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2018.09.05

就職氷河期ではなく「採用氷河期」。企業がやるべきことは【原田曜平の「後輩世代のトリセツ」】

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・マーケティングアナリストの原田曜平さんが、若者のインサイトを発掘する必要性について語ります。

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かつての人気企業でも内定辞退続出。「学生が企業を選ぶ」時代に

「なんでうちの人事、こんな子採用したの??」。2018年度も四半期を過ぎ、職場で若手社員と接する中で、思わずそうつぶやきたくなったDomani読者の方もいるのではないでしょうか。今回は「採用」対象の若者がテーマです。 リクルートワークス研究所によれば、来春2019年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1・88倍、倍率が7年連続で上昇しています。就職氷河期ではなく、「採用氷河期」という言葉が生まれているほど、日本の企業は人材の確保に苦戦しています。特に中小企業、地方企業を中心に、募集してもエントリーすらしてもらえない状況。東京の大企業にいると気づきにくいかもしれませんが、地方に講演に行くと人手不足による倒産もよく見聞きし、切実さを痛感します。また、この人手不足を主な理由とし、宅配便や米など、さまざまな物価上昇も起こり始めています。

フィールドワークなどを通してチームワークUP

「今年5月には若者研究所のメンバーと、親睦と勉強会を兼ねた合宿へ。私自身、研究所発足以来15年ほど、毎日のように学生と会い一緒に仕事をしてきましたが、ここ数年は学生との間に壁を実感。若者たちにアンケートを取り、彼らの居心地の良い組織にするために、やり方や仕組みを改良しました。これまでの熱血スタイルは封印。彼らに成長してほしいと願いつつも、まずはついてきてもらわなくてはという気持ちで、日々模索中です」

なるべくしてなった人手不足。40年近く続く少子化から、上がる若者の地位

AIに仕事が奪われるとも言われている中、日本は今、それとはまったく逆の状況。若者の採用と育成に関する新刊(下記紹介)を出版するにあたり、さまざまな会社の人事の方にお話を聞いたところ、平均年収1000万円以上の厚待遇の人気企業や、数年前まではその安定感で支持された地方公務員でも、半数近くの内定者に辞退されてしまったところがありました。 なぜこんな状況になってしまったのか。要因のひとつは、景気が回復していること。本当にデフレ脱却しているのかという議論はあるものの、全国的には時給が上がっています。同時に、団塊の世代が一気に退職の時期を迎えたこと。そして、40年近く続く少子化。当然予測できることで、なるべくしてなった人手不足です。他の先進国は人口減を移民で補ってきました。今後日本の人口を維持するためには、毎年50万人以上の移民を受け入れなくてはいけないのですが、現状でも東京に100万人いる程度で、現実味は少ない。外国人労働者が日本に少ないことで、結果的に若者の地位が上がってしまっています。

中でも今年入社した新入社員は、スーパーゆとり世代。義務教育の12年間、最初から最後までゆとり教育を受けた唯一の代です。多感な時期にリーマンショックや東日本大震災が起きていますが、この代の前後にいる若者の多くが進学も就職もがむしゃらに頑張らなくてもなんとかなる環境下で生きてきました。ごく平凡な学生でも名だたる大企業からの内定を複数獲得し、「どの会社がいいか、原田さんなりの意見を聞かせてください」と自信満々に(上から目線で・笑)相談されることも増えています。 これから若者に自社を受けに来てもらおうと思ったら、大変残念なことですが、企業は「自分たちの欲しい人材を選ぶ」という発想を捨てなくてはなりません。超人気企業以外は、若者に好まれる企業にならないといけないし、少なくともそういう顔つきをする必要があります。

たとえば、採用ホームページ。歴史ある企業だと、よく白髪の会長や社長が出てきて「逆境に負けない精神をもつ人材求む」みたいな熱いメッセージを掲げていますよね。これは、今の学生からするとトゥーマッチ。まず、高齢の経営者は自分のキャリアに関係ないと感じます。転職も売り手市場のため、数年働いて辞めるのもアリ…という不安定な感覚を持っているので、自分より数歳上の先輩が「なんか楽しそうに働いているな」というところに惹かれるんですね。高尚な話より雰囲気のよさアピールが有効というケース。あくまで対策の一例ですが、あちこちから「うちに来て、来て!」と押されているわけで、熱血プッシュより学生から企業にアプローチしてもらえるようなホームページや採用イベントのアイディアが求められます。そして、優秀な人材を求めるならば、それ相応のブランド力も。 アラフォーの方々は、「ゆとり世代に比べたら私たちは頑張ってきたし、若者に媚びたくない」と思われるかもしれません。でも、さらなる人材不足となれば仕事のしわ寄せは私たち世代の肩にかかり、業績低下や倒産にもつながりかねない。真剣に知恵を絞って、若者のニーズと自社の稼ぎ方を分析し、それらが交わる部分を最大化していく時期が来ています。

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マーケティングアナリスト

原田曜平

1977年生まれ。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。学生や20代の社会人と共に、若者の消費行動について調査・分析を行う。マーケッターの立場から現代を読み解き、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ)、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS)などに出演。

Domani2018年8月号 新Domaniジャーナル「後輩世代のトリセツ」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子


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