの意味の違い
伝手にはいくつか類語が存在します。
1. コネ・コネクション
2. 縁故
3. 手蔓・手づる
これらの言葉と伝手は同じような意味で使われていますが、厳密に言えばそれぞれにニュアンスが異なる部分もあります。それぞれの意味の違いについて、一緒にチェックしていきましょう。
コネ・コネクション
「コネ」とは「コネクション」を短くして使っている表現で、人間関係のつながりを意味する言葉です。また、物事をうまく運ぶために役に立つ親しい関係という意味でも使われます。
この言葉は、他人の力を使ってなにかしらの便宜を図ってもらう場合に使われることが多いです。「コネ」にはややネガティブなイメージがありますが、「伝手」という言葉にはそれほど否定的なイメージがないことが違いです。
また、伝手はもともと自分が持っている縁に対していいますが、コネはこれから作る人脈についても使います。「伝手を辿る」とは表現するものの「コネを辿る」とはいわず、逆に「コネを作る」とはいうものの「伝手を作る」と表現することはどちらかというと少ないようです。