育休中の社会保険や税金はどうなる?
育児休業中の社会保険料(健康保険や厚生年金保険料など)の支払いは免除になります。加入資格を取り消されるわけではないため、健康保険はそのまま使うことができます。雇用保険は給与に対して発生する保険料のため、給与がないのであれば支払いも発生しません。
住民税や所得税については、前年の所得などから計算されるため、基本的に支払い義務が発生します。通常は給与から差し引かれて徴収されていますが、給与が発生しない場合は、自宅に届く納付書を使って、金融機関やコンビニなどで納付します。
「育児休暇」や育休をパパが取得する場合
出産した本人(ママ)のみが育児休暇や育児休業を取得できると思われがちですが、育児休暇や育児休業はパパも取得することができます。
産後パパ育休って?
2022年10月から「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が導入されました。男性版産休といわれるこの制度は、子どもの出生後8週間以内に、パパが4週間までの休業を取得することができるというもの。休業を希望する日の2週間前が申出期限になっています。取得する日数が4週間になるまでは、2回まで分割して取得をすることもできます。
また、休業中の就業については、労使協定を締結している場合に限り可能とされていますので、基本的には就業しないことが前提となるでしょう。
なお、産後パパ育休は、育児休業給付(出生時育児休業給付金)の対象です。育児休業とは別に取得ができますので、制度をよく知り、上手に活用していきましょう。
共働きなら、パパママ育休プラスも利用できる
共働き世帯の場合、パパとママが育休を取得することで、育休を最長1歳2か月まで延長することができます。原則子どもが1歳までの休業可能期間が、子どもが1歳2か月に達するまで(2か月分はパパ(ママ)のプラス分)に延長されるという仕組みです。これを「パパママ育休プラス」といい、場合によっては、さらに1歳6か月まで延長することも可能です。
パパママ育休プラスは、育児休業給付金の対象。パパとママ両方が育児休業給付金を受け取れますが、次の要件を満たす必要があります。
・夫婦ともに育休を取得
・子供が1歳になる誕生日翌日以前に、育休を開始している
・子供が1歳になる誕生日以前に、配偶者が育休を取得している
・配偶者が取得している育休期間の初日以降に、育休を開始している
パパママ育休プラスを利用することで、夫婦で子育てをしながら一緒に過ごす時間を取ることができます。特にはじめての子育ては何かと不安になりがちなので、お互いにサポートしあえる環境があると心強いかもしれません。パパママ育休プラスは、パパとママの育休期間を別々にすることも可能ですので、いろいろなパターンをシミュレーションしておき、家族にとって最適な利用ができるようにするとよいでしょう。
気になる男性の育休取得率は
パパも取得ができる育児休暇や育児休業ですが、実際の取得率はどれくらいなのでしょうか?
厚生労働省が2022年7月に発表した「令和3年度雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業取得率が85.1%であるのに対し、男性は13.97%であることがわかりました。国は、2025年までに男性の育休取得率を30%にするという目標を掲げていますが、実際のところ伸び率はよくないといえます。
コロナ禍によりリモートワークが浸透したため、あえて育休をとらないということも考えられますが、育休取得の輪がさらに広がることは期待したいところです。
最後に
育児休暇や育児休業は、出産したママだけでなく、パートナーであるパパも取得が可能です。パパが育休を取得した場合も、給与代わりになる育児休業給付金を利用することができます。育児休暇や育児休業、産後パパ育休やパパママ育休プラスをどう活用するか夫婦でしっかりと話し合い、制度を有効活用しましょう。