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LIFESTYLE イベントレポート

2024.02.03

【橋ものがたり「約束」】撮影に密着! 映像作品初出演の望海風斗さんの新境地に迫る(インタビュー)

時代劇専門チャンネルがお届けする注目オリジナル時代劇 橋ものがたり「約束」。今回は、映像作品初出演の望海風斗さんをクローズアップ! ほかでは見られない撮影の裏側や監督のインタビューも盛り込み、読み応えたっぷりにお届けします。

初映像作品であり退団後初の時代劇。今見るべき、俳優・望海風斗の新たな姿

24時間365日時代劇だけを放送している「時代劇専門チャンネル」では、2024年に新作オリジナル時代劇 橋ものがたり「約束」を放送します。藤沢周平の、橋を舞台にした名作短篇集『橋ものがたり』の中でもとくに人気の作品「約束」が初の映像化。

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今作は、元宝塚歌劇団雪組トップスターであり現在はミュージカルで活躍している望海風斗さんの映像初出演作。ということで、撮影風景から望海さんの単独インタビュー、今回メガホンを取った杉田成道監督のコメントなど、橋ものがたり「約束」がより面白く観られるようになるあれこれを盛りだくさんで紹介します。

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京都で行われた撮影に1日密着! あのシーンの裏側をのぞいてきました

橋ものがたり「約束」の撮影は9月あたりから始まりました。おきぬという、主人公・幸助(片岡千之助さん)と秘密を持ってしまうのが望海さんの役どころ。望海さんが撮影に入ったのはちょうど『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』東京公演が終わったタイミングで、まさにそのクランクインの日にWEB Domani取材陣は現場に密着させていただきました。

まず向かったのは京都にある花の寺・勝持寺。おきぬがひっそりと暮らす家の設定で、とても美しいお寺です。

…ですが前日の雨予報が当たり、私たちが勝持寺に着いたときには雨が降り始めてしまいました。乗ってきたタクシーに再び乗り込み、京都市内の松竹撮影所へ。ここにはおきぬの家の中のセットが組まれており、急遽幸助とおきぬの室内の場面を撮ることになりました。

出演者のみなさんが入る前に、セットを見せてもらいました。望海さんが「細かくてリアルなセットや小道具があって、そこにはもう現実的な世界が広がっているんです」と感激していたこだわりのおきぬの家はこちらです。


▲おきぬの家の外側。カメラに入らないところに照明があって明るさを調整します。


▲土間から見たおきぬの家の中。奥に布団が敷いてありそこでは…。


▲水回りの様子もリアル。江戸の市井の人々の暮らしぶりをそのまま再現しているよう。

撮影に向けてスタッフの方が準備していると、支度を終えた望海さんがスタジオへ。スケジュールが変更になったため、初の現場入りですぐにセンシティブな場面を撮ることに。


▲スタジオに入る際の望海さんは、心なしか緊張の面持ち。

「望海風斗さん、クランイクインです!」の声がかかり、多くのスタッフに囲まれながらご挨拶。


▲スタッフのみなさんに拍手で迎えられる望海さん。

センシティブな場面=幸助とおきぬが一線を越える緊張感あふれる場面ですが単なる「濡れ場」ではなく、どうしようもなく寂しくなったおきぬの気持ちや、想い続ける幼なじみのお蝶に心を寄せながらも抗いきれない幸助の心情を丁寧に見せなければならない、大切な場面。幸助がおきぬの家を訪ねてくる、最初のところだけ見学させていただきました。

おきぬに荷物を届けに来た幸助を、「ちょっと来てなぁ」と呼び止めるおきぬ。セリフにのせるニュアンスや表情を監督自ら指導します。


▲セットの中まで入り、直接指導する杉田監督。

幸助とおきぬがひと言ずつ言葉を交わす短いシーンですが、杉田監督はモニターをチェックしながら照明の当たり具合を調整したりちょっとしたセット変えをしたりして、テストをしながら撮影を重ねました。


▲テスト→モニターチェックを繰り返し、納得のいくところで本番へ。


▲撮影スタートを待つ望海さんの表情は、寂しくて切なげでおきぬそのもの。

幸助の子供時代を演じた小谷興会さんも完成披露上映会でお話されていましたが、「もう1回行こう!」と納得のいくまで撮影する杉田監督。照明やセットの具合を変えているときは役者の待ち時間になりますが、セットの裏にある小さなスペースで控えているときも、どことなく張り詰めた雰囲気をまとっていた望海さんでした。


▲髪を直してもらうときやセットチェンジの合間にも、真剣に台本に目を通していました。

作品のこと、自分のこと…望海さんの素顔に迫るソロインタビュー

千之助さんと望海さんの取材会の後に行われた望海さんの単独インタビューでは、撮影に関することや最近の望海さんについてなど、多岐にわたりお話をうかがいました。

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撮影に入られる初日にスケジュールが変わり、すぐ幸助との重要な場面を撮ることになりましたが、どんな心境でしたか?

望海さん(以下敬称略):「この場面から撮るのか」という緊張と、どうしたらいいんだろうという心配もありました。でも撮影に入ったら、監督をはじめ周りのスタッフの方や相手役の千之助くんの助けもあり、余計なことを考えずに集中できたかなと思います。

少しずつ細切れで撮影されていましたよね。セットチェンジなどもあり待機時間が長かったと思いますが、おきぬの気持ちは切らさないようにしていたんですか?

望海:最初は「ずっとおきぬの気持ちになっていないと」と思っていたのですがだんだん疲れてきてしまい、これは持たないなと。慣れるにつれ、本番になったときにきちんと集中できるように、気持ちを緩められる状況ではリラックスするようにしていました。そういう短時間での気持ちの切り替えは、舞台と違うなと思います。映像に出ていらっしゃる方がよく言われる「瞬発力」とは、こういうことなんだと感じました。

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宝塚歌劇では男役として日本物の作品に多く出演されていました。着物は着慣れていらっしゃると思いますが、女役としての着物の衣装はいかがでしたか?

望海:大変でした。着る枚数が多くて重さがあって。着付けてくださる方がいるのでお任せしつつ、立ち姿など「着物を着ている」という意識を持たなければと思い、当時の娘役さんたちがキレイに着物を着ている姿をちゃんと見ておけばよかったなと反省しました。

男役は当然男性の着物を着て帯を下の位置で結ぶのですが、だんだん上がってきちゃうんですよね。千之助くんの着こなしを見ていて、「そういう苦労はないんだな」と思ったりもしました(笑)

カツラも含め、新鮮なお姿でした。

望海:どうなるかなと思ったのですが、やっぱり職人さんの技ってすごいですよね。カツラをキレイにつけてくださり、着物も役に合わせて着付けてくださって。おきぬを演じるうえで大きな力をいただきました。

今回の作品の原作は藤沢周平『橋ものがたり』の中の短篇のひとつです。おきぬの橋のシーンはありませんでしたが、望海さんご本人にとって思い出深い橋といえば…?

望海:もちろん宝塚大橋です。音楽学校時代も劇団に入ってからもずっとあの橋を渡って通っていましたから。橋の真ん中にある踊り場で、川の流れを見たり大劇場や音楽学校を眺めたりしたこともあります。今、改修しているんですよね。渡る人のことを考えての工事ですが、自分たちがずっと渡っていた橋の姿が変わってしまうのは少し寂しいですね。

また作品名にちなんだ質問です。最近なにか「約束」をされましたか?

望海:「また会おうね」「どこか行こうね」という約束はしているんですけれどちゃんと果たせる約束に限度があって、だからあまり約束をしないほうがいいなと思っています(笑)。明日とかの約束じゃないと難しくて。プライベートでも仲良くさせていただいている朝夏まなとさん(元宙組トップスター)も先々の約束は無理!って方なので、朝夏さんとの約束は前日か当日の朝ですね。「今日暇だったらご飯食べない?」みたいな気軽な感じで。

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最近大笑いをしたことはありますか?

望海:昨年行われた宝塚歌劇団雪組pre100th Anniversary『Greatest Dream』のときはずっと大笑いしていましたね。楽屋も本当に楽しかったですし、舞台での先輩方のトークもものすごく面白くて笑っていた記憶しかありません(笑)。宝塚歌劇団時代のみんなといるのときって、なんでもないことで大笑いできるんですよね。ずっと同じ目標に向かって同じ道を歩いてきた仲間だから、普段ならささいに過ぎ去ることでもその仲間となら笑えるのかも。

『Greatest Dream』の東京公演初日では相手役だった真彩希帆さんと一緒に『ひかりふる路』を歌われ、トークでは笑いが起きていましたね。

望海:生田(大和)先生とのご結婚トークですよね。あれ、楽屋で何回か打ち合わせしたんです。初日でお客様の空気感がわからないし、このMCで会場が和んでくれるかなと心配で。楽屋にいらした緒月遠麻さん(元雪組&宙組男役)に見ていただき、そしたら「これ絶対ドカンだよ」ということで舞台で披露したら笑いが起こって、よかったーとなりました。MCが終わって楽屋に戻ったら緒月さんが「ほらね!」って。実はMCひとつにしても綿密に仕込んでいるんです(笑)。

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絶え間なくお仕事をされていますが、オフの日はなにをされていますか?

望海:観劇に行くこともありますし、あとは好きな音楽をかけながら部屋の片付けをしています。部屋が整っていないと帰ってくるのが辛くなっちゃうので、お休みの日になるべくキレイにするようにしています。天気がよかったら外に出ておいしいものを食べに行くなど、そのときによってやることは違いますね。自分の気持ちを優先して、自分の機嫌をとっています。

特技欄に書くほどでもないプチ特技はありますか?

望海:覚えるのが早くて、忘れるのも早いこと。本気を出したらセリフもすっごく早く覚えられるのですが、怖いくらいにパッと忘れちゃう。毎日同じ舞台をやっていても、ある日突然なんの前触れもなくセリフを忘れることがあるんです。

だから内容をちゃんと納得させて覚えないといけないなと思っています。集中して覚えたいときは、歌詞もセリフも何回も何回も書いて喋りながら入れていくんです。横書きの方が覚えられるので、縦書きの台本を横に書き直しています。

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ファンの方も知らないような望海さんの意外な一面ってありますか?

望海:なんだろう。ファンの方には結構筒抜けだと思いますよ。あ、ファンの方は私が動物が苦手なのはご存知だと思いますが、今回の作品の中に猫が出てくるんですよ。みなさん心配されているかもしれないのでお伝えしておくと、大丈夫でした!

おきぬが飼っている白猫ですね?

望海:そうです。抱いて歩くシーンもあり、「大丈夫かな?」と心配しましたが大丈夫でした(笑)。犬や猫などの動物って賢いじゃないですか。だから目を合わせるとすべて見透かされている気分になって、「ここで尻込みしたら舐められるな」っていう気持ちになるんです。だからちょっと怖いというか目を見られないんです。まあ君(白猫の名前)とはとても和やかに過ごすことができました(笑)

純愛ストーリーにアクセントを添える、望海さん演じるおきぬ。望海さんの新境地ともいえる映像作品です。見逃したらもったいない! 時代劇専門チャンネルでの2月3日の放送を楽しみにお待ちください。

撮影/熊谷直子(取材分)構成・文/淡路裕子

橋ものがたり『約束』

【橋ものがたり「約束」あらすじ】
錺(かざり)職人のもとに奉公していた幸助は、ようやく8年の年季が明けることになった。幸助には想いを寄せる幼なじみのお蝶という娘がいた。5年前、幸助とお蝶は年季が明けるその日、刻は暮六ツに、萬年橋で会う約束をしていた。互いに想いながらもこの5年の間、幸助は人には言えない秘密を抱えていた。また、お蝶の身にも幸助には話せない辛い思いがあった。橋が見渡せる川辺からそっとお蝶を探す幸助。懐にはお蝶のために作った簪(かんざし)が入っている。果たして二人は萬年橋で再会することができるのか……。

【作品概要】
原作:藤沢周平「約束」(新潮文庫/実業之日本社『橋ものがたり』所収)
出演:片岡千之助、北 香那、望海風斗
山口紗弥加、春海四方、藤田朋子、浅野和之、余 貴美子
武田鉄矢、風吹ジュン、橋爪 功
監督・脚本:杉田成道
音楽:加古隆

藤沢周平Ⓡ

【橋ものがたり「約束」放送日時】
「時代劇専門チャンネル」にて2月3日(土)よる7時TV初放送
※2月25日(日)ひる12時リピート放送

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