Domani

働くアラフォー、仕事もおしゃれも、楽して楽しく!

  • facebook
  • twitter
  • instagram
  • search
 

LIFESTYLEいつだって自分に"意識高い系"

2018.05.23

LAの若者が「意識高い系」でいられる本当の理由【原田曜平の「後輩世代のトリセツ」】

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・マーケティングアナリストの原田曜平さんが、アメリカ・ロサンゼルスの若者調査で感じたことについて語ります。

Tags:

成功体験に触発されるLAの若者。移民の存在がやる気を引き出す

年明けから1週間ほどアメリカ・ロサンゼルス(以下、LA)に若者調査に行ってきました。以前この連載でもお伝えしたように、世界の先進国で若者が〝さとり世代化〞(経済の成長が低下して社会が成熟期になると、若者があまり欲がなく現実的で調和型になる現象)しているという大きな流れは変わりません。

ただLAは、世界をマーケットにしたエンターテイメントの街・ハリウッドがあるエリアなので、アメリカの中でもちょっと特殊。中でも、身の回りに成功体験があふれていることは、大きな違いでしょう。ある黒人の女の子はまだ自主制作映画を撮ったことしかないのに、名刺には女優と書いている。自分のプロモーションビデオをすごくかっこよく撮って、YouTubeに公開しています。日本だったら「意識高い系」だとか言われて炎上させられそうですが、向こうでは普通のこと。夢や希望に満ちた若者が多くて、まさに大ヒットした映画『ラ・ラ・ランド』の世界観です。そういう姿を見ていると、大人が身近に成功事例を作ってあげることがすごく大事だと感じました。

映画『ラ・ラ・ランド』冒頭の渋滞の名シーンの舞台。LAには至るところに映画の撮影スポットが!

もうひとつの特徴が、移民の多さ。ロサンゼルス郡の人口は1024万人。最も多いのがヒスパニックで48%、白人が26%、アジア系が15%、黒人が9%。移民はネガティブな文脈で語られがちですが、いい意味でお互い競争意識が働いて、若者をアクティブにする効果が窺えます。対して日本は移民が少ない。しかも少子化で競争がほとんどない状況。人間というものはある程度突き上げられたほうが頑張ろうと思えるものですが、今や就職だって売り手市場です。なかなか目の色が変わるほどのスイッチがないんですよね。

一方でトランプ大統領が就任して以降、今まで見ないフリをしていた人種問題が顕在化して住みづらくなったという声も。たとえば、就職の面接で「君はメキシコ人だからIT企業では成功できないよ」と言われたという人もいました。少し前にダウンタウンの浜田さんが映画『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーに扮したことが物議を醸しましたが、アメリカでは人種問題がこれまで以上にセンシティブになっているのも事実です。

▲LAの若者のトレンドキーワードは「Hipster」。オーガニック、ローカル、シンプル、ミニマルデザインがかっこいいとされ、値段が高くても本当にいいものを選ぶ。キャッシュレス社会も進み、銀行口座とリンクした「Venmo」というアプリを高校生くらいから活用して、友達との割り勘もスマートに。

また、離婚率は50%にも。大都市ほど高く、今回LAで家庭訪問した若者7名は全員、両親が離婚していました。友達の親も多くが離婚しているから、意外にも傷つくことはあまりないのだとか。そのため結婚しても気を抜かず、出産後も働き続ける女性がやはり多いようです。 採用方法で参考になると思ったのは、個人主義の国なので社風や会社への忠誠心はほとんどの若者にはないということ。彼らは1社に長くいようなんて前提にしていません。ほとんどが大学卒業後に2〜3年働いて休むか、起業するか、他社へ行くか。ただ、就職したばかりの子になぜその会社を選んだのか聞いたら「口説き方がよかった」のだとか。「あなたはいずれいい会社を作る。でもまだ学生だからスキルや人脈が足りないでしょう。2、3年うちの会社にいてくれたら、必ず成長させることができる。独立するための経験を積んで」と。

▲「くら寿司」の進出は大成功。アジア系移民が多いエリアに展開。「吉野家」は味の嗜好が似ているヒスパニックをターゲットに好調。

そもそも学生は企業が何年ももつと信用はしていないし、明日クビになってしまうかもしれない国。一生うちの会社にいてくれというのは通じないけど、優秀な人に来てもらうために企業側が工夫しています。 また、フリーランスも多くて、2020年には労働人口の50%になるという予測も。日本はアメリカを追いかけて社会制度を作ってきているので、学生の志向も徐々に似てくるのではないでしょうか。哀しいかな、昔ながらに社訓を教えて企業の色に染めようとしても、もはやその時間はムダなのかもしれません。

あわせて読みたい
「インスタ映え」は多様化している
後輩とお酒、ホントのところ

『それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考』/¥1,000 ディスカヴァー・トゥエンティワン「カープ女子」「双子コーデ」『君の名は。』『うんこ漢字ドリル』「ハンドスピナー」など、昨今のヒット商品や流行事象を題材に、ヒットの方程式と消費者のインサイトが学べます。

マーケティングアナリスト

原田曜平

1977年生まれ。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。学生や20代の社会人と共に、若者の消費行動について調査・分析を行う。マーケッターの立場から現代を読み解き、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ)、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS)などに出演。

Domani2018年4月号 新Domaniジャーナル「後輩世代のトリセツ」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子


Domaniの試し読み・購入はこちらへ

Read Moreおすすめの関連記事