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2018.09.04

優位性が満足のポイント?他人との比較ではない絶対的な価値判断を【飯田泰之 半径3メートルからの経済学】

アラフォー世代に刺さる経済、社会、働き方などについて、経済学者・飯田泰之さんがわかりやすく語ります!

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他人との比較で感じる幸せ。交友関係は、広く浅く多彩に

今回はみなさんへのちょっとした質問から。次のA・Bのどちらが自分にとって望ましい状態だと感じますか? (A)友人はみな服代に月8万円かけられるが、自分は5万円しかかけられない (B)友人はみな服代に月1万円しかかけられないが、自分は3万円かけられる
(B)の方がよいと感じた人も多いのでは? 生命や肉体に関する事柄はその絶対的な量・質に興味関心があるのに対し、そういった基礎的な欲求から遠いものは相対的な量・質で満足度が決まりがちです。このような商品・サービスを経済学では地位財と呼びます。商品ではありませんが、職業や家柄も地位財のような性質をもっています。 経済が豊かになると買い物の多くが、生きていくために必要不可欠なものではなくなっていきます。その結果、私たちの買い物の多くが地位財の性質をもつようになるのです。富裕層ほどこの傾向は顕著でしょう。 この種の商品では「友人より高級なアクセサリー」、「近所でいちばん広い家」という優位性が満足のポイント。そのため、「自分より下」がいないと満足を得られません。この性質が非常に困った事態をもたらします。「友人・近所の人より下」とみなされた側はたまったものではありません。その結果、自分が「下位」に属することになりそうなグループ・地域からは抜けるか、そもそも近づかないようになります。

多くの人が「自分が下位になりそうな集団には入らない」ように心がけると、交友関係は上下関係が生じにくい「同じような人」だけでつくられることになります。 友達みんなが同じような服、同じようなアクセサリーとなると……ここで大きな問題が! 地位財は他人より優位であることで満足を得る商品です。みなが同じものを身につけていたら、だれも満足できないではありませんか。だからといって、安物を身につけていたら「友人より下」とみなされるので、地位財への支出を止めるわけにはいきません。お金をかけ続けなければならないのに、そこから満足は得られない。まさにだれも得をしない状況です。

だれもがだれかに優越感を感じる、win-winの社会

この状況を打開するために必要なものはなんでしょう。他人との比較ではない絶対的な価値判断をできるようになること……は理想だけれどちょっと難しそう。現実的な方法は、お互いに重ならない、多くの交友関係をもつことではないでしょうか。自分ひとりではなく、社会の大多数が複数の交友関係をもっているならばなおよい。 グループ内の上・下にとって重要な要素はグループによって異なります。ある交友関係ではファッションが、ある地域ではマンションの階数が、あるところでは趣味に関する知識がグループ内の地位を決める。複数の交友関係をもつことで、あるグループでは「他のだれかに優越感を与える人」に、あるグループでは「他のだれかから優越感を得る人」になる。これをより多くの人が実践することで社会はだれもがだれかに優越感を感じる、win-winの社会に近づいていくかもしれません。

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経済学者

飯田泰之

1975年生まれ。エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授、シノドスマネージング・ディレクター、内閣府規制改革推進会議委員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。わかりやすい解説で、報道番組のコメンテーターとしても活躍。

Domani8月号 新Domaniジャーナル「半径3メートルからの経済学」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子


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