【悩み3】子どものイライラはどうしてあげるといい?
4才の息子が、出来ないことや思い通りにならないことがあると、癇癪を起こします。先日も、自転車の練習中に何度も転び『できない!』と大泣き。こちらも、どう声をかけてやればいいのかわからず、見守ることしかできないのが歯痒いです。(37才・4才男児の母)
〝ルールがあるお遊び〟をしておく
癇癪の一つに、自分がやりたいことと現実に乖離がある場合に起こるものがあります。これは、普段からお遊びを通じて、気持ちの切り替えを練習してみましょう。
たとえば、お母さんが「頭」って言ったら足を、「足」って言ったら頭を触るゲーム。本当は「頭」と言われたら頭が触りたいけど、ルールでは足を触らないといけません。「だるまさんがころんだ」もおすすめ。自分は進みたい。でも、相手がこっちを見ている間は進めない。そういう、自分がしたいことがあるけれどこうしなければならないという〝ルールがあるお遊び〟をしておくと、いざ乖離が生まれたときにも、気持ちを切り替えやすくなると思います。
もう一つの癇癪が、見通しがもてないことへのイライラ。「昨日はガチャガチャをやらせてもらえたのに、今日はだめだった」「急にお片付けしろと言われた」などというランダム性は、癇癪の引き金になります。
おすすめは、紙のカレンダー。たとえば、金曜にガチャガチャができるなら、子どもに赤い丸をつけてもらいます。そして、当日まで、毎日カレンダーをバッテンで消していきましょう。木曜の夜には「今日寝たら、明日は○○君が丸をつけた日。ガチャガチャができるよ」。当日の朝になったらまた「今日は赤い丸がついてるね。だからガチャガチャができるね」と伝えていけば、子どもも見通しがもてます。バツをつける日は「今日は赤い丸がついていないからできないね」と伝えれば、子どもも「今日はできない」と納得でき、癇癪が起きにくくなります。
時計の針に目印をつけるのもおすすめです。急に「今からお片付けだよ」じゃなく、たとえば6のところにゾウのシールを貼っておき、「長い針がゾウさんがいる6までいったらお片付け」と伝えておけば、お子さんも見通しがもてます。
外出中に癇癪が起きてしまった。特に手が付けられない場合は、無理やりでいいからお子さんを抱きかかえて、人目のつかないところへ移動しましょう。特に出先の場合は、いくらお父さん、お母さんが優しくても、周りに物珍しそうに見ている人がいたら、お子さんも冷静になれません。子どもが冷静さを保てると、お父さん、お母さんも落ち着いて対処できますよ。
- 〝ルールがあるお遊び〟で、普段から気持ちの切り替えを練習してみましょう。
- やることへの見通しをもつと、子どもも納得して、癇癪が起こりにくくなります。
- 出先での手が付けられない癇癪は、すぐに抱き抱えて人目のつかないところへ移動しましょう。
無条件の愛と、自分自身の幸せを大事に
寝顔を見るだけで「かわいい」と感じていたはずなのに、成長とともに愛情表現が条件付きになるご家庭は少なくありません。これでは子どもが自己肯定感を感じにくく、幸福度も上がりにくくなります。
今日から出来る一番簡単な方法は「大好きな○○ちゃん、おはよう」「大好きな○○くん、おやすみ」と言う。たったこれだけです。起きただけ、寝るだけなのに「大好き」と言われたら「自分が特別な存在じゃなくても、お父さん、お母さんは無条件で愛してくれる」と、お子さんは幸せを感じ、親への愛情も深くなるでしょう。
もし、何か出来たタイミングだけ褒めているのなら「出来るあなたも、出来なかったあなたも、無条件に愛している」と、どんどん言葉にしてみてください。
あとは、どうぞご自身の幸せも大事にしてくださいね。シャンパンタワーをイメージしてほしいのですが、一番上から注ぐと、下のグラスが満たされていきますよね。この一番上がご自身のグラスで、二番目がパートナー、お子さんだとします。お父さん、お母さんは優しいから、一番上のグラスには注がず二段めから注ぎ、結局、自分のグラスは空っぽ……。最初は「子どものため」と思えますが、ある日、自分が満たされていないと気がつくと「子どものせいで」に変わり、自己犠牲のような気持ちが生まれます。
だから、一番上にあるご自身のグラスから〝幸せのボトル〟を注ぐこと。自分から溢れた幸せが、子どもやパートナーにもいき渡る。この感覚があれば、多分みんな幸せなんですよね〝幸せのボトル〟は、一人でおいしいチョコレートを食べるとか、なんでもいい。ご家庭にあった方法で注いでみてください。
2022年の子育てトレンド『第15回 ペアレンティングアワード』を受賞!
7つの育児雑誌が集結し、今年、最も話題となった「ヒト」「モノ・サービス」「コト」を表彰する『ペアレンティングアワード』。第15回となる2022年のトレンドとして、“保育業界と子育て中のパパ・ママの価値観をアップデートした”として、てぃ先生が表彰されました。
保育士
てぃ先生
関東の保育園に勤める男性保育士。名前の読み方は「T」先生。 ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterは、フォロワー数が60万人超え。子育てや保育に関する役立つ情報を発信したYouTubeチャンネルも登録者数が70万人以上。『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)、『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』(ダイヤモンド社)ほか、著書多数。ラジオ、TV、講演活動、保育内容へのアドバイスを行う顧問保育士を務めるなど、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。▶︎HP
撮影/石野千尋 取材・文/ニイミユカ