物価は高いけど、安全で子育てしやすいのは、日本のいいところ
PROFILE
出身地/ベトナム・クアンチー省
家族構成/妻(日本人)、娘(2歳)、7月に息子が誕生予定
住まい/埼玉県
職業/IT企業でシステム開発担当
ベトナム料理が恋しくなるから、自分で作ります。ベトナム人イクメン・フィさんの場合/前編>
日本には安全な公園も動物園もある
料理だけじゃなくて、片付けや掃除もけっこうやりますよ。うちの奥さん、掃除が苦手なのか、結構時間がかかるんです。どうしてかわかりませんけど(笑)。だから、そこは僕が手伝ってあげる。ベトナムでは、お父さんたちがこんなに手伝わないよーって言いながらね。
ふたり目の子どもが生まれたら、妻はまた1年間の育児休暇に入ります。育休手当もあるし、復帰したら時短勤務の制度もある。保育園の先生方も信頼できます。ベトナムでは子どもの事件は多いし、安全の面ではまだまだ。日本はベトナムに比べたら物価は高いけど、安全で子育てしやすいのは、いいところだと思います。
それに、今の家から近いところに公園も動物園もあって、子どもが安全に遊べる場所がたくさんあります。ベトナムの実家の周辺は大自然だらけで、牛や犬はいっぱいいるけど(笑)、動物園や水族館はないですからね。
いつかはベトナムに大きな家を建てたい
ただ、これから先のこととなると、もっともっと夫婦で話し合わなくちゃって思ってます。僕は、10年後くらいには家族でベトナムに住めたらと考えてるんです。そのために今、いっぱい働いて、お金を貯めて。同じお金ならベトナムのほうがずっと大きな家が建てられるし、私の両親も弟も、そして妻や子どもたちも、みんな一緒に住めるでしょ。両親は喜ぶんじゃないかな。
でもね、妻のほうは、ずっと日本にいたいって思うかもしれないし、うーん、これを考えだすと難しいですね。
これからの10年で、ベトナムはますます発展することでしょう。日本は高齢化社会だけど、ベトナムは若い人が多くてどんどん活躍しているから、どんなふうに変わっていくか、すごく楽しみです。その頃、娘も息子も小学生。それまで僕は…、家族のために一生懸命働きます!
−−発展著しいベトナムと日本の橋渡し役となって、ITの最前線で働くフィさんは、仕事時間は長いけれど、それはすべて「10年後の家族のため」。その姿は、かつての日本のビジネスマンを思い出させるけど、大きく違うのは、仕事以外の時間はすべて「家族のため」に使うこと。仕事を頑張ることは、家族の役割分担が確立しているベトナム生まれのフィさんの誇りであり、大きな愛情表現でもあるのです。
取材協力/株式会社ニーズアーチ
イラスト/松元まり子
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。半年にわたって取材・執筆した書籍『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』が6月28日小学館より発売されます! ほかにOggi誌面「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」などなど連載中。