承るの意味
ビジネスシーンや日常でよく見聞きする言葉のひとつでしょう。しかし、「うけたまわりました」と少し言いにくいこともあり、別の言葉で言い換えてしまっていませんか?
承るとは「受ける」「引き受ける」また、「聞く」の謙譲語で、目上の人に使う言葉です。もともとは「受け」に「賜る」がついたもので、目上の人から「受け」「いただく」という意味で承りますと表現することが多いです。
承るの使い方
「うけたまわる」と読みます。承るはどのようなシーンで使うのか、例文をあげながら見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い方
1:ご依頼の件、承りました。プロジェクトの詳細については、明日までに提案書をお送りします。
2:先ほどの会議でのご意見、承りました。それを踏まえて、計画を見直してまいります。
3:ご指示の件、承りました。期限までに適切な処理を行います。
このように、相手に対する敬意と共に、話された内容を理解し、それに応じる準備ができていることを伝えるのに有効です。ビジネスコミュニケーションにおいて、「承る」を使うことで、相手に対する敬意と信頼を築くことができます。
日常生活での使い方
1:その計画、承りました。素晴らしいアイデアだと思います。一緒に進めましょう。
2:お義母さん、明日の買い物の件、承りました。リストにあるものを全て買ってきますね。
3:お庭の手入れについてのご相談、承りました。週末にお手伝いしますよ。
このように、日常会話においても敬語を用いることで、相手に対する尊敬の気持ちを表現し、良好な人間関係を築くのに役立ちます。
承るの類義語
承ると同じような意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのか、一緒に見ていきましょう。
かしこまる
漢字で「畏まる」と書くように、もともとは身分の高い人の前でおそれつつしんだ態度をとる、という意味です。「かしこまりました」で、依頼や命令をつつしんで受ける意思を表す、最も丁重な言い方です。以下に例文をあげます。
1:ご予約の時間変更、かしこまりました。新しい時間で手配させていただきます。
2:明日のプレゼン資料の修正、かしこまりました。期限までに適切に対応いたします。
3:プロジェクトへの参加依頼、かしこまりました。どのようにお手伝いすればよろしいでしょうか?
このように「かしこまりました」を用いることで、相手の要望や指示に対する理解と、それに応じる準備ができていることを、丁寧に伝えることができます。特に、相手に敬意を示す状況や正式な場面での使用が適しています。
承知(しょうち)
「承知しました」という表現は、相手の言うことを理解し、それに同意または受け入れることを表します。ビジネスシーンや日常会話で、相手の要望、意見、情報などを受け入れ、それに応じる意思を示す際によく使われます。以下に例文をあげます。
1:報告書の提出期限を明日に変更すること、承知しました。期限内に提出いたします。
2:今後のプロジェクト方針について、承知しました。それに沿って作業を進めます。
3:週末の予定が変更になったこと、承知しました。新しいプランに合わせて準備します。
このように「承知しました」を使って、相手の要望や指示、提案に対する理解と受け入れを示しています。特に、正式、丁寧な応答を必要とする場面で効果的に使われる表現です。
了解(りょうかい)
「了解しました」という表現は、相手の言うことや要求を理解し、受け入れたことを示しています。主に、ビジネスや日常生活で指示や情報の受領を確認する際に用いられます。相手の意向を受け止め、それに応じる意思があることを簡潔に伝える言葉です。以下に例文をあげます。
1:次のプロジェクトに関するスケジュール、了解しました。
2:今週末の集まりの場所を変更したいって? 了解、それで大丈夫だよ。
3:土曜日映画行かない? 了解。楽しみにしているよ。
このように了解を使って、相手の提案や要望、指示を受け入れ、その内容を理解したことを簡潔かつ効果的に伝えています。ただし、敬語ではないので、目上の人やクライアントに使うと失礼に当たります。同僚や親しい友人に使う言葉ですので注意が必要です。
承るの対義語
承るには、辞書的にそのものズバリの対義語はありませんが、反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。
拒否(きょひ)
拒否とは、相手の提案、要求、意見などを受け入れないこと、または受け入れることを断る行為を指します。以下に例文をあげます。
1:申し訳ありませんが、そのアプローチはリスクが高いため、拒否させていただきます。
2:今夜は早く休む予定なので、残念ですがお誘いは拒否します。
3:セキュリティ上の理由から、そのような要求は拒否します。
このように拒否を使って、相手の提案や要求に対して明確に断る意志を示しています。ビジネスや個人的な状況において、自身の立場や意見をはっきりと伝える際に役立つ表現です。
拒絶(きょぜつ)
拒絶は、拒否と同様、提案や要求、意見などを受け入れないこと、あるいは受け入れることを明確に断る行為を意味します。この言葉は、ビジネスシーンや日常生活で、特定の提案や依頼に対して同意しない場合に使用されることが多いです。以下に例文をあげます。
1:申し訳ありませんが、その提案は現実的でないため、拒絶させていただきます。
2:ごめん、その日はぬけられない予定があるので、お手伝いを拒絶しなければならない。
3:該当製品の保証期間は既に過ぎておりますので、残念ながら返金要求を拒絶します。
このように相手の提案や要求に対して同意しない、またはそれを断る状況を示しています。この表現は、自分の立場や方針を守るため、または不適切な要求や提案に対して用いられることがあります。
まとめ
承るは、相手の話を理解し、それに応じることを表す言葉で、敬意を示しつつ、相手の意見や要求を受け入れる意志を伝える際に用います。ビジネスシーンでも頻繁に耳にする言葉ではないでしょうか?
つい「了解です」と言ってしまいがちですが、ビジネスシーンでは、同僚や部下とのやりとりに限って使うなど、相手との立場を考えて、「かしこまりました」「承知いたしました」の言い換え表現を使うようにしたいですね。
画像/(c)Adobe Stock
執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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