東京の三軒茶屋にあるお茶カフェ『東京茶寮』
三軒茶屋駅から歩いて7分ほど、明薬通りを進むと住宅街の中に突如現れる、大きなガラス張りの洗練されたドア。中は真っ白な壁にコの字の大きな木のテーブルが置いてあり、この9席のカウンターのみがカフェスペース。スタッフがハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れてくれたお茶を目の前で楽しみながら飲めるスタイルのお店、ここが日本茶専門店のカフェ「東京茶寮」です。
▲落ち着いた印象の外観から、初めて行くときは、うっかり通り過ぎてしまうかも。知る人ぞ知るような店構え。
▲なんと!お茶専用のドリップ器で、お客様の飲むペースに合わせて丁寧にドリップしてくれます。
近年はお茶カフェが徐々に増えてきてブームの兆しをみせていますが、こちらでは他ではあまり体験することができないシングルオリジンの煎茶が飲み比べできるんです。
ちなみにシングルオリジンとは単一農園で単一品種のこと。最近コーヒー豆やチョコレートでもこの傾向があり、味や香りなどの違いを楽しめ、さらに生産している場所や人も身近に感じられることから人気がどんどん高まって来ているようです。
そんなシングルオリジンを今では31種類も取り揃えている東京茶寮が「自宅で楽しむ煎茶の淹れ方」をテーマにしたワークショップを開催するということ聞きつけ、実際に学んできました。しかもワークショップ代が500円というワンコインプライスにびっくり!
自宅でも美味しいお茶の選び方、淹れ方・ポイント4
1:茶葉の種類
▲左の深蒸しと右の浅蒸しでは、茶葉の大きさや色味が違います。
畑から摘まれた茶葉は、最初に蒸気で蒸すという工程があるそうですが、そこで蒸す時間が短いのが『浅蒸し』、長いのが『深蒸し』になるんだとか。厳密にいうとその中間の中蒸しというのもあるそうですが、今回はこの「KOISHIZUKU」という静岡県産の深蒸しと「RYOFU」という岡山県産の浅蒸しの2つで茶葉の違いを比べました。
深蒸しは茶葉が細かく味は甘みとコクがあるのに対し、浅蒸しは茶葉が大きめで味はダシのような旨みがあるのが特徴だそう。スーパーなどで売っているのはほとんどが深蒸しらしく、地域によって好みが変わるそうで関東圏では深蒸しが、関西圏では浅蒸しが好まれるそうです。こういう雑学を知ることができるのもワークショップの楽しいところ。
2:茶葉の量とお水
▲お店ではこの天秤の秤を使っていました。道具もオシャレ♡
浅蒸しでも深蒸しでも、1人当たり茶葉が4グラム・お水の量は120ミリリットル。自宅でいちいちグラム数を計るのは面倒なので、使うスプーン1杯が何グラムなのか先に知っておくと便利だとか。硬水好きな人もいると思いますが、日本茶に適しているのは軟水なんだそう。お茶を飲むときはぜひ軟水で作るのをおすすめします。
3:お茶を入れるときのお湯の温度
▲ワークショップにて配られた表。言葉だけではなく視覚でも学べるのがうれしい。
今回の重要ポイントはこの温度!お茶を美味しく飲むなら70度で淹れるのがポイントとのことですが、自宅に温度が測れる器具なんてない〜という方がほとんどだと思います。というわけで、温度調整できる湯沸かし器がなくとも温度計を買わなくとも、大体のお家にあるだろうアイテムを使って温度の目安がわかる方法を教えていただきました。
そのアイテムは、なんと冷凍庫にあるアイスキューブ!!
1リットルの熱湯に一般的な製氷機のケースで作ったアイスキューブを9個入れるだけ。それで約70度まで下がるそう。なぜ70度なのか?というと、80度を越えると一気に茶葉からカフェインやカテキンの成分が溶け出してくるので、苦味や渋味が強くなってしまうんだとか。そのため、旨味成分のアミノ酸を活かしたまま美味しく頂ける70度で作るというのがポイントでした。
ちなみに旨味成分アミノ酸の抽出は比較的温度に影響しないらしく、実は氷で作る冷茶の方が旨味や甘味を感じやすいとのこと。実際に私も自宅に帰って試してみましたが、たしかにより一層お茶の味を強く感じられたので、味の違いを試したい方は冷茶での飲み比べをおすすめします。
また、お茶でうがいすると風邪予防や喉の痛みに効果があるとされていますが、その際はカテキンをたくさん出した方が効果が増すため、逆に沸騰したお湯でつくるといいそうですよ。
4:抽出時間
▲東京茶寮オリジナルの透明急須はデザイナーであるオーナーが作ったそう。
ラストは抽出時間について。浅蒸しも深蒸しも1分20秒、抽出するのが一番美味しい時間だそう。一度の茶葉で3煎。2煎目、3煎目の抽出時間は茶葉がすでに開いているので、15秒ほどでさっと出して大丈夫なんだとか。
長く抽出すると苦味が出てきてしまうそうなのでご注意を。
ここまでは飲むまでのポイントを学んできましたが、ワークショップ後半戦は実際に自分でお茶を淹れて飲むところまでを体験をしてワークショップは終了となりました。
▲茶葉によってこんなにお茶の色も違いました。左が深蒸しの「KOISHIZUKU」で、右が浅蒸しの「RYOFU」。
▲カフェ奥には物販スペースも完備。
ワークショップ担当の斎藤さんいわく茶器を揃えることよりも、まずは純粋にお茶を楽しんでほしいとのこと。そしてお茶に対して、自分軸を持ってほしい(作ってほしい)そう。味の違いや好みに気付き自分の軸が定まってきたら、茶葉で抽出時間を変更してみようかな?など自分好みにどんどんアレンジしたくなってくるそうで、そのうちおもてなし用のお茶を作ったりとお茶の世界が広がってくるんだとか。
また斉藤さんは日本茶インストラクターの資格もお持ちで、東京茶寮ワークショップを企画から担当されており、今後はちょっと変わったテーマの企画も考えているんだそう。
今回の参加者は偶然にも全員Domani世代くらいの女性が集まっており、時間がおしてしまうほどお茶に関する熱心な質問が止まりませんでした。終了後にはどなたもお買い物も楽しんでいる姿が印象的で、お茶への興味関心を持つ世代の幅が広がってきたことを感じました。
そんな私はワークショップ中に使った急須と茶葉を購入!このオリジナルのおしゃれな急須は「レッド・ドット・アワード プロダクトデザイン2018」というデザイン賞を受賞した急須なんだとか。とってもコンパクトで使いやすかったのと洗いやすそうな広い間口が即買いポイントでした。また茶葉は、斉藤さんにアドバイスをもらいながら、香りが特徴的で甘みと苦みのバランスが良い静岡産の茶葉「YOINO SHICHIYOUSEI」を購入!
たった500円のワンコインで気軽に学べた分お茶を買う余裕もあり、昔から身近にあったお茶に興味を持つことが出来ました。段々と作るのも楽しくなるという人が多いということなので、まずはワークショップでお茶の基礎に触れてみてはいかがですか。こちらの500円で体験できるワークショップですが、9月分はすでに終了していて、10月以降の予定はまだ未定とのこと。気になる方はイベント情報が更新されるのをチェックしてみてくださいね。
取材協力:東京茶寮
住所:東京都世田谷区上馬1丁目34−15
営業時間:(平日)午後1時〜午後8時/(土日祝)午前11時〜午後8時 (L.O午後7時30分)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日休み)
東京茶寮公式サイト
※カフェご利用も公式ホームページから予約をすることをおすすめします。
ライター
高橋聖子
1981年北海道生まれ。ドラマの衣裳コーディネーターやアパレルPRを経て、36歳にしてフリーに転職。現在は、駆け出しライターとカフェ店員のダブルワークに奮闘中。趣味は、日本の古き良き町並みや文化に触れること・カフェ巡り・国内ぶらり旅。