席次とは?言葉の意味を解説
席次(せきじ)とは、座席の順序や、成績・地位を指す言葉です。席には「座る場所」という意味もありますが、「会合などの場」や「地位、序列、順位」などの意味もあります。また、次は「二番目」という意味を持つ漢字ですが、席次の熟語では「順序」の意味で使われていると考えられます。
【席次】せきじ
1.会合・儀式などでの座席の順序。席順。
2.成績・地位などの順位。「―が上がる」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
意味1.会合・儀式などでの座席の順序
セミナーや説明会のように好きな場所に座る会合もありますが、ビジネス関連の会議や食事会、目上の方との改まった席などでは、立場や年齢によって座る場所がおおよそ決まっていることもあります。
「席次」は、会合や儀式などでの座席の場所のことです。その場でもっとも尊重されるべき方が席次の高い上座(かみざ)に座り、目下とされる側が席次の低い下座(しもざ)に座ります。いくつか席次を使った例文をご紹介します。
・席札はありませんが、席次に従って座ってください。
・来春から社会人になるから、席次のルールくらいは覚えておくように。
席次はマナーとして知っておくことが好ましいとされています。ただし、地域やコミュニティによってだけでなく、その場の状況によっても変わるため、臨機応変に対応することが大切です。
意味2.成績・地位などの順位
席次は、成績や地位などの順位の意味でも使われる言葉です。学校によっては、クラスや学年での順位を「席次」として通知表などに記載していることもあるようです。
また、身分や社内での地位なども、席次として表現することもあります。いくつか例文をご紹介します。
・ぎりぎりの成績で入学したが、卒業時の席次は3番目だった。
・彼の家は代々藩内で要職を占め、大名家に次ぐ席次であったらしい。
ビジネスで知っておきたい席次ルール・マナー
結婚式の披露宴のように、あらかじめ座席が指定されているイベントなら、座る場所に頭を悩ませる必要はありません。しかし、取引先との食事会や上司と乗り物を使って移動するときなどでは、一緒に行動する人々を不快にさせないためにも席次を知っておくといいでしょう。
また、主催者や招待側から「自由にお掛けください」といわれても、いきなり上座に腰を下ろすのはマナー違反にあたる可能性があります。一般的なマナーをご紹介するので、ぜひご覧ください。
ただし、マナーは地域やシチュエーションだけでなく、個人の事情でも変化します。一般的なマナーに従って行動しても、マナー違反を指摘されるかもしれません。元来マナーとは、相手を不快にさせないためのルールです。指摘を受けたときは、臨機応変に対応しましょう。
また、席順を決めることで、かえってトラブルを生むかもしれません。例えば、一般的には目上の方は空間内の奥に着席するとされますが、脚に痛みがある方や車いすを利用している方などは、奥よりもドア付近のほうが便利かもしれません。ルールに固執せず、各自の事情も考慮して席を割り振りましょう。
応接・会議の席次
ビジネス関連で覚えておきたいのは、応接室と会議室の席次です。招待する側か、招待される側かによっても座る場所が変わるため、あらかじめ確認しておきましょう。
応接室
応接室では、ドアに近いところが下座、奥は上座です。招待した方々に奥の席を勧めましょう。
3人掛けソファーは応接室の上座に配置されるケースが多いです。しかし、部屋の構造上、ドアから1人掛けソファーまでの距離と、3人掛けソファーまでの距離がほとんど変わらないときもあるかもしれません。どこが上座かわかりにくいときは、お客さまに3人掛けソファーを勧めましょう。
3人掛けソファーは奥から順に席次が高い方を案内します。一方、1人掛けソファーを3席分配置するケースでは、中央席・奥・手前の順に席を割り振りましょう。
ただし、応接室に絵画や彫刻などの美術品が飾られている場合や、窓から美しい景色が見える場合は、見やすい場所が上座です。末席と考えられる場所が絵や景色を見やすい場所のときは、誤解を生まないためにも、「こちらのお席はお庭がよく見えますよ」のように一言添えて勧めましょう。
会議室
長テーブルが2つ、向かい合うように配置された空間では、入口に近いところが下座です。客側が入口から遠い長テーブル、招待した側が入口に近い長テーブルにつきます。
また、長テーブルでは中央席が上座です。椅子が3つ並んでいる場合は、中央・奥・手前の順に席次が高い方から案内します。
議長を立てる場合は、長テーブルをコの字型やロの字型に配置するケースもあるかもしれません。コの字・ロの字では奥側の長テーブルの中央に議長席を設け、議長の隣でなおかつドアから遠い席を、上位とされる方に勧めます。もっとも上位の方が議長を務める場合は、議長の次の席次の方に、奥の長テーブルの奥席を勧めましょう。
食事の席次
ビジネス関係の方々と食事をするときの一般的な席順をご紹介します。プライベートでも、目上の方や初めて会う方と食事をするときは、席の決め方を押さえておきましょう。
ただし、席順には正解はありません。地域や食事会の目的によっては、ご紹介するルールが不適切なケースも想定されます。誰もが楽しく食事ができるように、その場に応じて対応しましょう。
テーブル席
テーブル席では、ドアから遠い椅子が上座、近い椅子が下座です。4人席で2人ずつ向かい合って食事をする場合なら、もっとも奥に席順がもっとも高い方、その隣に次の席順の方が腰を下ろします。
正方形のテーブルなら、4つの椅子が別々の辺に配置されるかもしれません。状況にもよりますが、ドアから近い椅子を下座とし、その向かいを上座、その次の奥側にあたる椅子に次の席次の方が腰を下ろします。
床の間がある和室・円卓
床の間がしつらえてある和室では、床の間の前がもっとも上座、入口に近いところが下座です。しかし、和室の構造や座布団の配置によっては、床の間の前がもっとも良席とは限りません。どの席をお客さまに進めてよいか迷ったときは、お店の方に尋ねてみるのも一つの方法です。
また、次の決まりを覚えておくと、上座にふさわしい席を決めやすくなります。
・入口からもっとも遠い席
・人の行き来が少ない席
・室温が快適でエアコンの直風が当たらない
・景色や美術品がよく見える
・入口から見て左側
例えば入口から見て床の間が左奥にある和室なら、左奥、左奥の向かい、左奥の隣の席順です。
中華料理店では、円卓を囲む部屋に案内されるかもしれません。その場合も和室と同様、奥が上座、ドアに近い場所が下座です。ドアから見て上座の右手が2番目の席次となり、以下、もっとも上座の方を囲むように左右に席を割り振ります。
移動時の席次
移動時も席次を意識してみましょう。ただし、会議や食事のときと同様、席順にこだわりすぎず、共に行動する方々が快適に過ごすことに心を配りましょう。
一般的な移動時の席次をご紹介します。
電車
電車で上司と出掛けるときや社員旅行では、席順の決まりを意識して座席を手配します。また、取引先やお客さまと移動するときも、決まりを把握しておくと、相手に不快感を与えにくくなります。
一般的に窓際が上座、通路側が下座です。3席並んでいる場合は席次がもっとも高い方に窓際の座席に座ってもらい、以下、通路側、中央席と続きます。
例えば1列に5席ある電車で2人席と3人席に分かれている場合なら、2人席の窓際がもっとも上座で、3人席の窓際が次の席次です。次いで、2人席の通路側、3人席の通路側、最後に3人席の中央席です。ただし、仲のよい人同士、用事がある人同士を隣にするほうがよいケースもあるため、臨機応変に対応しましょう。
また、ボックス席に座るときは、進行方向に座れる席の窓側が上座です。すべての座席が進行方向に向き、なおかつ数列に分かれる場合は、後ろ側が上座です。ただし、前の席や通路側を好む方もいるため、できれば事前に希望をうかがっておきましょう。
乗用車(タクシー・社用車)
乗用車の席次は、運転者が身内かどうかによって異なります。運転者が身内でない場合、例えばタクシーやハイヤーなどに乗るときは、後部座席の奥(右ハンドル車なら運転席の真後ろ)が上座です。続いて、後部の手前(出入りするドアの横)、中央、助手席の順に割り振ります。
一方、運転者が身内となる社用車では、助手席が上座です。次いで、後部のもっとも奥が2番手、手前が3番手、中央が下座として座席を割り振ります。
ただし、脚に痛みを抱えている方などは、奥の席に座るのは困難かもしれません。本人の意思を確認したうえで後部手前に座ってもらい、介助する方を助手席に配置するのも一つの方法です。
エレベーター
エレベーターでは、開閉扉から遠く、なおかつ開閉扉から見て左側が上座、操作盤の前が下座です。前後に分かれて立つ場合は、後ろの左が上座です。前側は操作盤とは逆の端から席次が高い方に立ってもらいます。
操作盤が開閉扉の左右にあるエレベーターでは、開閉扉から見て右側の操作盤の前が下座です。後ろの左側から順に席次順に立ってもらい、続いて前も同様に左から席次順に立ってもらいましょう。
席次についての豆知識
席次についての大まかなルールをご紹介しました。ルールが多すぎて理解しにくいと感じる方は、たいていの場所では「奥側」と「入口から見て左側」が上座になる点だけでも覚えておいてください。
次は、席次について知っておきたい豆知識をご紹介します。
沖縄の結婚式の席次は他地域とは逆順
沖縄の結婚式や披露宴では、新郎新婦の親族がひな壇の近くに座り、その後方に新郎新婦の親の関係者や職場の関係者が座り、もっとも後ろに新郎新婦の友人が座ることが一般的です。
ただし、地域によって変わる可能性があるため、式場や親、年長者などに確認してから席を決めるようにしてください。
大学の席次の計算方法
学校にもよりますが、GPA(Grade Point Average)評価で席次を決めることが一般的です。GPAの数値が高い順に席次が決まります。
なお、大学での席次とは、学部や学科、教室内の成績の順序を指します。数値が同一の場合は同一の席次です。ただし、席次を決める方法が学校によって異なることもあるため、気になる方は在籍する大学に問い合わせてください。
GPAは成績評価に対して換算値を決め、それぞれの評価を獲得した単位数と換算値を掛け合わせ、登録単位数で割って求めます。例えば、A+は4点・Aは3点・Bは2点・Cは1点・不可を0点と換算する場合なら、以下の計算式でGPAを算出できます。
・GPA=(A+の単位数×4+Aの単位数×3+Bの単位数×2+Cの単位数×1)÷登録単位数
登録単位数とは登録したすべての科目の単位です。そのため、不可(0点)の科目が多くなるとGPAは下がります。GPAは就職や大学院、海外大学への進学の際に参考にされることがあります。高いGPAを目指すためにも、単位は落とさないようにしたいものです。
また、上記の例ではGPAは4点満点ですが、GPAが4.5点満点の学校もあるようです。詳しくは大学に問い合わせてください。
模試や高校の席次ルール
模試や高校でも、席次が決められることがあります。基本的には順位のことを指し、テストの点数が高い順に1、2……と決めることが一般的です。
ただし、模試や高校によっては独自ルールが用いられることがあります。例えば、上位10%を席次1、上位10~20%を席次2……とグループごとに席次を振り分けるケースもあるようです。
席次のルールを覚えておこう
席次のルールを知っておくと適切な席を選べるだけでなく、周囲の方々に不快感を与えずに済みやすくなります。しかし、ルールにこだわりすぎると、かえって相手を不快にさせたり、不便な思いをさせたりすることがあるかもしれません。席次に固執せず、その場に応じた対応を心がけるようにしてください。
また、大学や高校、模擬試験などでは、成績やテストの点数によって席次が決まることがあります。客観性のある指標の一つとして、勉学に取り組むうえで活用できるかもしれません。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock
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