「美味い」とは?読み方などの基礎知識を解説
「美味い」の読み方は「うまい」です。また、「うまい」という表現にはたくさんの表記があり、意味が似ているものがあるものの、それぞれで異なる部分もあります。
はじめに、美味いとはどのような言葉かを簡単に解説します。詳しい意味や「うまい」のほかの表記、美味しいと異なるポイント、反対の意味の言葉、使い方・例文を確認していきましょう。
■意味は「食物などの味が良いこと」
【うま・い旨い/甘い】
(形)うま・し(ク)
1.(「美味い」とも書く)食物などの味がよい。おいしい。「―・い酒」「山の空気が―・い」⇔まずい。
2.物事の運びが自分の望むとおりである。都合がよい。好ましい。「―・い話には気をつけろ」「―・く行けばよいが」⇔まずい。
3.(「上手い」「巧い」とも書く)技術的にすぐれている。また、事の進め方などが巧みである。じょうずだ。巧妙だ。手際がよい。「―・い絵」「―・く言い逃れる」「人使いが―・い」⇔まずい。
4.人間関係、特に男女の仲がよい。「彼女とは―・くやっている」
5.《「あまい」を「味がよい」ことの代表と考えたところから》動作などに締まりがないさま。間抜けだ。おろかだ。旨(うま)し
「どうもこんな―・い恰好(かっこう)をして」〈紅葉・多情多恨〉
(派生)うまがる動ラ五うまげ形動うまさ名うまみ名
(用法)うまい・おいしい――「おいしい」は女房詞系で、もっぱら味がよいの意の女性語として成長した語。「うまい」より丁寧・上品な言い方として、現在も日常の話し言葉で多く使われる。◇「うまい」には、「歌がうまい」「やり方がうまい」のように、上手だ、手際がよいの意があるが、「おいしい」はこの意では用いられない。◇また、「うまい」には「それはうまい考えだ」「うまく話がついた」など、好都合だ、ぐあいがよい、の意がある。「おいしい」も俗に「おいしい話」のように使われ、「うまい」を「うまい話」と使う点で相通じるが、「おいしい」のこの用法は、利益になるという意が強い。
うまい汁を吸う
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「美味い」とは、「食物などの味が良いこと」を意味する言葉です。「美」自体に「うまい」という意味があり、「味」に「あじ」「あじわい」という意味があります。あわせて、飲食物の味が良いと表せる表現です。
また、「自分にとって都合がいいこと」を指す場合もあります。たとえば、自分にとって都合がいい話のことを「美味い話だ」と表現可能です。ただし、「自分にとって都合がいいこと」を美味いと表すのは俗語であり、正しい使い方とはいえないため、ビジネスシーンなどでは避けたほうが無難でしょう。
■「うまい」のほかの表記
美味いには、ほかの表記の仕方もある言葉です。美味いと似た意味を漢字表記するばあいには、「旨い」と表記することもあります。旨いと表記した場合には、「食物などの味が良いこと」や「自分にとって都合がいいこと」のほかに、「進み具合がよいさま」という意味も表現可能です。
また、「甘い」「上手い」「巧い」などとも漢字表記されます。「上手い」や「巧い」と表記する場合には、「技術的にすぐれていること」「事の進め方などが巧みであること」などの意味です。
ただし、「旨い」「美味い」「美味しい」などは、新聞や公的文章で使われない「表外読み」です。表外読みとは、常用漢字表に掲載のない読み方で、表外音訓ともいいます。
そのため、新聞や公的文章では、ひらがなで「うまい」「おいしい」と表記することが一般的です。
■「美味しい」とは?
美味いではなく、「美味しい」と表現する場合があります。美味しいとは、「味が良いこと」を指す表現の女性語として成長した女房言葉です。女房言葉とは、宮中に仕える女官が用いた隠語的な言葉のことで、現在では一般的に使われるようになりました。
「好ましい」「優れる」を意味する「いし(美し)」という古語の形容詞に、接頭語の「お」を付けて丁寧にしてできた言葉が「美味しい」です。美味しいのほうが、美味いよりもやや上品で丁寧に表現できます。
美味いの反対は「まずい」
うまいの反対の意味を持つ表現は「まずい」です。「食物などの味が悪い・うまくないこと」「下手・つたないこと」「ぐあいが悪い・自分にとって不都合であること」など、うまいのさまざまな意味に対して逆になる意味を持っています。
まずいを漢字で書く場合の表記は「不味い」です。また、まずいには「醜い」「みっともない」という意味もある言葉です。
■美味いの使い方を例文でチェック
それでは、美味い・うまい・美味しいなどの使い方を例文でチェックしておきましょう。
・美味いご飯を食べられて幸せだ。
・山の空気はやっぱり美味しい。
・とてもおいしい料理屋を見つけられた。
・今日の仕事は、旨い具合に話が進んだ。
・うまい話には気をつけろというけれど、努力した結果、想定以上にうまくいくことはたまにあるようだ。
「うまい」と読む漢字は複数ありますが、ひらがなで「うまい」「おいしい」と表現することが多いです。
美味い料理とはどんな料理?
人がおいしいと感じる料理には理由があります。しかし、どのような料理がおいしいといえるのかは、科学的な根拠がまだわかっていないことが多いです。また、「うま味」と美味いという言葉にも違いがあります。
それでは、「美味い料理」とはどのような料理なのか、美味いかどうかのポイントやうま味と美味いの違いを確認していきましょう。
■美味いかどうかのポイントとは
美味いかどうかのポイントは、以下のようなものがあります。
・高度にブレンドされた豊かな香りが口に広がるか
・口に広がるならば、その程度がどれほどか
・味にインパクトが感じられるか
・突出した不快な特性がないか
・良い後味があるか
とくに、単純ではない複雑で深みのある味わいがあるかどうかがポイントのようです。また、同じ料理でも温度によって感じ方が変わります。
■「うま味」と美味いの違いは?
「旨味」「旨み」「美味い」などは、飲食をした際の感じ方の表現であり、「美味いと感じられるかどうか」を表す言葉です。一方で「うま味」とは、「おいしさ」を構成する味の要素のひとつです。
味の要素には、ほかにも「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」があります。うま味は、食べ物をおいしくする重要な役割がある要素です。しかし、うま味が発見されたのは、そのほかの味の要素よりも遅く、近年になってからでした。
なお、うま味に由来するのは、以下のような成分です。
・アミノ酸……グルタミン酸塩
・核酸……イノシン酸塩、グアニル酸塩
美味いという言葉の意味を理解しよう
「美味い」とは、「食物などの味が良いこと」を意味する言葉です。また、「自分にとって都合がいいこと」を指す場合もあります。
「うまい」と読む漢字表記には、ほかにも「旨い」「甘い」「上手い」「巧い」などがあります。「美味しい」とも表現可能です。ただし、これらの表現には新聞や公的文章で使われない表外読みが多く、新聞などでは一般的にひらがなで表記します。
美味い料理かどうかのポイントは、「高度にブレンドされた豊かな香りが口に広がるか」「味にインパクトが感じられるか」などです。
また、「うま味」と表記する場合には、美味いかどうかではなくて味の基本要素を指します。
このように、意味や関連語などをあわせて確認し、言葉を正しく理解しましょう。
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