エモーショナルとは?意味と使える場面
まずはエモーショナルの意味を解説します。この単語が使われるシーンと具体的な例文を参考に、言葉の解像度を高めましょう。
意味は「感情的」「情緒的」
エモーショナルは「感情に影響されやすい状態」を表す言葉です。
エモーショナル(emotional)
[形動]感情に動かされやすいさま。感情的。「エモーショナルな言動」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
映画や文学などの芸術作品について「エモーショナルだ」と表現するときは、「心を揺さぶる素晴らしさを持っていること」を指します。このような使われ方の場合、エモーショナルは芸術作品として魅力的であることを表すポジティブな言葉となります。
人に対してエモーショナルという言葉を使うと、「感情に流されやすい」「情緒が不安定である」のような意味となるのが一般的です。この場合は、ネガティブなニュアンスの強い言葉となるため、使う際には注意する必要があります。
類義語と対義語を紹介
エモーショナルの類義語として挙げられるのが「ロマンティック」です。ロマンティックとは、恋愛小説の世界のような甘い雰囲気を漂わす様子や、甘美な雰囲気を好むさまを表します。他にも「センチメンタル」や「感傷的」などがあります。
エモーショナルの対義語として代表的なのが「ロジカル」です。ロジカルとは、論理的である様子を表します。ビジネスシーンでは、「ロジカル・シンキング」という言葉で使われることが多い単語です。他にも「ラショナル(合理的)」や「理性的」などがあります。
エモーショナルという言葉が使われる場面
ビジネスシーンでは、主に感情的になることをネガティブに表現したいときに使われます。例として「会議中にエモーショナルになるのは、健全な議論を妨げる行為だから慎んだ方がいい」などです。
一方で、情緒的であることをポジティブに表現したいときにも使われます。例えば「ときとしてエモーショナルに歴史的事実を語る教師のおかげで、日本史に興味を持てた」のように表現します。
また、心を揺さぶる芸術作品の素晴らしさを表現したいときには、「この曲で一番好きなところはエモーショナルなイントロだ。何度聞いても心がわくわくする」といったように使うのが一般的です。
エモーショナルとエモいの違いは?
エモいとは、2006年前後から若者を中心に流行した言葉のこと。エモいは、エモーショナルから派生した言葉ともいわれているため、一緒に理解しておくのがおすすめです。この項目では、エモーショナルとエモいの違いなどを解説します。
エモいとの違い
「エモーショナル」と「エモい」は微妙に意味合いが異なります。
エモいは、さまざまな意味を持っている言葉です。エモーショナルと同じく、感情が動かされた場面で使用する以外にも、懐かしさや青春を感じたとき、センチメンタルな気分になったときなどにも用いられます。
つまり、「エモい」で表現される心情の中には、「エモーショナル」では代用できないものがあると考えられるのです。
また、エモーショナルとエモいには使用できるシーンにも違いがあります。エモーショナルは、フォーマルなシーンでも使える汎用性の高い言葉です。しかし、エモいは一般的に若者言葉に分類されるため、フォーマルなシーンには適していません。
エモいの語源は諸説ある
エモいの語源にはいくつかの説があります。
一つ目が、エモーショナル(emotional)を語源とする説です。エモーショナルの「感情的な」という意味から派生したのがエモいだといわれています。
二つ目が、日本語の「えもいわれぬ」を語源とする説。「うまく形容しにくい状態」を表す「えもいわれぬ」の文頭の「えも」を形容詞化したのが、エモいであるとの一説もあります。
三つ目が、1980年代にアメリカで流行したロックミュージックのジャンル「Emo(エモ)」から派生したとする説。情緒的な歌詞を多用するEmoの特徴から派生して、エモいに変化したというものです。
エモーショナルの関連語
「エモーショナル」から始まる関連語が多くありますので、メジャーなものを三つ紹介します。関連語も併せて覚えておくと、語彙力アップに役立ちますよ。
エモーショナルデザイン
エモーショナルデザインとは、使いやすさや見やすさの向上に加えて、見る人の感情に訴えるデザインであり、そのようなデザインを生み出すための行為を指す言葉です。
視覚的要素などを通して、「うれしい」「楽しい」などのポジティブな感情を沸き立たせることで、ユーザーのお気に入りとして長く愛されるデザインを目指すのがエモーショナルデザインの基本です。
エモーショナルデザインの分野では、消費者のポジティブな感情を引き出すのがセオリーですが、場合によってはネガティブな感情を呼び起こすことを意識してデザインするケースもあります。
エモーショナルインテリジェンス
エモーショナルインテリジェンスとは、自分の感情を制御する能力や、他者の感情を思いやりながら自分の感情を伝える能力を指す言葉です。日本語では「心の知能指数」とも表現されます。
アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンは、エモーショナルインテリジェンスは「自己認識力」「自己管理力」「社会的認識力」「人間関係を管理する能力」という四つの力によって成り立っていると説きます。
エモーショナルインテリジェンスの高い人は、一般的に他者と建設的な関係を築くのが得意です。ビジネスパートナーとして迎えれば、人間関係におけるストレスを和らげてくれることが期待できます。
エモーショナルマーケティング
エモーショナルマーケティングとは、受け手の感情に訴えかけて「買いたい」という気持ちをかきたてるマーケティング手法を指します。
エモーショナルマーケティングを実践する上で鍵となるのが「ウォンツ」です。消費者が持っているニーズ(必要性)ではなく、ウォンツ(欲求)を刺激するのが大切だといわれています。
例えば、万年筆を売りたいと考えたときは「きれいに字が書ける」などと機能性を強調するのではなく、「仕事ができる自分を演出できる」と消費者が心に秘める欲求にアピールするのが、エモーショナルマーケティングでは重要です。
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