マイナーチェンジとは
マイナーチェンジの意味を押さえておくと、ビジネスシーンで使える語彙が増えます。詳しい意味や「フルモデルチェンジ」との違いを紹介します。
製品やサービスの手直しを行うこと
マイナーチェンジとは、製品やサービスの部分的な改良や更新を指す言葉です。たとえば、スマートフォンの新モデルで重量やデザインが少々変わる程度の変更を指します。
マイナー‐チェンジ(minor change)
小さな手直し。自動車などの部分的なモデルチェンジをいう。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
既存製品の基本設計を維持しつつ、細かな改善を加えることが特徴です。大幅な変更を加える場合と比べて、マイナーチェンジであれば、製品の魅力を高めつつ開発コストも抑えられます。
マイナーチェンジは自動車業界でよく行われるものですが、それ以外にも家電製品・化粧品・アパレルといった幅広い分野で採用されています。
フルモデルチェンジとの違い
フルモデルチェンジとマイナーチェンジの違いは、変更の規模と頻度にあります。フルモデルチェンジが製品の基本設計から大幅に見直す全面改良であるのに対し、マイナーチェンジは部分的な改良に留まります。
マイナーチェンジでは、デザインの一部変更や製品性能向上、新機能の追加など小さく改良されるため、一見しただけでは変化がわからないケースも珍しくありません。
フルモデルチェンジが行われるまでの期間ですが、明確に決まっているわけではありません。例として、自動車の場合は通常4〜6年に一回程度です。一方、マイナーチェンジはより頻繁に行われます。
フル‐モデルチェンジ(full model change)
自動車などの型を機能の向上もあわせて全面的に変えること。全面改良。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
マイナーチェンジに似ている言葉
マイナーチェンジと似たような言葉は多く、混乱しがちです。ビジネスシーンで使われることが多い「アップデート・リフォーム・イノベーション」の意味や使い方をそれぞれ紹介します。
アップデート
アップデートはマイナーチェンジと似た概念ですが、主にソフトウェアや情報の更新を指します。たとえばスマートフォンのOSアップデートは、新機能の追加や既存機能の改善、セキュリティの強化などを行います。
アップデートの特徴は、既存の製品やサービスの基本的な構造を変えずに、部分的な改良や機能追加をすることです。ユーザーの使い勝手を向上させながら、大きな変更によるストレスを避ける効果があります。
ビジネスの世界では、製品やサービスの継続的な改善を示す言葉としても使われます。「営業戦略をアップデートしていく」といった表現をするケースが少なくありません。
特にデジタル分野では頻繁なアップデートが当たり前となっており、ユーザーの期待に応え続けるため欠かせない取り組みとなっています。
アップデート(update)
コンピューターやスマートホンなどで、ソフトウエアの内容を、より新しいものに変更すること。不具合の修正や小規模の機能追加を目的として、ソフトウエアのメーカーや作成者が提供するソフトウエアの一部をインストールすることをさす。一般的に、大幅な更新の場合はアップグレードという。ソフトウエアアップデート。アプデ。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
リフォーム
リフォームは建物や空間の改装・改修や、衣服の仕立て直しを意味する言葉。一般的には、住宅・オフィスなどの内装や外装を更新し、機能性や快適性を向上させる目的で行われるものを指す場合が多いです。
リフォームの特徴は既存の構造を活かしつつ、部分的な改良や機能追加をすることです。例を挙げると、「キッチンの設備を最新のものに交換する」「バリアフリー化のために段差を解消する」などが該当します。
リフォームは建物の価値を高め、長く快適に使い続けるために必要となります。既存の建物を活用すれば、建て替えと比べて廃棄物を減らせるため環境にも配慮できます。
リフォーム(reform)
[名](スル)手を加え改良すること。作り直すこと。衣服の仕立て直し、建物の改装など。「離れを書斎にリフォームする」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
イノベーション
イノベーションはマイナーチェンジやアップデートとは異なり、革新的な変化を指す言葉です。既存の枠組みを超えた新しい価値の創造や、従来のビジネスモデルを根本から変える取り組みを意味します。
たとえば、スマートフォンの登場は、通信業界に大きなイノベーションをもたらしました。誰もが簡単に必要な情報へとアクセスできるようになり、SNSの発達や電子決済なども可能になったことで、生活様式そのものを変えたのです。
ビジネスにおいて、イノベーションは競争力の源泉となります。新製品の開発だけでなく、サービスの提供方法や組織構造の変革など、幅広い領域で改革が必要となる場合もあります。しかし、イノベーションは常に成功するとは限りません。大きなリスクを伴うため、慎重な計画と実行が求められます。
イノベーション(innovation)
1 新機軸。革新。
2 新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。また、狭義には技術革新の意に用いる。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
マイナーチェンジの使い方や例文
マイナーチェンジがどのような場面で使われているのかを知ると、より深く言葉の意味を理解できます。使い方や例文を紹介します。
ビジネスでのマイナーチェンジの使い方
マイナーチェンジは、ビジネス上の重要な戦略のひとつです。一例ですが、スマートフォンの開発ではメモリやCPUの向上、バッテリー容量の増加など、部分的な改良が頻繁に行われています。
また、サービス業においてもメニューの一部変更やインテリアの刷新といった、顧客体験を向上させるための小規模な改善が日々行われています。さらにソフトウェア業界では、セキュリティアップデートや機能追加など、継続的な改善が製品の価値を高める要素となります。
このように、ビジネスにおけるマイナーチェンジは、製品やサービスの魅力を維持・向上させ、市場での競争力を保つための効果的な手段として広く活用されています。
マイナーチェンジの例文
ビジネス会話で実際に使用される、マイナーチェンジの例文を紹介します。
【例文】
・当社の主力商品である電子辞書は来月からマイナーチェンジに着手し、従来品と比べてバッテリー持続時間を20%向上させます
・このソフトウェアは、ユーザーインターフェースのマイナーチェンジによって操作性が大幅に向上しました
・レストランのメニューを季節に合わせてマイナーチェンジし、お客さまに新鮮な印象を与えています
・定番アイテムのデザインにマイナーチェンジを加え、より洗練された印象に仕上げました
製品の一部機能を改善する際や、商品・サービスの魅力などを伝える際に使用できます。
マイナーチェンジを行うメリットとは
マイナーチェンジのメリットがわかると、ビジネスシーンで重要視される理由が見えてきます。マイナーチェンジのメリットを3つ紹介します。
品質が安定している
マイナーチェンジを行うメリットのひとつに、品質の安定があります。既存製品やサービスの基本設計を変えずに改良を加えるため、信頼性の高い部分はそのまま維持しつつ細かな改善が可能となるのです。
家電のマイナーチェンジでは、リモコンの操作性改善やインターフェースの変更など、ユーザーの使用感向上を目的に改良されることもあります。
すべてを一斉に変えようとすると、既存のユーザーが混乱しがちです。マイナーチェンジは急激な変更を避けながらも、製品やサービスの品質が着実に向上していく効果的な手段といえます。
故障や不具合が減る
もうひとつの大きなメリットは、故障や不具合の減少です。製品やサービスの問題点を特定し、それらを改善することで、より信頼性の高いものを提供できるようになります。
ソフトウェア製品でたとえた場合、バグの修正やセキュリティの強化といった、ユーザーの安全性を高める改善が頻繁に行われています。安全性を高めると、顧客の信頼の獲得やブランドの評価向上につながるのです。
また、マイナーチェンジに伴い製造プロセスの見直しも行えば、不良品の発生率を下げることも可能となります。結果としてアフターサービスの負担が軽減され、企業の収益向上にも貢献します。
顧客満足度の向上
マイナーチェンジは、顧客満足度の向上にも役立ちます。既存の製品やサービスの使い勝手を改善すると、ユーザー体験が向上し、顧客の期待に応えられるようになるのです。
たとえばゲームアプリのマイナーチェンジでは、ユーザーインターフェースの改善や新機能の追加により操作性を向上させ、ユーザーの満足度を高める試みが日々なされています。
また、家電製品のマイナーチェンジにおいては、省エネ性能の向上や静音化など、使用時の快適性を高める改良が行われます。これによって、顧客のニーズに一層適した製品を提供できます。
マイナーチェンジによって製品の魅力が増せば、既存顧客の継続利用や新規顧客の獲得にもつながります。その結果、企業の競争力強化や売上向上にも貢献することになるのです。
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