「輩」とは?
「輩」を一文字で使う時、悪事を働く人などに対し「悪い輩(やから)」などということもあり、あまり良い印象がない言葉かもしれません。今回は「輩」の読み方と意味、由来と語源から、正しい「輩」の使い方を説明します。本来の意味を知って、上手に使い分けられるようになりましょう。
読みと意味
「輩」の読み方は、音読みは「はい」と、訓読みでは「ともがら」「やから」「ばら」があります。それぞれの意味を辞書で調べてみると…
「はい」
はい【輩】
なかま。ともがら。やから。
「かの―は皆遠くこの少女に及ばぬのである」〈鴎外・魚玄機〉
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「ともがら」
とも‐がら【▽輩/×儕】
同類の人々をさしていう語。仲間。「学問を志す―」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「やから」
や‐から【▽族/▽輩】
1 (族)同じ血筋の人々。一家一門。眷属。一族。うから。
「医は黙し、―は眉をひそめ、自己は旦夕に死を待ちぬ」〈蘆花・不如帰〉
2 (輩)同類の者たち。仲間。連中。ともがら。特に、よくない連中。「行儀を知らぬ―」「不逞ふていの―」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「ばら」
ばら【▽輩/▽原/×儕】
[接尾]人を表す語に付いて、複数の意を表す。「殿―」「奴―」
「法師―の二、三人物語しつつ」〈源・夕顔〉
[補説]「殿ばら」などを除けば、多く同輩以下に対して、敬意を欠いた場合の表現として用いられる。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「輩」は、一文字でさまざまな読み方、使われ方をしていることがわかります。いずれも共通する意味は、同類や仲間を表していること。
「輩」を「ともがら」と読む時は「同類の仲間」で若干、限られた範囲になりますが、「はい」と読む時の「先輩」「後輩」などは少し広い範囲の印象に。「ばら」は「殿輩(とのばら)」など、「殿」に複数形を表す「輩」がついて身分の高い男性たちの敬称になります。 気になるのが「やから」と読む時で、「よくない連中」との意味があり、「やから」という言葉にはよいイメージがわかないかもしれません。「輩」には色々な使い方があるので、この機会にぜひ理解してください。
「輩」は悪い意味だけではない
「輩」の由来や語源、意味が理解できました。あらためて注意したいのが、「輩」を「悪い人」の意味だけでとらえないこと。「輩がたむろしている」「サボってばかりの輩がいる」なんて言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんね。日常会話での「輩」は、「ガラの悪い連中」という意味で使われることが多いのです。あくまでも、「輩」は、基本的には「同類の者たち」「仲間」を意味する言葉であることをお忘れなく!
「輩」の使い方を例文でチェック
読み方次第で、ニュアンスの異なった使い方ができる「輩」。「輩」を使った例文をいくつか見てみましょう。