「私用」とは?基礎知識を解説
私用は、有給休暇の取得や早退の申請、社内連絡など、スケジュールに関連した連絡の際によく使われる言葉です。「自分個人としての用事」などを意味し、家庭の用事や旅行、通院といったプライベートでの用事がある場合に使います。
はじめに、私用とはどのような言葉かや詳しい意味や私用に含まれる内容、「私的利用」としての意味と対象となるもの、使い方・例文を確認していきましょう。また、私用を使う場合の注意点も解説します。
意味は「自分個人の用事」など
【し‐よう私用】
(名)スル
1.私事に用いること。「社用封筒を―する」「―電話」⇔公用。
2.自分個人の用事。私事。「―で早退する」⇔公用。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
私用は、「自分個人の用事」または「私事に用いること」を指します。読み方は「しよう」です。
自分個人の用事という意味での私用は、会社や所属組織とは関係のない、プライベートでの用事があることを伝える際に使う言葉です。たとえば、プライベートでの用事を理由に休みを申請するときに、「私用のため」などと伝えます。
私事に用いることを指す場合の意味は、また後述します。
■「個人の用事」としての私用に含まれる内容
それでは、どのようなときに個人の用事としての私用と表現するのか、その内容をチェックしていきましょう。
〈個人の用事としての私用に含まれる内容〉
・冠婚葬祭
・家庭の用事
・通院
・旅行
・各種窓口での手続き
たとえば、お葬式や結婚式に出席するような冠婚葬祭の用事がある場合には、私用と表現できます。また、家族の看病や育児などの家庭の用事があるときや、通院が必要なときも同様です。
仕事や学校を休んで旅行に行く場合や平日に各種窓口での手続きをするための時間が必要なときも、私用に含まれます。
ただし、会社や所属組織とは関係のない用事であっても、裁判員制度で裁判に参加するような公的な用事がある場合は、私用ではなく「公用」にあたります。
■「私的利用」としての意味と対象となるもの
私用とは、公的なものを私事に用いることなどを指す場合もある言葉です。たとえば、「会社貸与の携帯電話を私用電話に使わないでください」などと使います。
「私的利用」の対象となるものは、以下のようなものです。
・電話
・メール
・ネットワーク
・端末
・メールアドレス
・社用車
たとえば、勤務時間中に電話やメールをすることは、会社の職務に専念しなければならない「職務専念義務」に反しています。
■私用の使い方・例文
私用という言葉の使い方を、簡単な例文でチェックしていきましょう。
〈個人の用事としての私用〉
・私用のため、13〜15日は有給休暇をいただきます。
・恐れ入りますが、私用のため、15日の会議には出席できません。
〈私的利用としての私用〉
・セキュリティ対策やトラブル防止のため、会社のメールアドレスの私用を禁じます。
■私用を使う場合の注意点
私用を使う場合には、以下のポイントに注意しましょう。
・社外の相手に対しては使わない
・当日の遅刻や緊急時の連絡のときは、明確に理由を伝えたほうが良い
・大切な会議などを欠席する場合には、ある程度理由を伝えたほうが受け入れられやすい
・私用による有給休暇の取得申請に対して、原則として理由を尋ねない
社外の相手に対しては、私用ではなく「所用のため」などと伝えましょう。もしくは、私用だと伝えずに休みであることのみを伝えます。
当日の遅刻や緊急時の連絡、大切な会議を欠席する場合など、内容によっては「私用のため」ではなく、相手に理由を伝えたほうが良い場合もあります。
また、会社で「私用のため、〇〇日に有給休暇を取得いたします」と伝えられた場合にも注意しましょう。有給休暇の取得は従業員に付与されている権利です。申請時に理由を尋ねることで、パワーハラスメントにあたる恐れがあります。
私用と似た意味を持つ2つの言葉とその違い
私用と似た意味を持つ言葉は、以下のとおりです。
また、「家庭の事情(かていのじじょう)」や「野暮用(やぼよう)」などと伝える場合もあります。家庭の事情は、私用よりも少し具体的に伝えた表現です。野暮用は、「つまらない、ちょっとした用事」を指します。
それでは、私用と似た意味を持つ言葉とその違いを解説します。
1.私事
「私事」とは、「個人的な事柄」のことです。一般的な読み方は「わたくしごと」ですが、「しじ」と読む場合もあります。
私用とは異なる点は、「用事」という意味がないことです。たとえば、「私事で恐縮ですが、通院のために15日のミーティングは欠席いたします」などと前置きとして使います。また、私的な体験談を話すときにも、「私事ですが」と伝えます。
2.所用
「所用(しょよう)」とは、「用事」や「用件」そのものを表す言葉です。「用事」という言葉を改まった表現で伝えたいときに使います。
個人的な用事のみを表す私用とは異なり、所用はその用事の公私を問わず、どのような用事であっても使える表現です。先述のとおり、取引先などの社外の方に伝える場合には、私用ではなく「所用で」と表現したほうが良いでしょう。
私用という言葉の意味を理解しよう
私用は、有給休暇の取得申請など、スケジュールに関連した連絡の際によく使われる言葉です。「個人の用事」と「私的利用」という意味の2つがあります。個人の用事としての私用に含まれる内容は、冠婚葬祭・家庭の用事・通院などです。
私用を使う場合には、社外の相手に対しては使わないことや、当日の遅刻や緊急時の連絡のときは明確に理由を伝えたほうが良いことなど注意しましょう。
似た意味で使われる言葉は私事や所用など、複数あります。ただし、それぞれの言葉で異なる意味を持つことに注意が必要です。違いを理解し、シーンにあわせて使い分けるようにしましょう。
意味や使い方・例文、関連語などを確認し、言葉を正しく理解しましょう。
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