【悩み2】ちゃんと叱るコツが知りたい
道路に飛び出して危ないときや、行儀が悪くて周囲に迷惑をかけたときなど、叱るべきときに言葉を選んで伝えています。でも、子どもが何度も同じことを繰り返します。どうすれば伝わる叱り方ができるのか、ちゃんと叱るコツが知りたいです。(39才・3才女児&11ヶ月男児の母)
正しい行動を伝えていくことが大事
まずは、正しい行動を伝えていくことが大事。その上で、何度も同じことを繰り返すのは、伝わってない、叱り方が悪いのではなく、お子さんがその行動を繰り返す理由があるんです。
応用行動分析学上、子どもの行動の理由は大きく分けて4つといわれています。その一つ“注意喚起機能”が、大体6〜7割の子どもに当てはまる「親に認められたい」という欲求です。
たとえばキッチンでお皿を洗っているときに、子どもが「お片付けしたよ」って、よいことをアピールします。すると多くのお父さん、お母さんが、お皿を洗う手を止めずに「片づけられて偉いじゃん!」なんて褒めると思うんです。一方で、キッチンの向こう側でガラスに積み木をガンッてぶつけたら、お皿を洗う手をすぐに止めて駆け寄って「どうしてそういうことしたの?」って叱ることが多いじゃないですか。
これが毎日繰り返されると、子どもの中ではよいことより悪いことをする方が、お父さん、お母さんが、すぐに自分にかまってくれると考えるようになる。
ポイントは、よいことこそ、今していることの手を止めて、すぐにお子さんに近寄ること。そして「素敵」「よかったね」って、褒めたり、認めたりする。すると子どもは、悪いことよりよいことをする方が、お父さん、お母さんが、ポジティブに自分を見てくれると思えます。この経験を積み重ねていき、よいことが悪いことを上回ると、お子さんの素敵な姿が増えていくはずですよ。
- まずは、正しい行動を伝えていくことが大事。
- 「親に認められたい」という気持ちが、お父さん、お母さんがすぐに注目してくれる言動(注意されるようなこと)につながる可能性も。
- よいことをしたら、すぐに近寄って、頭や体を撫でながら褒めてみましょう。
子どもを叱るときに、使ってはいけない言葉や態度はありますか?大きな声で叱ってみたり、「相手の気持ちを考えなさい」と諭してみたり、「約束しよう」とお約束してみたり、いろいろ工夫はしていますが、いまいち伝わっているのかわかりません。(36才・5才男児の母)
安易に「約束」は使わない
まず、安易に「約束」は使わない。「約束」は、お互いに決めて守ることですが、大人から子どもへ言う「約束」は「命令」の場合が多いんじゃないでしょうか。
たとえば、子どもが遊んでいる最中に、お父さん、お母さんが急に「はい、お片付けだよ。約束ね?」って言う。突然のことで子どもは困ってしまい、「約束」と言われたのに守れず、積み重なると「僕は約束を守れない」という思い込みに繋がってしまいます。さらに「いつも約束を守らないよね」なんて言われると、そもそも守る気も起きなくなります。
どうしても「約束」したいなら「この小さいブロックのタイヤを片付けてみようか。約束ね?」では、どうですか? たった一つなら、きっと片づけられる。片付けられたら「約束、守れたね」と伝えて、子どもの「僕は約束が守れた」を少しずつ積み重ねていきましょう。
「鬼」「おばけ」は言わない
もう一つ、言っちゃいけないのが「鬼」「おばけ」。自分を守ってくれるかけがえのない存在であるママパパの口から「鬼に電話するよ」とか「おばけを呼ぶよ」とかって言われたら、せっかくの信頼関係にヒビが入りかねません。
同じように「置いていく」も極力避けたほうがいいですね。「鬼」「おばけ」「置いていく」、子どもにとっては全部怖いから、最初は即効性があります。でも、そのうち子どもも「あれ?連れてこないな」とか「僕のことを置いていかない」と気づくでしょう。そうすると効かなくなり、親もエスカレートした言葉で脅すしかなく、対応もどんどん過激になってこういった子どもを脅すような言葉は、短期的には即効性があるのでつい頼りたくなると思うのですが、少しずつで構いませんから使わないように他の方法を試してみるようにしてみてください。
- 大人から子どもへの「約束ね」は、命令になっていることが多い。
- 「鬼に電話する」「おばけを呼ぶ」は、不信感に繋がる可能性も。
- 「置いていく」はそのうち効かなくなり、親側の言動・行動がエスカレートする原因に。