Domaniの読者アンケートによると、働くアラフォー女性の6割は「昇進したくない」という現実。その理由は、アラフォーキャリアに立ちはだかる「長時間労働は無理」「プレイヤーでいたい」「リーダーに不向き」「経験不足」の4つの〝山〟。昇進に際して、そんな〝山〟を感じ、悩みながらも引き受けた女性たちを取材しました。
廣松あゆみさん(50歳・丸井グループ 人事部多様性推進課 課長、健康推進部 健康推進担当 課長)
【管理職DATA】
●業務内容/人事部、健康推進部で社員がイキイキと働くための環境づくりをしたり、そのためのプロジェクトの運営
●部下の人数/4人 ●家族構成/夫、子供2人(9歳・6歳)
【廣松さんのキャリア年表】
22歳 丸井入社。川崎店に勤務後、本社へ異動
39歳 主任、係長を経てエポスカード会員サービス担当課長に昇進。チームをまとめたりマネジメントをするのが苦手という意識があった。
40歳 結婚第1子出産、9か月間の産休・育休を取得
41歳 復職。管理職で妊娠・出産し、時短勤務という社員がこれまでいなかったため不安に。
44歳 第2子出産、10か月間の産休・育休を取得
45歳 グループ会社のシステム開発部担当部長として復職
47歳 人事部に異動。多様性推進課 課長に
49歳 健康推進部健康推進担当 課長を兼任、現職
「信頼できる上司から〝今までのあなたのやり方でいい〞と言われて決心できました」
時間の使い方を工夫すれば時短勤務でも成果は出せる
「『私なんてまだまだです』。課長昇進の話をいただいたとき、そう上司に伝えました。もともとみんなを引っ張るリーダータイプではなかったですから。でも上司が『後輩の指導もできているし、今のままやれば大丈夫だよ』と言ってくれたので、挑戦することにしました」
ところが、課長になった年に結婚が重なり、さらには思いがけず妊娠。育休後は時短勤務で時間に制約があることが悩みに。
「1時間単位で組んでいたスケジュールを15分単位に変えて、部下に任せる部分も増やしました。また、ミーティングも時間どおりに終えることを常に意識しています。時間の制約ができたことで、チームの意識が変わり、生産性は上がったはず。ただ、トラブルが発生したときなどは、部下に仕事を任せて帰るのがどうしてもつらくて…。でもあるとき、当時の上司が『やりたくても帰らないといけない廣松がいちばん苦しい』と言ってくれ、自分の気持ちをわかってもらえていることに気づき肩の力が抜けました。子育てとマネジメントは似ています。子供が生まれてからはより『メンバーに成長してほしい』と思うようになりました。ワーキングマザーであることは管理職にプラスになっていると実感しています」
【部下が語る、廣松さんはこんな上司】
上司としても、働くママの先輩としても憧れです
大局的な視点でのマネジメントと、具体的なフォローをするマネジメントのバランスが絶妙な、頼れる上司です。仕事だけでなく趣味や習い事にも積極的で、尊敬する先輩ママでもあります。(川上紀子さん)
Domani9月号「昇進したくない」症候群 より
撮影/伊藤 翔、江口登司郎 イラスト/泰間敬視 構成/赤木さと子・酒井亜希子(スタッフ・オン)