管理職の打診を断っても、会社から必要とされるためには!?
働く女性である私たち、みんながみんな、管理職にならなければいけないわけではありません。やりがいをもって現場で頑張るためには、何を心がけるべきなのでしょうか。
【昇進したくない症候群1】で解説してくれた、マネジメントのプロである、小川さんと青野さんに伺いました。
【昇進しないで、気持ちよく働き続けるための心得とは!?】
1.〝専門職〞としてのレベルアップは必須
〝管理職〞の道を選ばない以上は、〝専門職〟として力をつけ会社に貢献するのが、基本的に求められるスタンス
2. 期待されている役割を見極める
スキルでも人脈でも、組織や上司から何を求められているのかを把握し、それに応えていくことで、存在意義は高められる
3. 実務の新しい手法や情報は柔軟に取り入れる
年齢を重ねても新しいことを積極的に試す柔軟な姿勢はマスト。上司の手が回らない実務のアップデートをし続ければさらに頼りにされる
4. 勉強会やビジネススクールなどに積極的に参加する
他社での事例を学んだり社外の人脈をつくることで、従来の手法にとらわれない視野が身につき、会社に新鮮な風を吹かせられる
5. 年下の上司やメンバーに対して「自分が年上」というプライドは捨てる
だれに対しても自分から挨拶するなどして、〝話しかけやすい先輩〞になるべし。〝煙たい先輩〞は存在自体がチームにとってストレスに
6. 知識やスキルは出し惜しみしない
上司や後輩を「助け、支える」という姿勢で自分がもっているものを提供し続けるべき。チームに貢献できれば、重宝される人材に
7. 自発的に行動し、上司を支える
チームの目的を達成するために、指示待ちではなく、上司に意見を述べたり情報を提供することもできる〝フォロワーシップ〟が大切
8. 人脈や専門知識など「ココは任せて!」という分野があるとベター
マストではないけれど、自分だけの強みがあれば、それだけで自分の居心地のよい居場所を確保しやすくなる
9. 会社でも家でもない〝サードプレイス〞でさまざまな価値観に触れる
会社の価値観にとらわれず異なる世界を知ることで、社内での立ち位置に悩んでも、「いざとなったら別の道もある」と余裕がもてる
10. 愛社精神を忘れない
最終的には、自分がどれだけ今の会社で働きたいか。「この人たちと働きたい」「この仕事が好き」という気持ちは周囲にも伝わる
管理職にならず、ただただ〝現状維持〞を望むのは難しい
終身雇用制が崩壊しつつあるこの時代、会社に長く勤め続けるには、〝なくてはならない存在〟になることが大事だと、企業の研修講師も務める小川さんは言う。
「企業が社員に求める役割は主に、(1)チームをまとめる管理職になる、(2)ある分野について詳しい専門職になる、のふたつ。実際には、(3)成長を目ざさず与えられた仕事をする、という人もいますが、会社の業績が悪化したとき、人員削減の標的になりやすい。となると、管理職になることを選ばずその会社で頑張るための選択肢は実質一択。事務でも営業でも『この人がいると助かる』と思わせる専門性を身につけることに尽きます」
またそのスキルを存分に提供するコミュニケーション力も重要。「管理職と専門職は、〝マネジメントする〟〝専門性をもっている〟という役割の違いです。上下関係や年齢にこだわらず、上手に使って使われる関係だと思えばお互い気持ちよく働けますよ」(小川さん)
また社員の離職率が低いことで知られるサイボウズ代表の青野さんは「『この会社にしがみつかなければ』と考えるのはつらいもの。もっと広い視野で自分がどう働きたいのか考えられるように、会社以外の居場所をつくるのもおすすめです」とアドバイス。管理職への打診はDomani世代が今後の働き方を見直す機会なのです。
<<CASE STUDY 番外編>>
私、昇進しない道を選びました!
鈴木亜由美さん(40歳・シーボン.開発課)
●業務内容/化粧品の開発企画担当として、新製品の企画を行うほか、原料や市場の調査なども手がける
●家族構成/独身
化粧品メーカー数社に勤め、25歳以降はずっと管理職兼プレイヤーを務めてきた鈴木さん。
「いつかは心から納得できる商品を開発したいと思っていたのですが、だんだん管理職としての仕事の割合が大きくなってしまい…。このままでは夢が実現できないと感じ、37歳のとき専門職採用で今の会社に転職しました。ものづくりに集中させてもらえるぶん、求められる以上の結果は出したい。そのために、休日も街に出たり新しいものに触れたりして感性を磨き、健康管理のためジム通いも欠かせません。〝仕事を頼みたい〞と思われる人でい続けたいですね」
風景画像撮影:さとうしんすけ
Domani9月号「昇進したくない」症候群 より
撮影/伊藤 翔、江口登司郎 イラスト/泰間敬視 構成/赤木さと子・酒井亜希子(スタッフ・オン)