インテグリティの意味・定義
「インテグリティ」は、企業の公式サイトや採用ページでよく見かける言葉です。一体何を意味する言葉なのでしょうか?基本的な意味と、似た用語であるコンプライアンスの違いを解説します。
「誠実」などを意味する英語
インテグリティの由来は、英語の「integrity」です。辞書によると、以下のように定義されています。
integrity
音節in • teg • ri • ty発音intéɡrəti大学入試レベル
[名]U
1正直,誠実,高潔,廉直
a person of high integrity
非常に誠実な人物
2((形式))完全な状態,無欠(性),もとのままの状態,無傷の状態
territorial integrity
領土保全
2a(構造的な)一貫性,統一性;(電子データの)整合性
小学館 プログレッシブ英和中辞典より引用
ビジネス用語としては、企業の指針・従業員が持つべき価値観を表し、欧米企業で使われ始めた概念です。現在では日本企業で使われることが増えており、ビジネス用語として広まっています。
コンプライアンスとは異なる
インテグリティと似た言葉に、コンプライアンスがあります。コンプライアンスは、英語の「compliance」が由来となっている言葉です。
英語の辞書では、以下のように定義されています。
compliance
音節com • pli • ance発音kəmpláiəns社会人必須レベル
[名]U((形式))
1(命令・要求などに)従うこと≪with≫;《経済》(企業内での)法令遵守
2(追従的な)すなおさ,卑屈,盲従
3《物理学》コンプライアンス
4《医学》コンプライアンス
小学館 プログレッシブ英和中辞典より引用
インテグリティは「誠実さ」「高潔さ」といった個人の内面を表す言葉」ですが、コンプライアンスは「従うこと」です。
コンプライアンスには外部からの働きかけがあり、インテグリティとは異なる性質を持っています。
企業でインテグリティが求められる理由
企業では、なぜインテグリティが求められるのでしょうか?役員や従業員がインテグリティを求められる理由を解説します。インテグリティを持つ人材が集まると、企業にとってはメリットも多いのです。
規律違反によるトラブルを防ぐため
企業には、規律が存在します。もし、企業に属する従業員が規律を守らず、トラブルになると企業の信頼は失墜してしまうでしょう。
役職員・従業員など各自がインテグリティを持つことで、規律違反によるトラブルを予防できます。
企業にとって、好感度の低下や信頼性を失うことは大きな問題です。企業理念や求める人物像に「インテグリティ」を挙げる企業もあります。
雇用における問題を解消するため
インテグリティは、組織にも求められます。組織全体がインテグリティを持つことで、従業員のワーク・ライフ・バランスを整えやすくなるのです。
役職員や人事労務に関わる従業員のインテグリティが高ければ、各従業員の勤務時間を調整する意識が生まれ、有給休暇の取得や残業時間数の管理がしやすくなります。
長時間労働を減らし、同一労働同一賃金を守るなど、インテグリティが求められる場面は多様です。
雇用・労務に関わっている従業員だけでなく、雇用問題に関する意識を各自が持ち、働き方を変えていくよう心掛ける必要があります。
インテグリティの高い人の特徴
「インテグリティの高い人」とは、どのような特徴を持っているのでしょうか?行動や考え方など、主な特徴を紹介します。身近なところに、インテグリティの高い尊敬できる人がいれば、まねをしてみるのもよいでしょう。
他人の利益のために動ける
インテグリティの高い人は、他人の利益のために働こうとする傾向があります。顧客や取引先に対して誠実に振る舞うには、相手の立場や気持ちを考えなければなりません。
相手の利益のために働ける人は、誠実で高潔です。もちろん、ただ相手のためだけに働くわけではありません。
顧客や取引先に満足してもらうことで、自分の利益にもつながります。インテグリティの高い人は、周囲に誠実な対応をすることで、自社の利益にも貢献しているのです。
倫理観が高い
「倫理観」は、社会的な道徳を守ろうとする意識を意味します。倫理観が高い人は、善行や正しい行いをしようとする意識が強いため、誠実です。
周囲に対して誠実に振る舞おうとする倫理観の高い人は、インテグリティが高いといえるでしょう。
企業内の規律を守り、違反を許さない信念の強さもあります。周囲にも規律を守るよう働きかけるため、倫理観の強い人が多いと企業全体のインテグリティも高まっていくはずです。
インテグリティを発揮する行動基準
インテグリティを発揮するには、自らの行動に基準を設けるのがおすすめです。仕事でどのように行動するべきなのか、インテグリティを意識した行動基準を紹介します。
一貫した行動・言動を意識する
行動の基準があやふやで、言っていることが毎回変わってしまう人は「誠実」とはいえません。一貫した行動・言動を心掛ければ、誠実な印象を与えられます。
インテグリティを発揮するには、一貫した姿勢が倫理や法令に基づいていることが重要です。かたくなに意見を変えないだけでは、誠実さからは懸け離れてしまいます。
どのようなときも、自分なりの信念を持って行動していれば、周囲の人にも誠実な人柄が伝わるはずです。
相手に真摯に向き合い信頼関係を築く
インテグリティを発揮するには、顧客・取引先・同僚など、仕事で付き合う相手に対して真摯に向き合うことが求められます。
問い合わせや依頼があったときには、できる限り相手の意に沿う対応ができるよう心掛けましょう。仕事の質を落とさず、業務に向き合うことも大切です。
相手に対して真摯に向き合っていれば、信頼関係が築けます。強い信頼関係が築ければ、周囲から誠実で高潔さのある「インテグリティのある人」として認識されるようになるでしょう。
「インテグリティ」は誠実・高潔を意味し、ビジネスで企業指針や従業員の価値観に用いられます。誠実で実直な姿勢が重要です。
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