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2019.06.08

子どもには「幸せなもの」しか見せたくないから、絶対に怒らない。ロシア人イクメン・スタニスラフさんの場合/後編

外国人パパにはイクメンが多いらしい?! そんな噂を徹底リサーチする新リーズ。今回登場するのは、なにごとも「家族第一」のロシア人イクメンです(後編)。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター・ライター)
Tags:

怒りを子どもに向けないために、夫婦で話し合いをします。

PROFILE
出身地/ロシア・サハリン
家族構成/妻(日本人)、息子(1歳)
住まい/埼玉県
職業/フリーの通訳・コンサルタント(英語・ロシア語)

いつも「ありがとう」と「お疲れ様」を。愛情と感謝は言葉で伝えます。ロシア人イクメン・スタニスラフさんの場合/前編

夫婦ゲンカはしたことありません

今のロシアは経済が発展中で、子どもの数も増え続けています。そのため保育園は足りなくなり、待機児童も多いと聞きます。政府から補助金は出ているもののベビーシッター代にもならないので、母親の仕事復帰ができないなど、新たな問題も生まれているようです。

息子は1歳になる前から日本で保育園に入り、妻も仕事に復帰することができました。元気すぎるので心配になることも多いし、怒りたくなることももちろんあります。けれど、私も妻も大声を上げることはありません。ただ、この春の保育園の入園式では、ひとりだけそわそわしたり、歩き回ったりしているから、心配になって思わず先生に聞いてしまいました。

「うちの子、活発すぎるんじゃないでしょうか」と。

先生は、「大丈夫ですよ、任せてください」と言ってくれました。そうですよね、今は元気が第一。そして、スポンジのようになんでも吸収するとき。だからこそ、私が怒ったりしたら、言葉はわからないとしても、記憶の奥に残ってしまうんじゃないかと思います。特に、身近な大人の言動はよく見ているでしょうから。

純粋なもの、幸せなものしか見せたくないし、いつも幸せでニコニコしていてほしい。ロシアでは赤ん坊にかける言葉が日本より種類が多く、愛情を全面的に表すのが普通です。たとえば、(日本語にすると)「世界でいちばん美しい子」「奇跡」「私の喜び」など。もちろん、私もいつも息子にそういった言葉を投げかけてます。

もちろん、怒りたくなることもあるけれど、そんなときは、別の部屋に移動したり、息子が寝ている間に夫婦で話し合って解決するようにします。怒りを息子に向けないための大事な会話です。だから、夫婦ゲンカをしたことはありません。

第一声はきっと日本語だろうけど…

息子はロシアで生まれてすぐ、日本に帰国しました。パスポートはロシアと日本のもの両方を持っていて、国籍もふたつ。22歳までに、どちらの国籍にするかを本人が選ぶことになります。ロシアの国籍を選べば、軍隊に入る義務も生じるし、これからみんなで考えていくこと。今は、ただ元気で幸せに過ごしてほしい。元気がいちばん。そしてもうすぐ発する第一声は…、きっと日本語だろうけど、その次にロシア語、そして英語だったらいいな。将来は、僕の通訳の仕事を手伝ってくれたらいいけど(笑)。それもまた、ずっと先のことですね。

−−「家族で育児をする」ことを当たり前に育ってきたというスタニスラフさん。だから、平等だとか分担だとかにとらわれることもなく、「家事も育児も、そのときにできる人がやる」。決め事やルールより、思いやり。それに感謝しつつ、でも過大評価もすることもなく、フルタイムワークを続ける妻・波奈(はな)さん。そのスマートな姿もまた、家族への思いやりにあふれているのでした。

取材協力/株式会社ニーズアーチ
イラスト/松元まり子

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。半年にわたって取材・執筆した書籍『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』が6月28日小学館より発売されます! ほかにOggi誌面「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」などなど連載中。

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